神のデス・ギフト第2話~ブラック企業という名の地獄遊園地。俺の退職届は、取締役が書いた?実話
これは、神から贈られた“死にかけるほどのギフト”の開封記録。 地獄を笑い、整えを始めた男の実話。
サタンブラック企業からの転職は、まさに地獄のブラックテーマパークだった!!

ブラックテーマパークは…まぁ俺の名前を覚えてくれない会社だった。
入社初日、誰も俺の名前を呼ばない。
いや、呼ばないというより、俺の存在が、腐ったゾンビだと思っているようだった。
半年は覚えてもらえなかった。毎日先輩たちは記憶がリセットされる。
A「君って…あれ?誰だっけ?」
B「えーっと…新人くん?」
C「もう、ゼッケン付けておいてくれない?仕事に支障がでるから」
オレ「はい、私は・・・えーっと、誰でしたっけ?えへへ」
心の声「腐ってんじゃねーぞ!ボケがー!」
俺は“俺”であることを忘れそうになった。
でも、そんな俺の周りには、てきぱきした動きのいいゾンビたちがいた。
目は死んでるのに、手は高速で動く。
笑顔は貼りついてるのに、心はどこにもない。
彼らは、“死んだプロフェッショナル”だった。
そしてそのゾンビたちの特技は、責任感のキャッチボールと、上位ゾンビからの苛めを下位ゾンビへの当てつけに必死だった。
心が無い。そんなことは見れば分かっている。
が、人を傷つけることには執念があった。 それだけは、腐っていても鮮明だった。
俺はそのゾンビたちに囲まれながら、
「俺は誰だ?俺は何をしてるんだ?」と問い続けた。
そして気づいた。 名前を呼ばれない地獄は、自分の名前を自分で呼ぶしかない場所だった。
極めつけは、俺だけデスクが無かったことだ。
休憩時間、みんなが椅子に座ってPCをいじる中、俺は立ったまま壁を見つめるしかなかった。
「立ち休憩って…新しい健康法ですか?確かにゾンビって立って寝るよな。ウフフ。」
そう言って笑った俺の心は、もう笑っていなかった。

休憩の少なさとやりがいの無さに苛立つ、でも転職したばっかりの板挟み
確かに、会社規模は5人から1000倍になった。
給料も年収180万円から2倍になった。
会社の社内も端から端まで歩くと20分かかる。エレベーターが無いと登り切れない。
大きい会社だ。そんな魅力的な部分もあった。
でも、居場所はなかった。
俺にはデスクが無い。外出している先輩の席に一時的に座ることはあっても、何で座っているのかという厳しい目で見られる。
だから、就業中立っていることとなる。
ありえないだろ。今なら即お縄だろう。
なりたてのゾンビの俺が知恵を絞った。
会社が広いなら、部署間の移動で穴場を探して数分さぼろうと。これが以外に的中して気に入った。
風景が良かったためだ。東京湾とレインボーブリッジを見てキンキンに冷えた缶コーヒーを飲むと癒される。
ありきたりだけどそれが、唯一の癒しの5分だった。
でも、PHS(今でいう携帯電話だ)を常に持たされており、どこにいるか聞かれる恐怖とも隣り合わせだった。
もちろん、仕事中で席を外している時も、その先輩ゾンビたちとタイミングが合わなければアウトだった。

中ボス~擦り付けゾンビがすごかった
擦り付けゾンビというゾン先輩(と呼ぼう)がいた。
メガネをかけていて小柄。賢そうに見えるが、ずる賢い。スネ夫系だ。
そのゾンビは、失敗をしてもまったく気にしなく、まるで被害者のように俺のせいにするんだ。
まぁ目撃者がいないので、堂々と俺のせいにしても社歴の短い俺が犯人になる。
ゾン先輩「俺の大事な仕事道具、偉い方にお借りしたのに、お前に預けたはずなのに無くなっている!こいつに渡したのに」
オレ「えーーーー」
ゾン先輩「始末書書けよ。ほらみんな聞いてるだろ。まったくオレは被害者だ」
オレ「いやいや、オレあなたとまだ一回も話したこと無いですし、あったの今日初めてです!」
とは言えず、心の中でボコボコにするのが関の山、関係各所へ俺がお詫びすることに。
それからはこんなことが、週2回はあった。まったく身に覚えがなく理不尽だった。
生きていくためには心をマヒさせなければいけないのだろうか。
どんどんオレは立派なゾンビになっていった。
ある日、そんなゾン先輩と緊急の出張に行くことになった。
濡れ衣をかぶせ、マン振り投げっぱなしジャーマンが必殺技のゾン先輩が、急に私に依頼を出してきた。15時の事だった。
ちなみに出張は静岡県だった。働いているのは東京。
ゾン先輩「大至急静岡に行くことになったから、大至急で新幹線と宿の予約しろ!お前も行くからな!」
「服装汚いから急いで服買ってこい!」
「帰りは案件が解決するまで帰ってこないから宿に言っておくんだぞ。現地の移動は全部ハイヤーにするから、俺とおまえの分2台用意しとけ」
オレ「はっ、はいいいいい」
心の声「行く前からハードルメチャメチャ高いじゃん。しかも二人きりで。何を失敗擦り付けられるんだ。別行動って成果報告怖いよ。」
どうやってこのハードルを越えたか記憶は消えてしまった。恐怖体験で脳が強制的に遮断したのか、ゾンビ力が一時的に高まったのか。それは今となってしては闇の中かだ。
唯一覚えているのは、浜松の特上ウナギ重(領収書)とホテルの露天風呂からの月。やっぱりこういうのだけは記憶に残るらしい。
地獄の体験を伝えられないのは悲しいが、戻ってきてからの記憶もあいまいだ。
結局戻ってきて帰宅。夜を挟み、出社後は次のイケメンゾンビの手伝いがかりになっていたなぁ。
俺の部署は200人居たから、新人のオレは雑用のたらいまわしゾンビにまさに、「うってつけ!」だったのだろう。

驚くべき勤務形態
前回のブラック企業よりは多少良かった。でも、現代の2025年基準で考えれば一撃でアウトだ。
ある週の日程。
朝9時に出社する。
何と、朝9時に出社する人の退社時間は決まりがあって、翌朝の10時なのだ。シフトだ。25時間勤務で休憩は無し、仮眠もなし。ありえるか?
その10時に帰宅し睡眠をとる。昼夜逆転の生活が急に始まる。
そして出勤はその日の24時だ!ありえるか?
それでヘロヘロになって、帰ったら朝10時。やっと身体を休められる。
それで翌日朝9時に出社する。
の繰り返し。
前のブラック企業より良いのは、土日が休みなだけだった。ふつうにあふれている幸せだ。
しかし、旗日と言われる祝日の休みは全くなかった。もちろん正月も。
残業は毎月200時間はしていた。この会社には勤務表があったからね。記録して計算はしてた。
しかし、みなし残業制度で180時間分の残業はサービス残業だった。
また別の日は月曜日に会社に行って金曜日家に帰るという、私の慣れ親しんだゾンビライフが半分はあった。
ちなみにボーナスなんて洒落た一時金なんてもちろんない。
俺の20代はほぼ会社の中で過ぎていったといっても間違いはない。この時点で家で寝た日より、会社で寝た日の方が多い確信はあった。

オレはもう、ゾンビだけど腐りたくない。恐ろしいエクソシストが現れた
ある日誰も覚えていないはずのオレの名前を呼ばれたとき、俺の運命は180度変わった。。。
当時は悪魔だと思ったが、今思えば脱出させてくれたエクソシストだったのではないかと、思わされる時がある。俺の寛大な解釈の問題だ。
このエクソ爺のやったことは絶対に正しくはないが。
それは、この地獄のテーマパークに転職しておよそ2年がたった時だった。
東京湾が美しく見える快晴の初夏で風が気持ちよく、爽快な気候だった。
エクソ爺「〇〇君、ちょっと私と一緒に昼ご飯を食べないか?うまいレストラン知っているんだよ。帰りに文房具店まわろう」
オレ「はい、喜んで!取締役!」
心の声「うぉぉぉ、取締役からランチに誘われた!なんかいい事やっと来たのかな!」
エクソ爺は親会社から退職後に天下ってきた取締役だった。正直かなりえらい。親会社でもトップクラスに権力を持っていたそうだ。
見た目は温和なお爺さん。
心の声「きっと俺の不遇を知って助けに来たんだろう!涙が出る。」
二人で東京湾まで歩いて出かけ、海が見えるテラスでおいしい食事をごちそうになった。
天国の様だった。
取締役と一緒なので、ランチ時間以内に帰らなくていいというノンプレッシャーもあって心のガードも下がりまくっていた。
だが、ガードは下げなければよかった。ガードは常に上げなければいけないのが社会だ。
忘れていた。失点しないチームが常に強い事を。
ランチは日常会話程度だった。
特に、助ける雰囲気でも、評価する内容でもなかった。
そう、文房具店に寄るまでは・・・

エクソ爺「君の三文判を買ってきなさい」
心の声「え!?ハンコを買うの?なぜ。今買ってまで必要なことある?」
動物的カンで寒気を覚えながらハンコを探し購入する。そのあとついに、地獄のテーマパークのメイン遊具「エクソシストジェットコースター」が動き出した。
破壊力とスピード、そして危険性は今までにないほどの力を秘めていた。
エクソ爺「ここにハンコ押して。押さないのは駄目ね」
オレ「え。あ、はい」
心の声「なんだこれ、退職届じゃないか!」
なんと俺が書いていない退職届が、ゴーストライターによって書かれており、捺印をした瞬間成立する段階になっていた。
理由は最後に述べるとして、オレは一瞬迷って文句を言わず捺印した。
捺印した理由
・今すぐ退職できる
・引継ぎ等あいさつもしなくて良し
・くそ会社だからもう行きたくない
・ゾンビから人間に戻れる
・働きながらよりスッキリして次の転職先を探したい
・悪循環を止めたい
まぁ、気持ちが楽になったという気分だった。
久々に、4年ぶりくらいにスッキリした。
スッキリして真人間に戻り、無職になった。
はじめて名前を呼ばれた日、俺は地獄から脱出した。
しかし、一発解雇とはなぜだったのだろうか。
聞いた話だが、ゾン先輩が大きなミスをしたらしく、全部俺のせいにしたようだった。
もちろん俺には身に覚えがない。
相変わらず、人のせいにするパワハラゾンビだと思った。
しかし、そのおかげで会社を辞めるきっかけにはなった。
起点になったのだ!
あれから20年、、、あの会社は売り上げが格段に下がり退職者を募り、テナントは小さくし、社会的な信頼は無くなったそうだ。
強制的な悪魔祓いのエクソシスト爺、払われたゾンビ達に敬意を評して、盛り塩を備えたいと思う。
オレは、感謝の気持ちで今も思っている。
まぁ当時は恨んだが。ね。
この起点が、大きく人生の扉を開くきっかけになったのだ。
それは、逃避行だった。
若いころのオレは、この現実を理解できず地球の果てまで逃げたかったのだ。
現実から逃げて逃げて逃げて逃げまくりたかった!
今思えば、あの地獄、地獄のテーマパークの経験は—— 神のムダに余るプレゼントだったのかもしれない。
次回予告
逃げたかった俺の行き先は「初めての海外!自由の国アメリカ・ロサンゼルス」
一撃で解雇された俺は、ただ急いで遠くへ行きたかった。即決即断で旅へ。
驚くべきプラン無し、驚くべき予算の低さの旅。
神のムダに余るプレゼントは俺の思考を刷新するには十分すぎるほど刺激的だった。
第2話完

この話は私の事実に基づいた実話です。
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