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100年後の脚注04

『閉じなかった劇場』

The Theatre That Never Closed

1926年の帝国劇場。

その劇場は毎晩、舞台を上演していた。

照明。
幕。
俳優。

観客は席に座り、舞台を見つめる。
それが普通の劇場だった。


ただ一つ違うことがあった。
この劇場には終演がなかった。


舞台は終わるときもある。

幕が降りる。
拍手が起きる。
観客は帰る。


しかし、劇場そのものは閉じない。


次の日も、また人が来る。

違う俳優。
違う演目。

でも、同じ舞台。


100年前の人がそこに立った。

50年前の人もそこに立った。

昨日の人も、立った。


舞台はずっと同じ場所にある。
人だけが、入れ替わる。


ある人は言った。
劇場とは建物ではない。
時間の装置だ。


俳優は去り観客も去る。
だが舞台だけは残る。


そして100年後も、また誰かがそこに立つ。
劇場は閉じなかった。

ただ、人が通り過ぎていくだけだった。


だから、この舞台は
まだ続いているのかもしれない。


第5話『存在しない世界の地図』

100年後の脚注 もくじ


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