松村北斗の繊細さ、映像のフィルム感。映画「秒速5センチメートル」の温度感が好きだ
人は生涯に5万語の言葉と出会うらしい。
その中でも、自分にとって大切な言葉は意外とシンプルだったりする。主人公の貴樹が思い出した「宇宙に残したい言葉」これが、この映画の真髄かもしれないと思った。
新海誠監督の原作アニメーション実写化。原作にはなかった貴樹の背景がリアルに描かれて、18年間のピュアな恋心に終止符を打つエピローグのような、貴樹と明里がそれぞれ出発地点に立つプロローグのようにも感じた。
映画「秒速5センチメートル」の公開初日。
全国136館で舞台挨拶のライブ・ビューイングが行われ、沖縄の映画館で観てきました。鑑賞後の舞台挨拶では面白トークを交えながら、作品への思いや撮影現場の様子がじっくり語られて大満足…!でした。
そして、撮影現場では物静かで、遠くに、遠くに……いた主演の松村北斗が「Golden SixTONES」では弾けていて、「こんなに面白い人だったんだ」「信頼できる仲間が側にいて羨ましい」と高畑充希や宮﨑あおいが番宣の感想を語り、松村北斗の作品に対する真摯さや、SixTONESという仲間への信頼感があらわになる場面もありました。
松村北斗さん最高か…!映画 #秒速5センチメートル 公開初日の舞台挨拶付上映で観てきた。音楽と映像が美しすぎて種子島の風景や木漏れ日も、ハラハラと舞い散る桜と雪も、後ろ姿で表現する描写とか。納得の配役で作品全体の温度感がよすぎた。かなりだいぶ尊かった。もう一度観たい…この作品好きだな pic.twitter.com/FclWs2bI8g
— みやねえ/映画好きライター・エンタメ放浪中 (@miya_nee3) October 10, 2025
この映画は、松村北斗さんのアップから始まる。そして桜が舞う。
遠野貴樹と篠原明里は小学5年生のときに東京で出会い、卒業とともに明里は栃木へ。中学1年生になったふたりは岩舟駅で落ち合う。その後、貴樹は高校時代まで鹿児島の種子島で過ごす。
そして、29歳のふたりは再び東京にいた。
郷愁を誘う映像も、音楽も風景も、配役も脚本も、何だろうか。すべてが心に刺さる。美しすぎる。作品全体の温度感がとても好きだと思った。
(一部だけネタバレありですが、重要な部分は伏せて書きました)
━━━━━━━━━━━
映画は「3部構成」
━━━━━━━━━━━
映画の中では時系列を前後させ、絶妙なタイミングで回想シーンを入れてくる。
■小学5年生〜中学1年生
貴樹:上田悠斗、明里:白山乃愛
■高校時代の種子島
貴樹:青木柚、花苗;森七菜、花苗の姉・美鳥先生:宮﨑あおい
■29歳のふたり(東京)
貴樹:松村北斗(主演)、明里:高畑充希、理紗:木竜麻生
━━━━━━━━━━━━━━━━
小学5年〜中学1年までのふたり
━━━━━━━━━━━━━━━━
きらめく木漏れ日、ハラハラと舞い散る桜。ふたりのじゃれ合いや他愛もない会話がひたすら可愛くて、貴樹役の上田悠斗くん、明里役の白山乃愛ちゃん。いつまでも観ていたい見事な感情表現。その演技は、MVPものだ。
原作の名言と岩舟駅の名シーンが再現される。
「0.0003パーセントなの知ってた? 人と人が出会う確率」
「ねぇ、秒速5センチなんだって。
桜の花の落ちるスピード。秒速5センチメートル」
米津玄師さんの主題歌「1991」は、ふたりが出会った年。
原作と同様に岩舟駅へ向かう貴樹の不安な気持ち、電車が動かないジレンマが映像からひしひしと伝わってくる。雪の静けさと冬の寒さ、ノスタルジックな駅と電車が共鳴してさらに哀愁ただよう。切なく胸を打たれる原作の再現シーンだ。
そして、親心のような気持ちで涙するあの名場面へ。静まり返った雪景色が広がる映像が脳裏によみがえる。なんて美しい映像だろう…… 18年間、貴樹が忘れられずにいたキラキラした眩い思い出のすべてが詰まっていた。
小学生のふたりが図書室で本を選び、交換する。相手のことをもっと知りたいと本に興味を持ったのか、社会人の明里は本屋で働き、貴樹はプログラマーを経て天文の世界へ。
図書館での些細な出来事が、29歳のふたりに引き継がれていた。
━━━━━━━━━━━━━━
高校時代、種子島での貴樹
━━━━━━━━━━━━━━
種子島の風景と、まばゆい海面の反射が夏の到来を感じさせる。
青木柚さん演じる貴樹に恋心を抱く、花苗役の森七菜さん。「貴樹くん、大好きだ!」という思いが些細な仕草や一瞬の表情からも伝わり、全身から溢れ出していた。だからサーフィンの練習も無意識に応援していたし、映画では感動的にフォーカスされて最高のシーンに仕上がっていた。客席で小さなガッツポーズをした。
貴樹がなぜ大人びて見えるのか。その理由に気づいたとき、初恋の苦しさに耐えかねた花苗の涙がいたたまれず、一緒に泣いた。森七菜さん、やっぱりすごい役者だ。このシーンが物語を大きく動かした気がした。
宇宙センターの大型トラックが横切る。心が飛び跳ねるような種子島のロケット打ち上げシーン。貴樹の行き場のない思いを比喩するように作品と融合していた。
━━━━━━━━━━━
東京、29歳のふたり
━━━━━━━━━━━
そして松村北斗だ。いい。めちゃめちゃいい(語彙力…)
ピュアな恋心を抱いたまま、言葉少なく繊細な心と感情を表に出さず、人と距離を置く。悲しげでどこか投げやりで、明里と過ごしたころに心を置き去りにしたまま、何となく生きているふうだ。
表情だけで機微を語る松村北斗さん。かなり難しい役柄だ。原作にはない貴樹が心を閉ざした理由。その内面の空気をまとい、松村北斗が繊細に描く。
貴樹の恋人が自分自身に言った「まあまあ、ひどいよね。笑」これがブーメランとなって貴樹に跳ね返る。空を見上げ、遠くを見つめる松村北斗さんの切なそうな横顔が、ひときわ美しかった。
鮮明に記憶が戻ってハッと我に返り、今までの惰性から人間らしい感情を取り戻す終盤のシーンがとてつもなく尊くて、原作と変わらないエンディングだけれど、映画を観て「やっと貴樹が救われたんだ」そんなことを思った。
窓から空を見上げて物思いにふける、29歳の明里。
高畑充希さん演じる清楚で物静かな明里は本屋で働き、穏やかな同僚たちとの相性も良さそうだ。「大切な思い出はで今も現実」という台詞に隠された思いも語られていて、遭遇しそうでしない貴樹と明里がじれったくて、お節介おばさんになりかけた。
種子島では花苗に寄り添い、東京では貴樹や明里に寄り添う宮﨑あおいさんの皆を温かく見守る姉御っぷりも、いい温度感だった。
この映画は、とにかく映像が美しい。郷愁を誘うような昔のフィルム感というか。その理由を奥山監督が公開記念特番で語っていた。
「懐かしさと新しさが混在する作品にしたくて、デジタルで撮った映像を16mmフィルムに焼きつける『フィルムレコーディング』という技法を使って温かみがある質感に仕上げました」
素人でもわかる、本腰の入れようだ。原作に似合う場所を探して撮影したため、桜のシーンはCGも駆使したらしい。
「原作の風景を再現するために、CGを用いて視覚効果(VFX)を追加してます。でもどこがCGで、どこがリアルな撮影だったか。僕もわからなくなるくらい(笑)。素晴らしい胆力でCGチームが向き合ってくれました」
後ろ姿で表現する描写。回想シーンに切り替える絶妙なタイミング。逸脱した構成と最高潮のクライマックス。メッセージ性といい、奥山由之監督の感性と作品に対する情熱。監督にはどんな世界が見えていたのだろうか。
10月6日から5夜連続、フジテレビで放送された公開記念特番「めぐり合わせが生んだ軌跡「秒速5センチメートル」ができるまで」
TVerで視聴可(期限の明記ないため、当分視聴できると思います)
https://tver.jp/series/srpba4eori
複雑な感情が溢れ出し、自分と重ねて観てしまう。共感したり、感動したり、心の痛みも一緒に受け止めて苦しくなる。胸が締めつけられる。
恋をベースにした物語だけど、苦しかったこと、悲しかったこと、ドキドキしたこと、救われたこと。生きてると出会う感情がそこかしこに散らばっていて、自分と向き合う時間を連れてくるような映画にも思えた。
貴樹が「宇宙に残したい言葉」とは、何だったのか。
映画の中に答えはないけれど、宮﨑あおいの台詞、松村北斗が元カノに伝えた言葉から想像すると、18年間ずっと明里に言えずにいた「好きです」だったんじゃないかと思った。
皆さんは、どんな言葉を残したいですか。
【noteで書きました】映画 #秒速5センチメートル 感想レビューです。もう書きたいことが多すぎて。原作アニメを観た、あらすじを知る人に向けて書いてます🙏
— みやねえ/映画好きライター・エンタメ放浪中 (@miya_nee3) October 19, 2025
松村北斗の繊細な演技と、映像のフィルム感。映画「秒速5センチメートル」の温度感が好きだhttps://t.co/QpVVoiXf4p
こんなnoteも書いてます。
\考え方とマインドを整える/
インタビュー・取材ライター講座5ヶ月間
マンツーマンのコーチング付き
いいなと思ったら応援しよう!
ご覧いただきありがとうございます。疲れたときに甘〜いオヤツ食べます♫