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受講後、全員が私になる

深夜1時。
私はパソコンの前で、
増殖について
考えていました。

原因は、AIです。

いや。正確には、
ヘミングウェイです。

私は次に作るUdemy講座に
ついて考えていました。

私はすでに、Udemy講座の
申請方法を知っています。
無料クーポンの発行方法も
マスターしました。

もはや私は、無料クーポンを
自在に発行できる人間です。
今度こそ、時差を考慮して
無料クーポンを発行してみたい。

ただし、発行するためには、
講座がなければなりません。

そこで、私は新しい講座を
作ることにしました。

しかし、私のバカバカしい
文章そのものをテーマに
しても、限られた需要です。

そこで、AIっぽい文章と、
人間が書いた文章の違いを
テーマにして、AIっぽい
文章を自分らしく直す
講座を作ることにしました。

人間が書いた文章の題材には、
私のnote記事を使う。
自分で書いた文章なので、
なぜそう書いたのか、
詳しく説明できます。

私は、まだ完成していない
講座を眺め、胸を張りました。

しかし、途中で気づきました。

人間が書いた文章の見本が、
全部私です。
最初のレクチャーも私。
次のレクチャーも私。
その次も私です。

これでは、AIっぽい文章を
自分らしく直す講座では
ありません。

AIっぽい文章を、
私っぽく直す講座です。

見てくれた人が、
よりその人らしい
文章を書くヒントに
なるような講座にしたい。

そう思っていたはず
でした。

それなのに、受講後、
全員が私になる。

私は慌てて、講座用に
新しい題材を書きました。
しかし、私が書いたので、
やはり私らしい。

会社員を書けば、
会議の内容より、
全員が眠そうな顔を
していることが気になる。

感動的な話を書けば、
途中で何かを疑い始める。

私はAIに相談しました。
「私の文章に寄らない
講座にしたい。
でも、私が題材を書くと、
どうしても私らしくなる。
どうすればいいの?」

AIは答えました。
「未桜さん、これは、
あなたの講座固有の
欠陥というより、
具体例を使う講座には
必ずついて回る現象です。
ヘミングウェイの文体で
教える講座は、生徒の文章が
ヘミングウェイっぽく
なりやすいのと同じです」

ヘミングウェイ。

仕組みは同じかもしれません。

しかし、ヘミングウェイは
ノーベル文学賞を受賞した
世界的文豪です。

私は、無料クーポンの
発行方法を覚えただけの
人間です。

ヘミングウェイは、
老人を海へ出しました。

私は、ペンギンを
メロンソーダに入れました。

海とメロンソーダ。

液体という点しか
一致しません。

ヘミングウェイを
いったん脇へ置き、
自分の講座について
再び考えはじめました。

講座から、私を
取り除くには
どうすればよいのか。

そこで、
本当に私を消せるのか、
試してみることにしました。

以前書いた、タロットカードを
作ってもらった記事をAIに渡し、
頼みました。
「この記事から、
私らしさを消して書き直して」

すると、こうなりました。

「またお前か」は、
「誕生日タロットと
同じ結果です」に。

「おばあさん予備軍です」は、
「年齢が高めに見える
女性の姿でした」に。

「危ないタイプの人間です」は、
「どこか神秘的すぎる
印象でした」に。

「思想かぶれした
深夜二時の妖しい動物」は、
「哲学的で少し風変わりな
人物像」に。

つまらない。
ものすごくつまらない。

毒りんごを仕入れに
行きそうなおばあさんも、
世界の浅さを見抜いた
つもりの妖しい動物も、
全員いなくなりました。

残ったのは、
タロットカードを生成した
経緯についての報告書です。

私は、自分らしさだけを
消してほしかった
はずでした。

しかし、AIは、テンポも、
寄り道も、全て消し去りました。

そして、私がいなくなった
場所に、AIらしさが
現れました。

でも、その瞬間。
私はまた一つ、
精神的無敵の人になりました。

私は、とうとう、
自分らしい文章を
AIっぽく直すことに
成功したのです。

無敵だ。
最強だ。

私は今、無料クーポンを
発行する方法を知っています。

そして、人間の文章をAIっぽく
する方法も知っています。

なお、作りたい講座に
必要なのは、その反対です。


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