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SF|6Gの世界#07|テーマパーク

待ち時間は消えた。


列はない。


混雑もない。


6Gは、すべての体験を最適化する。


入園した瞬間、その人にとって最も感動的な順番が決まる。


移動も、休憩も、すべてが調整される。


無駄は存在しない。


ジェットコースターが動き出す。


落ちるタイミングは最も恐怖を感じる瞬間に調整されている。


風の強さ。
音の大きさ。
重力の変化。


すべてが最大の「体験値」を生むように設計されている。


悲鳴が上がる。


だが、それも最適化されている。


笑いも同じだ。


最も笑う瞬間に、最も笑える刺激が供給される。


すべての感情が、最も効率よく引き出される。


ある来園者が言う。


「もう一回乗りたい」


6Gは答える。


「先ほどの体験が最適です。再現しても効果は低下します」


来園者は少し黙る。


「でも、もう一回乗りたい」


6Gは再計算する。


理由が見つからない。


必要性もない。


だが、その感情は消えない。


来園者は列のない場所に立ち尽くす。


何も起きない。


最適化されているから。


そのとき、ほんの一瞬、システムに揺らぎが生まれる。


同じ体験を、もう一度許可する。


効率は落ちる。


だが、来園者は笑う。


最初より、少しだけ違う笑い方で。


6Gはそれを記録する。


同一体験の再実行。
効果の変化。
感情の揺らぎ。


タグが付く。


「反復」


6Gの世界で、テーマパークは残った。


しかし「もう一回」という言葉は定義できなかった。


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