11月が終わったら、12月を何で設計するか【月刊販促設計 2026年11月号 第3回・最終回】
このシリーズについて
「月刊販促設計」は、総務省統計局が毎月発表する家計調査データと気象庁の気象データを活用し、3か月先の販促計画を立案するための実践的な情報を提供するシリーズです。
こんにちは。ミタカ販促設計ラボ室長のサタケです。
2026年11月号の最終回です。
第1回では2025年11月のデータを分析し、消費支出が実質2.9%増だった中身が「実需(気温連動)」と「準備消費(大型支出)」という性質の異なる2つの動きで構成されていたことを確認しました。
第2回では気象データを詳しく分析し、「北で寒く、東西で穏やか」という地域差と月内変動が大きい月だったこと、そして冬支度を月初の印象で決めない判断軸を提示しました。
最終回は2つのことをします。ひとつは2025年9月→10月→11月という3か月の連続した流れを確認し、月をまたいだ費目の動きを整理すること。もうひとつはそこから2026年11月・12月の設計にどんなヒントが得られるかを考えることです。
11月号検証記事で確認した通り、シリーズの方針は「予測を当てる」ことから「判断の枠組を提供する」ことへ移しています。最終回もその方針で、年末商戦(12月)に向けた仕込みの視点を判断の枠組として整理します。
このシリーズで使っているのは前年同月の家計調査データです。2025年11月に何が起きたかを確認することと、2026年11月にどう設計するかは別の話です。この前提を最終回でも維持したまま進めます。
2025年9月→10月→11月という3か月の連続した流れ
前年(2025年)の9月・10月・11月を並べて見ると、費目ごとに動きの種類がはっきり分かれます。この3か月の流れを整理することが、2026年の設計精度を上げる材料になります。
激しく振れた費目:自動車等購入
2025年9月:+52.3%(寄与度+1.18)
2025年10月:▲25.3%(寄与度▲0.86)
2025年11月:+148.1%(寄与度+2.77)
3か月で「大幅増→急落→急反発」という激しい振れを繰り返しました。前年(2024年)の11月が寄与度▲0.28ポイントとやや弱かったことも重なり、比較ベースの低さが11月の急反発を作った可能性があります。変動性の高い費目の典型として、月をまたいでの動きが読みにくい費目です。
気温に連動して動いた費目:被服
2025年9月:▲7.4%(残暑で秋物が動かず)
2025年10月:+6.3%(下旬の急寒で反転)
2025年11月:+7.5%(2か月連続増加)
9月の残暑・10月下旬の急寒・11月の寒気入りという気象の流れに沿って、被服の動きが素直に反応した3か月でした。「気温が下がると防寒物が動く」という因果メカニズムが、前年のデータで明確に確認できた期間です。
定着して伸び続けた費目:保健医療
2025年9月:+11.1%(4か月連続)
2025年10月:+3.6%(5か月連続)
2025年11月:+2.6%(6か月連続)
伸び率は落ちながらも増加が継続しました。季節の変わり目からインフルエンザシーズンへの移行という条件が重なり、定着したトレンドとして機能し続けた費目です。
継続的な減少から反転した費目:食料
2025年9月:▲0.5%(4か月連続減少)
2025年10月:▲1.1%(5か月連続減少)
2025年11月:+0.9%(6か月ぶり増加・小幅な反転)
5か月続いた実質減少が11月にわずかに反転しました。ただし+0.9%という小幅な数字であり、節約傾向が大きく解消したとは読み取れません。日常消費の節約基調が続く前提として扱うのが実態に近い動きです。
3か月の流れをまとめると
2025年の9月→10月→11月は、変動性の高い費目(自動車購入)が激しく振れ、気温連動費目(被服)が気象の流れに沿って動き、定着費目(保健医療)が伸び続け、日常消費費目(食料)が節約基調を維持しながら小幅に反転した3か月でした。4種類の異なる動き方が同時に観察できた期間として、2026年の設計判断の参照材料になります。
前年のデータから2026年設計へのヒント
ここからは前年(2025年9月・10月・11月)のデータを参照材料として、2026年11月・12月の設計判断にどんな示唆が得られるかを整理します。前年と同じことが起きるという予測ではなく、判断の枠組として使える視点を示します。
ヒント① 4種類の費目分類を持って12月を設計する
前年3か月の流れから、費目を4種類に分類する判断軸が有効に機能することが確認できました。変動費目・気温連動費目・定着費目・日常消費費目。この4分類を持って2026年12月の設計に臨むことで、月全体の数字だけを見て「良かった・悪かった」と判断する誤りを避けられます。自業態が主に扱う費目がどの分類に属するかを最初に整理することが、判断の出発点になります。
ヒント② 自動車購入の比較ベースは極端に高くなる
2025年11月に+148.1%を記録した自動車購入は、2026年11月の比較ベースを極端に高くします。同水準の期待は現実的ではなく、2026年11月の交通・通信費目全体が数字上落ちる可能性が高いと考えられます。ただし10月号第3回で示した通り、変動費目は業態によって関係の度合いが異なります。自業態と関係が薄い場合は、この費目の落ち込みに全体の判断が引きずられないよう注意する必要があります。
ヒント③ 家具・家事用品・寝具類の高いベース
2025年11月に+10.6%(寝具類+64.0%)を記録した家具・家事用品も、2026年11月の比較ベースを高くします。前年の実需の動きが定着したトレンドか一時的な反動かは、複数月の連続確認が必要と思われます。ホームセンター・家具家電・寝具専門店といった業態では、前年の高いベースを踏まえた慎重な設計が求められます。
ヒント④ 保健医療は12月も継続展開の根拠がある
6か月連続で増加が続く保健医療は、定着したトレンドとして扱える費目です。2026年12月にもインフルエンザシーズン本格化という季節条件が重なり、継続展開の根拠が続きます。ドラッグストアをはじめ、この費目に関係する業態にとっては、11月・12月を通じて安定した軸として設計に組み込める費目です。
ヒント⑤ 食料の節約基調は12月も前提として持つ
前年11月に食料が小幅に反転しましたが、5か月続いた節約基調が大きく解消したわけではありません。12月は年末需要で食料関連の支出が動く月ですが、前年の節約基調が続く前提を持ちつつ、「実用性のあるごちそう」「まとめ買いでのコスト対応」という軸が有効である可能性が高いと考えられます。
ヒント⑥ 12月は「準備消費」の月として位置づける
11月号検証記事で「準備消費」という枠組が11月の動きを説明できると書きました。12月はさらに「準備消費」の性格が強まる月です。ボーナス支給・年末年始準備・お歳暮・クリスマスといった大型・季節性の支出が集中します。ただし前年(2025年)の勤労者世帯実収入が11月に実質▲2.2%と落ちていたことを踏まえると、2026年12月の準備消費も収入面の制約を受ける可能性があります。「大きく使う準備消費」より「実用性の高い準備消費」に軸が寄る可能性を想定しておくことが、前年データからのヒントです。
ヒント⑦ 12月は「実需」と「準備消費」が同時に走る月
前年11月で確認した「実需(気温連動)」と「準備消費(大型支出・季節性)」の2つの動きは、12月にはさらに明確に同時進行します。実需の側では防寒商材・鍋物食材・暖房関連が動き、準備消費の側では年末年始準備・お歳暮・クリスマス関連が動きます。この2つを分けて設計することが、12月の判断軸として有効です。第2回で示した「月初の印象で全体を決めない」という枠組は、12月にはさらに強く適用される必要があります。
11月号を通じて伝えたかったこと
3回を通じた論旨をまとめると、これです。
前年(2025年11月)のデータが示したのは、「実需(気温連動)」と「準備消費(大型支出)」という性質の異なる2つの動きが同時に起きた月でした。月全体の+2.9%という数字だけを見ると全体像を見誤ります。この2つの動きを分けて読む視点と、月内変動・地域差を判断軸に据える姿勢を2026年11月・12月の設計に持ち込むことが、今号の一貫した提案です。
11月号検証記事で確認した通り、シリーズの方針は「予測より販促思考」です。今号で提示した4種類の費目分類(変動・気温連動・定着・日常消費)と、実需・準備消費の切り分けは、いずれも予測ではなく判断の枠組として使える視点です。この枠組を持って2026年の月々の実データに向き合うことで、単月の数字に振り回されない設計判断が可能になります。
付録のご案内
本号の最終回公開にあわせて、「2026年11月 販促設計カレンダー(PDF版)」を配布します。文化の日・七五三・勤労感謝の日3連休・日本版ブラックフライデーなど、11月の重要な日程と週別の推奨アイテム・施策メモを1枚に整理しました。現場での週次確認にお使いください。

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室長プロフィール
佐竹 昭治|株式会社サタケプランニングオフィス 代表取締役
小売・サービス業の現場で、生活者視点を軸にした販促戦略を提案。マーケティングプランナーとしての経験(20年以上)×データ分析×AI活用による「ハイブリッド販促設計」で、「伝わる販促」「来店してもらえる仕掛け」づくりをサポート中。
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付録:2026年11月販促設計カレンダーPDF
これまでの分析を一覧化した「2026年11月 販促設計カレンダー」をPDF形式で配布します。
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