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寄り道の仕方

深夜1時。
私はパソコンの前で、
寄り道について
考えていました。

原因は、AIです。
いや。正確には、
ミュールさんです。

昨日、私は、
今度こそ、無料クーポンを
間違いなく発行したい。
そう思って作り始めた
文章講座について書きました。

試しに私の文章から
私を消してとAIに頼んだら、
テンポも寄り道も、
すべて消え去った。

そういう話です。

すると、ミュールさんから
コメントをいただきました。

「『寄り道』が未桜さんの
魅力的な長所なのです」

さらに、
「平均値との差こそ
そのヒトにしかない個性であり、
それを引き出す講座がよい」
と書かれていました。

ミュールさんは、
とある研究機関で、
AIが世界を認識するための
技術を研究している人です。


最近は、人間関係を
三体問題として
考えていました。

三人の意見が
食い違った時点で、
問題を解くより先に
そそくさと
その場を離れる私とは
随分と違います。

しかも、ミュールさんは
本物の編集長経験者です。

そして、ぐーたら王国の
元編集長でもある。

ぐーたら王国の平民である
私は、編集部がどこに
あるのかさえ知りません。

しかし、元編集長の言葉には
説得力があります。

たしかに、私は
よく寄り道をします。

ワインの話をしていた
はずなのに、貴婦人に
ついて考え始める。

整理収納の講座を受けた話が、
いつの間にか笑顔の不要品村
の話になっている。

文章講座を作っていたはずなのに、
ヘミングウェイが現れ、
受講後に全員が私になる
未来を心配している。

目的地へ一直線に向かう
文章ではありません。

ただし、寄り道なら
何でもよいと思っている
わけではありません。

文章の途中で、意味もなく
昨日食べたラーメンの
話を始めればよいわけではない。

寄り道には、
元の話とつながる
細い道が必要です。

寄り道は、
本線だけを走っていたら
見えなかったものに
焦点を当てるために
あります。

それが、書いた人の視点に
なります。

AIは、基本的に
一目散に目的地へ
向かおうとします。

しかし、人間の文章の
おもしろさは、必ずしも
最短距離にはありません。

なぜ、そこで立ち止まったのか。
なぜ、その話だけ気になったのか。
なぜ、誰も見ていない場所を
見てしまったのか。

そこに、
書いた人が出ます。

これでも私は、
校内読書感想文、
学校の作文クラス、
学習塾の小論文コースで、
好成績をおさめてきた
人間です。

高校も大学も、
あえて作文と小論文の配点が多い
試験を選んで、合格しました。

世界ではありません。
全国でもありません。
作家養成講座でもありません。

校内。
クラス内。
塾内。

かなり限られた
建物の中です。

私は当時から、
文章を書くとき、
寄り道をしていました。

本のあらすじだけを書かず、
自分が引っかかった場所から、
別のことを考える。

小論文でも、
問いにはきちんと答える。
そのあと、
脇道へそれる。
そして最後に、
何食わぬ顔で本題へ戻る。

おそらく私は昔から、
まっすぐ走ることより、
曲がった先で何かを拾うことが
好きだったのです。

そこで、文章講座には、
寄り道の仕方も
入れることにしました。

何を削って
何を残せば
寄り道になるのか。

いきなり最終目的地に
行かず、寄り道を
する方法。

その初歩も扱いたいと
思います。

でも、その瞬間。
私はまた一つ、
精神的無敵の人になりました。

文章が脱線したのでは
ありません。
個性を回収しに脇道へ
入っているのです。

無敵だ。
最強だ。

そもそも私は、
なぜ文章講座を
作り始めたのか。

文章について、
何か壮大な使命が
あったからではありません。

前回、無料クーポンを
発行するとき、時差に
気づかなかったからです。

次こそは、間違いなく
発行したい。


どうやら寄り道は、
文章を書くときだけの
癖ではなかったようです。

ミュールさん。
寄り道は、講座に入れるまでもなく、
もう始まっています。


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