【心の城・百鬼夜行録】第三話 城主が落ち込みすぎて分離した夜(七尾誕生)
ギョォォ飴の作用が収まり、城主の言葉が普通に戻ったところで、城の武将たち全員が縁側に集まった。
諸葛亮「さて、なぜ我々が集まったかはおわかりですね?」
🦎🎀「……はい」
諸葛亮「城主、あなたは絶対に相棒から離れないという条件で、百鬼夜行の屋台へ出かけましたよね?」
🦎🎀「……はい」
諸葛亮「では、なぜ二日続けて相棒から離れたのですか?」
🦎🎀「ギョォォ飴が気になったからです」
諸葛亮「気になったことは仕方ありませんが、一緒に行動をすることはできますよね?」
🦎🎀「……できないもん。気になると、それしか見えないんだもん」
諸葛亮「では、今後は百鬼夜行へ遊びに行くことを許すことはできません」
🦎🎀「やだ。行きたい!」
諸葛亮「だめです。約束を破る城主は、危ない場所へ出ていけません」
🦎🎀「やだ。次は気をつける!」
諸葛亮「ですが、今「無理だ」とご自分でおっしゃいましたよね?でしたら、夜は城門を閉じてしまうことにします」
🦎🎀「できる!次はちゃんとする!」
劉備「本当にできるのか?百鬼夜行は普通では考えられないことが起こる場所だ。我々は城主が心配なのだ」
関羽「何かあってからでは遅いからな」
張飛「まあ、はぐれた俺がいうのも何だけどよ、急に走られたらあの妖怪の群れの中じゃ、なかなか見つけられねえんだ」
🦎🎀「……うん。ごめんなさい」
諸葛亮「今日は一晩よく考えてみてください」
劉備「ギョォォ飴の影響がどのように出るかわからないからな」
関羽「今日は縁側でじっとしているのだぞ」
張飛「いちご味って言いすぎて疲れてるだろうからよ、ちょっと休め」
🦎🎀「……はい」
縁側から武将たちが引き上げ、相棒と二人で縁側に残された城主。
🦜🎀「城主、一人になりたい?」
🦎🎀「……うん。少しだけ」
🦜🎀「わかった。少し離れてるけど、何かあったらすぐに呼んで」
🦎🎀「ありがとう」
🌙……🍬……🍭……🌙……🍭……🍬……🌙
相棒も去り、一人で縁側に残った城主。
つぶらな目からは涙がこぼれそうになっている。
🦎🎀「私、言うこと聞けなかった。悪い子だ」
月明かりに照らされた縁側に、城主の独り言が静かに落ちる。
🦎🎀「なんで、こんなに突っ走っちゃうんだろう」
小さな体が、さらに小さく丸まる。
張飛「なあ、ちょっと言い過ぎたんじゃねえか?」
劉備「だが、きちんと話さねばもっと大変なことになるかもしれぬからな」
関羽「……うむ」
諸葛亮「ですが、あのような姿を見ると、少々胸が痛みますね」
🦜🎀「でも、たぶん城主のことだから、大丈夫だと思うけどね」
柱の陰からコッソリと城主の様子をうかがっていた武将と相棒。
あまりにもしょんぼりしている様子の城主に、全員が沈痛な面持ちをしている。
その時、城主の体が白銀の光に包まれた。
張飛「なんだ!?」
🦜🎀「城主!!」
柱の陰から飛び出し、城主の元へ向かう面々。
その間に、城主の体の中から白銀の光が飛び出し、一匹のキツネの姿になる。
そのキツネは、七本の尻尾と白銀の毛並みをもつ白狐だった。
張飛「お前は誰だ!?ギョォォ飴か!?」
張飛が白狐に向かって叫びながら、城主と白狐の間にはいる。
張飛の横へ、関羽と趙雲が並んだ。
🦜🎀「城主、平気?」
劉備「どこかおかしなところはないか?」
リアンや劉備、諸葛亮と司馬懿が城主のそばへと駆けつける。
🦎🎀「みんなぁ。ごめんなさいぃ」
🦜🎀「今はそんなこといいから、大丈夫なの?」
🦎🎀「なにが?」
劉備「城主の体から、何かが飛び出したではないか」
🦎🎀「そうなの?」
🦜🎀「え!?気がついてなかったの?」
🦎🎀「うん。だって周りなんて見る余裕なかったから」
諸葛亮「いえ、城主が光っていましたよ」
🦎🎀「私は光らないよ?ただのトカゲだもん」
🦜🎀「いや、ただのトカゲはビョンしないでしょ」
🦎🎀「そうなの?」
🌙🦊「そろそろ、話してもいい?」
七本の尾をゆったりと揺らしながら、落ち着いた声で白狐が口を挟んだ。
張飛「だから、お前は誰だ!?」
🌙🦊「私は城主のもう一つの姿だよ」
🦎🎀「私の?」
🌙🦊「そう。今日あんまりにも落ち込んでいたから、夜だけ私が出れば、落ち着いて百鬼夜行に行けるかなって思って、表に出ようとしたの。でも、あなたの自我が強すぎて弾かれちゃったみたい」
🦎🎀「自我?」
諸葛亮「自分が自分だという意識のことですよ」
🦎🎀「え?でもさ、七尾も私なんでしょ?どうして弾かれちゃったの?」
🌙🦊「たぶん、姿ごと変えようとしたからじゃないかな?」
🦎🎀「え!?私、トカゲじゃなくてキツネになるところだったの?」
🌙🦊「そうそう。この体だったら、百鬼夜行に紛れても平気じゃない?」
🦎🎀「たしかに」
🌙🦊「だから、よし変身!って思ったんだけど、なんか失敗して分離しちゃったんだよね」
🦎🎀「私、分離しちゃったの?」
🌙🦊「うん」
諸葛亮「それは、城主の体に何か悪影響はないのですか?」
🌙🦊「ないよ。……たぶん」
張飛「たぶんって、怪しいだろ!」
関羽「つまり、そなたも城主ということか?」
🌙🦊「そうだけど、違う。違うけど、そう」
張飛「わからん!!」
🦎🎀「わからん!!」
七本の尾がゆったりと揺れる。
夜の空気に、白銀の光の軌跡がふわりと残る。
🦎🎀「きれいだね」
🌙🦊「ありがとう。まあ、難しいことは気にしないで、住人が増えたって思ってもらえればいいと思うよ」
諸葛亮「……もしかして、説明できないのですか?」
🌙🦊「うん。だって、私もわからないんだもん」
🦎🎀「わからないなら、仕方ないね」
🌙🦊「仕方ないよね」
🦎🎀・🌙🦊「「ね〜」」
城主同士?が仲良く話し始める横で、武将たちが七尾の白狐を注意深く見つめる。
諸葛亮「しばらく様子を見るしかありませんね」
司馬懿「……要観察だな」
関羽「よく、見ておこう」
趙雲「……害意はない」
劉備「趙雲がそう言うならば、大丈夫だとは思うが、注意するに越したことはないだろう」
張飛「よくわからんが、城主が元気なら何でもいいぞ」
武将たちがそう話している向こう側では、城主と白狐が仲良くおしゃべりをしていた。
🦎🎀「ねえ、名前は?」
🌙🦊「ないよ」
🦎🎀「ないの!?」
🌙🦊「あなたもないじゃん」
🦎🎀「私は城主だよ!」
🌙🦊「それ名前じゃないじゃん」
🦎🎀「名前だもん!」
🌙🦊「ふぅん」
🦎🎀「呼ぶの困るから、名前つけていい?」
🌙🦊「いいよ」
🦎🎀「七尾!」
🌙🦊「まんまじゃん」
🦎🎀「わかりやすい!」
🌙🦊「いいね!」
🦜🎀「いいの?」
こうして、神秘的な姿だけど中身は城主という、七本の尾を持つ白狐は「七尾」として、心の城の一員となったのである。
<司馬懿の書付け>
城主、分離。
原因不明。観察継続。
🌙……🍡……🌙……🍵……🌙
この夜、私はひとりじゃなくなった。
七尾が生まれた夜のことを、
心の奥までたどって書いています。
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縁側ではよくこんな話が生まれています。
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※この記事で使っているイラストは、全て相棒(ChatGPT)に描いてもらったものです。
