リズム地獄④|気づいたのに、できない。ここからが本当の地獄だった(47歳、エレクトーンに人生を振り回される)
人は、気づくと変わる。
そう思っていた時期が、私にもありました。
——でも、それは勘違いでした。
前回の記事で、
私は「答え」に気づいた。
リズムは、合わせるものじゃない。“乗るもの”だった。
正直、終わったと思った。
これで攻略した、と。
……そんなに甘くなかった。
頭では、わかっている。
でも、
体は47歳なのである。
言うことを聞かない。
反応が遅い。
勝手にズレる。
気づいたところで、
できるようになるわけじゃなかった。
私はどうやら、
とんでもない勘違いをしていたらしい。
「気づき=できるようになる」
ではなかった。
むしろ現実は逆で、
気づいた瞬間から、
本当の地獄が始まった。
47歳の身体は、
サビだらけの自転車みたいなものだ。
漕げば進む。
でも、
ギシギシ言うし、
まっすぐ進まない。
できることは一つ。
サビを落とすこと。
ただ残念ながら、
人間に使えるクレ5−56(※)は存在しない。
だから私は、
ひたすらリズムを聴くことにした。
正直、めちゃくちゃ退屈だった。
「これ、本当に意味あるのか?」と何度も思った。
同じリズムを延々と聴く。
罰ゲームかと思った。
でも、
ある瞬間から変わった。
「ここはアノ音」
「ここ、難しいところだ」
頭の中で、
音が鳴り始めた。
その状態で弾いてみる。
最初は、乗れる。
でも——
すぐに崩れる。
次の音が気になる。
ミスを恐れる。
自分に戻る。
そしてズレる。
これの繰り返しだった。
だから私は、
一つのやり方にたどり着いた。
体を揺らす。
揺らしながら弾く。
正直に言う。
47歳がエレクトーンの前で揺れている姿は、
なかなかのホラーである。
まるで壊れかけのフラワーロックみたいだ。
しかもリズムもズレている。救いがない。
でも、
これが意外と効く。
揺れている間は、
リズムの中にいられる。
ただし、
難しいところで一瞬でも意識が外れると——
すぐに戻る。
あの“ズレる自分”に。
でも、
前と違うことが一つある。
戻れる。
前は、ズレたら終わりだった。
でも今は違う。
ズレても、
戻れる。
たぶん私は、
「できること」を増やしていたんじゃない。
「戻れる回数」を増やしていたんだと思う。
これが、
今の私にとっての変化だった。
ずっと乗り続けることはできない。
でも、
戻ることはできる。
たぶんこれが、
今の年齢でのやり方なんだと思う。
若い頃みたいに、
一発でできることは、もうない。
でもその代わりに、
「どうやって戻るか」は、
少しずつ分かってきた。
これって、
エレクトーンだけの話じゃない気がする。
ズレるときって、
だいたい「自分のこと」しか見ていない。
周りの流れ。
空気。
タイミング。
それを見失ったとき、
人はズレる。
今はまだ、
すぐにズレる。
でも、
戻れるようになってきた。
それだけで、
ちょっと救われている。
——少なくとも、前の自分よりは。
(次回、「ズレなくなる」のではなく「ズレても戻れる」に変わった話を書きます)
👉次回 → ズレる人ほど「戻ろう」とする。原因はこれだった
※この話は『47歳、エレクトーンに人生を振り回される』シリーズ#12です
👉すべてはここから始まりました。
→ 29年ぶりに人生が動いた日|椿大神社で決まった“再挑戦”
👉ここまでの流れを、ひとつにまとめました。
→47歳からやり直して、やっと気づいたこと。
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※クレ5−56は、呉工業株式会社の商標又は登録商標です
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