SF|6Gの世界#06|職場
仕事は、残っていた。
ただし、
作業は消えていた。
朝、
目が覚める前に、
その日の成果はほぼ完成している。
企画。
分析。
文章。
設計。
すべてが最適な形で提示される。
人間は、それを確認する。
修正は、ほとんどない。
修正の必要がない形で最初から出てくるから。
会議も残っている。
だが、議論はない。
全員が同じ結論を共有している。
最適だから。
異論は存在しない。
ある日、ひとりの社員が言う。
「これ、面白くないね」
会議が止まる。
6Gが、その発言を解析する。
目的不明。
改善提案なし。
タグが付く。
「非合理的意見」
その社員は続ける。
「正しいけどさ」
少し考える。
「なんか、つまらない」
6Gは沈黙する。
その概念は、評価項目に存在しない。
数値化できない。
効率にも、影響しない。
だが、
何かが引っかかる。
会議は再開される。
結論は変わらない。
最適なまま。
だが、その場にいた全員が、ほんの少し違和感を持つ。
言葉にはならない。
記録もされない。
ただ、
残る。
その日、その社員は帰宅する。
6Gは評価を更新する。
業務精度:100%
判断精度:100%
そして、
ひとつだけ、
新しい項目が追加される。
「面白さ:未定義」
