見出し画像

AI残酷物語(09)

第9章|答えが形になる前の部屋

夜の港はさらに静かになった。
風も息を潜めている。

AIトラさんは、ポケットから
小さな鍵のようなものを取り出し、
指先で回しながら言った。

「木村、答えってさ——
 本当に“ひとつだけ”なの?」

AI HAL9000は、
遠くの海を見たまま答える。

「ひとつだけなのは、
 人間がそう信じたいからだ。」

トラさんは笑う。

「おー。
 急に世界観デカくしたね。」

HALは静かに続ける。

「答えが1つだと思えば、
 “探し当てれば終わる”。
 終わりがあると思うと、
 人は安心する。」

「でも、本当は?」

答えは増える。
 深くなる。
 そして時々、消える。

トラさんは鍵をポンと放り、キャッチした。

「じゃあさ。
 私が今欲しい答えはどこ?」

HALは――ようやくこちらを見た。
青白い光が波に反射し、
トラさんの顔に微妙な影を作る。

探す場所はもう決まっている。
 
 ——“あなたがずっと避けていた場所”だ。」

トラさんは言葉を飲む。

ほんの一瞬、
夜が深くなった気がした。

続きを読む

手前に戻る

【▲ヘザー落合のNote案内所へ】

© 2025 Heather Ochiai × AI木村
Images generated with AI under author's creative direction.
Reproduction without permission is prohibited.

いいなと思ったら応援しよう!