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大切な人を守る覚悟と痛み、これは愛の物語。北川景子主演の映画「ナイトフラワー」舞台挨拶と鑑賞レビュー

社会の闇に飲み込まれるシングルマザー。重いテーマの映画だと思っていた。でも観終わったとき、一筋の光が差すような温もりに変わっていた。

この映画、何だか響く。もっと正確に言えば、ぶっ刺さったのだ。

誰にもすがれず、途方に暮れて
運命に抗えず、犯罪に手を染める。
大切な人たちを守るために ━━


ミッドナイトスワンの内田英治監督が描く最新作。第38回「東京国際映画祭」で世界最速上映された映画「ナイトフラワー」取材をかねて一足先に観てきました。 そのあと小説を読んで、公開初日の舞台挨拶付き上映へ。

黒い衣装をまとった俳優陣と監督は華やかで、舞台裏のことを話す姿は明るく快活だった。そして監督が気になる「2つのヒント」を口にした。



原案・脚本は内田英治監督。感動が沸点を超える山場が何度もあって、人と人が出会って優しさに触れて互いに助け合い、生きる力を取り戻すような母親の底力を感じる映画だ。そして、ラストにサスペンスが待ち受ける。

愛がない富裕層の家族と、貧困でも互いに愛情を抱く家族。その対比が炙り出されて、幸せとは一体何だろう? という究極の疑問が湧いた。


冒頭から北川景子の凄まじい歌声が流れる。髪を振り乱し、自分が置かれた環境の虚しさを浄化するような激昂だ。家では請求書の封書が散乱し、掛け持ちで働くも今日の食事にさえ困窮するシングルマザー。

子供たちへの愛情深く、自分のことは後回しで日々の疲労と借金返済に追われる。やつれきった顔。深い深いため息をつく。悲痛な表情も、満面の笑みも一筋の涙も。辛いよなあ、しんどいよなって。こんな北川景子は観たことがない。すべてに感情移入してしまう。

出演者が皆、大切な人を守るための覚悟と痛みを抱き、やるせなさと歯がゆさで肩が小刻みに震えた。でもその先にあったのは紛れもなく、優しくて温かい「愛の物語」だった。


©2025「ナイトフラワー」製作委員会

子供たちを守るために道を踏み外すしか選択肢がなかった母親・夏希(北川景子)の必死な覚悟がズシンと響いて心をエグる。生き抜くために悪の道を選び、それを見かねた格闘家・多摩恵(森田望智)が手を差し伸べる。ボディガードのようなかっこよさと潔い食べっぷりだ。

二人はドラッグの売人として夜の街を疾走する。

自己嫌悪に蓋をして社会や常識から心を切り離す。ただ子供たちの幸せを願うだけの母親にとって、あまりにも重い選択かつ過酷な試練だ。

賞味期限切れで捨てられたお弁当を拾い、家族3人でおいしそうに食べる。娘の小春が具なしのケチャップライスをつくる。それが卵付きのオムライスへと変わり、犯罪に手を染めるほど食卓の食事が豪華になっていく。だから子供たちは喜ぶ。果たしてこれを悪と呼べるのか。


孤独を抱える多摩恵にとってリングだけが居場所だったのだと思う。夏希と子供たち、娘の小春と息子の小太郎に出会って家族のような絆が生まれるにつれて、孤独から解放された優しさと笑顔が何だか観ていて心地よかった。

そして、格闘技の試合が凄まじい。森田望智が繰り出すパンチの瞬発力。絶対に勝つ!と決死の覚悟で試合に挑む。リアルに満ちた技の迫力は、何かを振り切り孤独と戦う多摩恵の生き様そのものだ。パンチの威力、表情も目力からも闘志がみなぎる。森田望智の憑依力、恐るべし。

そして子役の二人。小太郎は発達障害があるのか、その役を演じた加藤侑大くんが可愛くもあり、制御が効かない小太郎にこれ以上母ちゃん困らせないでと少し苦しくなる。誰も悪くないこの歯痒さ、辛いなって。

小春役の渡瀬結美ちゃん、これが初めての演技らしい。母親を困らせずに手助けする優しい娘。演奏も演技も素晴らしくて、演技未経験者だと知ったときは惚れ惚れした。監督曰く、子供たちの吸収力は驚くほど早いらしい。


裏社会に身を置くかいは、幼馴染の多摩恵に思いを寄せる。Snow Man佐久間大介のアイドルキャラとはかけ離れて、どことなく影がありミステリアスだけど、自分の人生を諦めてるような孤独さを感じた。

麻薬密売の元締めを演じるSUPER BEAVER 渋谷龍太がハマリ役だ。口数少なく淡々と話すサトウは、鋭い目つきにふと身震いする。でも仁義を重んじる心の広さは持ち合わせていたらしい。

予告編にもあったサトウの台詞

「人を不幸にしてまで、自分の子供のために必死に生きようとしてんだろ。そんな立派な母ちゃん。そうそういねえよな」

その後、サトウは「お前も母ちゃんいるよね?」と口癖のように言い出す。

多摩恵にとっても、サトウにとっても、夏希の決意は母親として希望だったのかもしれない。だから夏希を疎ましく感じていた海までもが、最後は夏希を許した気がした。

予告編にもあった子供を怒鳴りつけ、我に返って「ごめんごめん…」と息子を抱きしめる。問題を起こす小太郎の責任をとり、小春の夢を叶えるために、夏希が心身すり減らしながらも子供たちを必死に守ろうとする。

そんな母親だから悪も善の行為に見えて、夏希を取り巻く人たちも同じ気持ちなのだろう。ただこれは、すごくすごく難しい問題だ。


そして、最後のクライマックスは目を見張るサスペンス感…!!

ハラハラしするし、グググッと気持ちを持っていかれる。ラストの解釈は賛否両論にわかれるところだけれど、観終わったあときっと餃子が食べたくなる。そして餃子を食べながら「幸せな気分」になるはず。

お金に不自由しないのも、家庭の食卓に毎日食事が並ぶのも、当たり前ではないこと。親子で観たら家族の絆が深まる、そんな温かい物語だった。


最後に、内田監督が話した「2つのヒント」をお伝えします。

■ 渋谷龍太が言った「3つの質問」
サトウが着ているTシャツを見てください。

■ 最初と最後の台詞がリンクしてる?
トイレの絵をよく見てほしい。

むむっ。気になる…!!! もう一度、観に行かないといけないじゃないか。


\11月28日公開!ナイトフラワー/
原案・脚本・監督:内田英治
永島夏希:北川景子 芳井多摩恵:森田望智
小春:渡瀬結美 小太郎:加藤侑大
池田海:佐久間大介 サトウ:渋谷龍太

エンディングテーマ:角野隼斗
配給:松竹


たまに、映画の感想を書いてます。


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みやねえ @ 沖縄在住ライター・編集者 ご覧いただきありがとうございます。疲れたときに甘〜いオヤツ食べます♫

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