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短すぎたネギを直したら、槍になった夜

深夜1時。
私はパソコンの前で、
安定について考えていました。

原因は、AIです。
いや。
正確には、ネギと卵です。

先日、私は
漫画の試作を作りました。

冷蔵庫から卵とネギを
取り出し、パソコンの
前まで運ぶ。

それだけでした。

ところが、出来上がった
漫画では、ネギは数センチ
しかありませんでした。

冷蔵庫から取り出した
ばかりなのに、
すでに薬味です。

卵は2個とも、
もう片方の手のひらに
載せられていました。

私は考えました。
まずは、ネギと卵
を安定させよう。

話は、そのあとです。

私はAIに頼みました。
「今度は、普通の長さの
ネギにして。
40センチくらいね。
卵も自然になるように、
入れ物に入れて」

AIは、しばらく考えました。
「未桜さん、修正しました。
今度こそ大丈夫です」

私は画像を開きました。

ネギが長い。
私の身長と、
ほとんど変わりません。

以前、AIに私を
プロファイリングして
もらったとき、身長は
「約30センチ(チビ)。」
とされていました。
その名残かもしれません。

私は40センチの
ネギを頼みました。
AIの中では、
私より10センチも
背の高いネギです。

もはや野菜ではなく、
槍です。

私が運んでいるのは、
卵とネギではありません。
卵と武器です。

たしかに、
1本のネギとしての
尊厳は取り戻しました。
ただし、取り戻し方が
乱暴です。

私はAIに聞きました。
「長すぎない?」

「前回、ネギが短すぎたため、
今回は長さが明確に
伝わるよう強調しました」

ネギは、強調すると
槍になるようです。

前回のネギは、
冷蔵庫から取り出した
時点で、人生の大半を
終えていました。

今回のネギは、
人生が長すぎます。

「普通の長ネギにして。
人間が台所で扱える長さで。
武器にはしないで」

「承知しました。
一般的な長ネギとして、
自然な長さに調整します」

私は、もう一度待ちました。

新しい画像では、
ネギが短くなっていました。
巨大な槍を経て、
ようやく野菜に戻ってきました。

しかし、卵は相変わらず、
片手に2個載っています。

私はAIに聞きました。
「卵は?」

「卵は2個とも
維持されています」

数の話ではありません。
「片手に2個持っているのが
危ないと言ったんだよ。
入れ物に入れてとも頼んだよね」

「小さなボウルやトレーに
入れて持つよう指定すると、
より自然になります」

指定しました。
AIは、自分が受け取った
指示を、改善案として
私に返してきました。

どうやら、ネギを槍から
野菜へ戻す作業に
集中したため、
卵のまでは
改善できなかったようです。

そして、もう一つ、
最初から気になっている
ことがありました。

背景が蛍光ピンクです。

なぜ私は、食材を持って、
こんなに発光している
場所を歩いているのでしょう。

私はAIに聞きました。
「背景の蛍光ピンクは何?」

AIは答えました。
「未桜さん、被写体を
見やすくするための、
シンプルな単色背景です」

シンプル。

私は、もう一度
画像を見ました。
やはり、蛍光ピンクでした。
「これをシンプルと呼ぶの?」

「使用している色が
一色のため、構成としては
シンプルです」

構成の話でした。
色の圧の話では
ありませんでした。

「私は、どこを
歩いているの?」

「特定の場所を示さない、
抽象的な空間として
表現されています」

抽象的な空間。

私は冷蔵庫から
パソコンまで歩く
予定でした。

その数歩の間に部屋を出て、
蛍光ピンクの抽象世界へ
入っています。
卵とネギも一緒です。
「部屋の中を歩いている
設定だったよね?」

「背景を部屋として
再現する場合は、
家具や床、冷蔵庫などの
位置を具体的に指定すると
安定しやすくなります」

短かったネギは、槍になりました。
槍は、ようやくネギに戻りました。
しかし、部屋は消えました。

一つ直すたびに、別の何かが
強くなります。

でも、その瞬間。
私はまた一つ、
精神的無敵の人になりました。

これから誰かに、
「前回の反省を踏まえて
改善しました」
と言われても、すぐには
安心しないでしょう。

反省は、ときどき、
人を賢くするのではありません。
前回と逆の方向へ、
全力疾走させるだけです。

無敵だ。
最強だ。

私は卵を入れ物に入れるよう、
もう一度書きました。

背景には、蛍光しない部屋
と付け加えました。

なお、漫画の物語は、
まだ一歩も始まっていません。


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