リズム地獄、開幕|リズムを作るだけで、心が折れかけました。(47歳、エレクトーンに人生を振り回される)
正直に言います。
ここで、やめようと思いました。
うすうす分かってはいたんです。
簡単じゃないことくらい。
それでも——
私の心は、見事にボッキボキに折れました。
あるレッスンで、先生がさらっと言った。
「そろそろ、リズムも作りましょうか」
——来た。
「はい、分かりました」
(表の声)
……いや、無理です。
(心の声)
リズム。
その一言で、頭の中にうっすらと嫌な記憶がよみがえる。
それでも逃げるわけにはいかない。
ということで私は、
Back to the Future のテーマ曲のリズム作りに挑んでいく。
——ほぼ、ヤケクソである。
エレクトーンで、リズムを作る。
——人生初の試みである。
私には今、
心の中でしっかりと「初心者マーク」が貼られている。
先生、見えてますか?
(いや、見えてないですよね)
……なんて、ちょっとしたイヤミを心の中でつぶやきながら、
リズム作りが始まった。
そういえば昔、
私が持っていたのは「HS-5」。
もしかしたら、リズムは作れたのかもしれない。
——でも、やったことは一度もない。
つまり。
完全にゼロからのスタートである。
……47歳で。
うん、分かってる。
ちょっと前の私は、こう思っていた。
「まぁ、さすがに最近の機種だし?」
「作りやすくなってるっしょ?」
「なんだかんだ、すぐ出来るっしょ」
——甘かった。
想像の、3倍くらい甘かった。
あんこに
生クリームを乗せて、
黒蜜を乗せて
砂糖入りきなこをまぶした
スイーツみたいな?
完全に打ちのめされました。
最初の壁
さっそく、最初の壁が立ちはだかった。
——操作方法が、分からない。
いや、正確に言うと。
何を言っているのかが分からない。
ELC-02 に付属している説明書を開く。
……読む。
数秒後、そっと閉じた。
単語の意味が、分からない。
これ、何語?
文章なのに、頭に入ってこない。
日本語のはずなのに、
まるで“知らない国の言葉”を読まされているみたいだった。
接続詞だけが、かろうじて日本語。
それ以外は、ほぼ未知の言語。
——いや、これ無理だろ。
ある日突然、外国に連れていかれて、
「この本を理解しないと帰れません」
と言われたら。
……普通、どうします?
絶望とか、そういう話じゃない。
そもそも、読みたくない。
……というか。
……やめよっかな。
そう思って、手が止まる。
いや、待て。
ここでやめたら、たぶんまた同じことを繰り返す。
29年前みたいに、
「難しいから」で終わらせるのか?
——いや、それは嫌だ。
でも。
……無理なものは無理である。
どうしよう。
天啓
うんうん唸りながら考えていた、その時。
ふと、ひとつの答えが頭に降りてきた。
——あ。
これ、いけるんじゃないか?
——そう思った次の瞬間、
先生の顔が頭に浮かんだ。
先生に作ってもらおう。
……うん。
人に頼るのも、大事な才能である(たぶん)。
神降臨
次のレッスン。
とにかく私は、全力でアピールした。
「めちゃくちゃ苦労してます」
「ちゃんと自分でも調べてます」
——努力してる人、です(ここ大事)。
そして畳みかけるように質問攻め。
「これどういう意味ですか?」
「ここは何を押すんですか?」
※なお、覚える気はあまりない(先生ごめん💖)
そして、ついに核心へ。
「先生……最初のところ、一緒に作ってもらっていいですか」
(切実)
先生は優しく頷いた。
「見ながらの方が、分かりやすいですよね」
——神。
速すぎ現実
そして実演スタート。
……早い。
いや、ちょっと待って。
早すぎワロタw
画面が切り替わる。
ボタンが押される。
何かが入力される。
——理解、ゼロ。
「あの、ちょっと待ってください!」
某タレントさんの
「ちょ 待てよ」
を言いたくなるが必死に堪える
そう、私は大人なのです。
でも、心の中では必死に叫んでいる。
おいていかないで(懇願)
……それでも、なんとか食らいつく。
「えーっと、このボタンで……あ、入力画面出た」
少しずつ、ほんの少しずつ。
鍵盤にパーカッションが割り当てられていることを理解する。
——なるほど。
そういう仕組みか。
でも。
先生の手は止まらない。
パパパッパパ——
……いや、やっぱり早い。
慣れてる人、強すぎる。
上手い人の「普通」って、
初心者にとっては、ただの無理ゲーである。
エレクトーンでのリズムづくりは、
正直、ちょっとやりづらい気もした。
……けど。
エレクトーンを作ってくれた人たちのことを思う。
「ありがとうヤマハ」
——とりあえず感謝しておく。
そんなこんなでレッスン終了間際。
先生が、ふと思い出したように言った。
「もしかしたら、前に作ったデータあるかも。探してみるね」
——いやっほー!!
……しかし。
現実は、そんなに甘くなかった。
次のレッスンで渡されたデータは、
初心者用の簡易バージョン。
私がやろうとしている曲には、
——半分しか合わなかった。
……はい。
作りますよ。
ヤケクソで。
ということで——
それからしばらくの我が家は、
鍵盤を弾くたびにパーカッションが鳴り響く、
なかなかにぎやかな空間となった。
例えるなら。
家の中にチンドン屋がいる感じである。
その日々は、約1ヶ月続いた。
データ完成
そんなこんなを乗り越え、ついにデータが完成した。
……うん。
とっても、しゃばい。
はっきり言って、ダサい(ゲフンゲフン)。
でも、私にとっては間違いなく宝物である。
そして、ここでやっと気づいた。
——順番を、完全に間違えていた。
29年ぶりの自分がやるべきだったのは、
いきなりこの曲じゃなかった。
もっと簡単な曲で、
最初は「できる」を積み重ねるべきだった。
でも。
もう、ここまで来てしまった。
気合を新たに!
さあ、これに演奏を乗せるぞ!
意気揚々とリズムに合わせて弾く気満々の私。
しかし、リズムは冷酷だった。
指が迷子になり、手が止まり、頭が真っ白に。
まるで奈落の底に落ちていくような絶望感。
こうして私は知った。
リズムには逆らえない。
——そして次の瞬間、もっと厄介な問題に気づくことになります。
「合ってるはずなのに、全部ズレる」
ここからが、本当の地獄でした。
次回、ついに本格地獄——
リズム地獄編(パート2)
——どうなる私の指、どうなる心。
乞うご期待。
👉 続きはこちら
リズム地獄②|リズムに合わせようとするほどズレる。その違和感に気づいた話
※この話は『47歳、エレクトーンに人生を振り回される』シリーズ#9です
👉すべてはここから始まりました。
→ 29年ぶりに人生が動いた日|椿大神社で決まった“再挑戦”
👉ここまでの流れを、ひとつにまとめました。
→47歳からやり直して、やっと気づいたこと。
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