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JASRACのAI音楽指針は、AI音楽の終わりではなく「本当の創作」の始まりだ

先日、JASRACがAIを利用した音楽作品に関する指針を公表した。

JASRACとは、日本音楽著作権協会のことだ。
作詞家や作曲家などの権利を預かり、音楽が使われたときに使用料を集め、権利者に分配する団体である。

たとえば、テレビ、ラジオ、カラオケ、ライブ、店舗BGM、インターネット配信など。
音楽がさまざまな場所で使われるとき、その権利処理に関わっている。

そのJASRACが、AIで作られた音楽をどう扱うのかについて、ひとつの考え方を示した。

内容を簡単に言えば、こうだ。

AIが自律的に生成した歌詞や楽曲など、
人間の創作的な関与が認められないものは、著作物にはあたらない。
したがって、JASRACの管理対象にはしない。

一方で、歌詞や楽曲の一部に人間の創作的な関与がある場合は、
その人間が創作した部分については管理対象にする。

つまり、AIを使った作品であっても、すべてが否定されるわけではない。
逆に、AIが関わっているからといって、すべてが人間の著作物として扱われるわけでもない。

ポイントは、ここだと思う。

そこに、人間の創作があるのかどうか。


「AI音楽を止めるルール」なのか

このニュースを見て、最初にこう感じた人もいるかもしれない。

AIで音楽を作る流れを止めたいだけではないか。
既存の音楽業界を守るためのルールではないか。
AIクリエイティブの時代に逆行しているのではないか。

その感覚は、とても自然だと思う。

AIによって、これまで専門家しかできなかったことが、
個人にも企業にも開かれ始めている。

文章。
画像。
動画。
音楽。

あらゆるクリエイティブの領域で、制作のハードルは一気に下がっている。

これまで、

  • 高い

  • 時間がかかる

  • 専門家に頼まないとできない

と思われていたものが、
アイデアさえあれば形にできる時代になった。

この流れは、間違いなく止まらない。

特に音楽はそうだ。

少し前まで、曲を作るには、
作詞、作曲、編曲、歌唱、録音、ミックスなど、
多くの専門工程が必要だった。

しかし今は、言葉でイメージを伝えるだけで、
AIが歌詞やメロディ、アレンジ、歌声まで生成できるようになってきている。

これは、音楽制作の民主化だと思う。

今まで音楽を作れなかった人が、
自分の想いや会社の理念を歌にできる。

家族へのメッセージを曲にできる。
チームの目標を歌にできる。
企業のビジョンを音楽として届けることができる。

私は、この変化には大きな可能性があると思っている。

ただし、今回のJASRACの指針を、
単純に「既得権益対AI」という構図で見てしまうと、
本質を見誤る気がしている。


問われているのは、AIで作っていいかどうかではない

今回問われているのは、
AIで音楽を作っていいかどうかではない。

問われているのは、もっと手前にある。

その作品に、人間の意志はあるのか。
その作品に、誰の創作責任があるのか。
その作品は、誰の想いを背負っているのか。

そういうことではないかと思う。

AIは、ものすごいスピードで曲を作れる。

極端に言えば、1日に何百曲、何千曲という生成もできる。
歌詞も、メロディも、アレンジも、ボーカルも、AIが作れてしまう。

では、それらをすべて同じように「作品」として扱えるのか。

もし、ただボタンを押して大量に生まれた音源が、
すべて同じように権利化され、流通し、管理されるとしたら、
音楽市場は一気に混乱する。

作品の数は爆発的に増える。

でも、その一つひとつに、
どれだけの創作意図があるのかは見えにくくなる。

  • 誰が作ったのか

  • どこまで人間が関わったのか

  • どの部分に創作性があるのか

  • 誰が責任を持つのか

そこが曖昧なまま大量に流通すれば、
音楽を使う側も、作る側も、守る側も混乱する。

そう考えると、JASRACの指針は、
AI音楽を否定しているというより、
むしろ 「人間の創作とは何か」 を改めて線引きしようとしているように見える。

これは、AIクリエイティブに関わる側にとって、
かなり重要なメッセージだと思う。


これからの価値は「AIか、人間か」ではない

AIで作ったものだから価値がない、という話ではない。

逆に、AIを使っていたとしても、
そこに人間の視点、言葉、編集、選択、物語、責任があるなら、
それは創作になり得る。

ここが大事だと思っている。

これからの音楽制作は、

AIか、人間か

ではなく、

AIを使って、人間が何を表現したのか

に価値が移っていく。

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企業ソングは、音源ではなく「思想の音楽化」だ

企業ソングの領域で考えると、これはより明確になる。

企業が求めているのは、
単にAIが作ったかっこいい曲ではない。

大切なのは、

  • その会社が、何を大切にしているのか

  • どんな歴史があるのか

  • 社員に何を伝えたいのか

  • お客様にどう見られたいのか

  • 未来に向けて、どんな旗を掲げたいのか

そうしたものを音楽にすることだ。

つまり、企業ソングは「音源」ではない。

会社の思想を音楽化する仕事だ。

だからこそ、AIだけで完結するものではない。

もちろん、AIは強力な制作エンジンになる。

  • 制作スピードを上げる

  • コストを下げる

  • 多くのパターンを試せる

  • 専門的な音楽制作を、より多くの人に開くことができる

でも、AIは会社の空気を知らない。

社員の悔しさを知らない。
社長がなぜその言葉にこだわるのかを知らない。
現場で働く人たちが、どんな瞬間に誇りを感じるのかを知らない。

そこを引き出すのは、人間の仕事だ。


AI時代に、人間の役割はむしろ深くなる

AI時代において、
人間の役割はなくなるのではない。

むしろ、より深くなる。

これまでの音楽制作では、
作曲技術や編曲技術そのものに大きな価値があった。

もちろん、それは今後も重要だ。

ただ、AIによって制作技術の一部が民主化されると、
次に問われるのは「何を作るか」だけではなくなる。

なぜ作るのか。

ここが問われる。

  • 誰のための歌なのか

  • 何を変えるための歌なのか

  • どんな場面で歌われるのか

  • 誰の心を動かすための歌なのか

ここに、人間の創作的寄与がある。

今回のJASRACの指針は、
AI音楽ビジネスにとってブレーキではなく、
むしろ分岐点だと思う。

ただAIで大量生成するだけの音楽は、今後どんどん安くなる。

一方で、人間の想いを引き出し、編集し、言葉にし、
企業や個人の物語として設計された音楽は、
むしろ価値が上がる。


「誰でも作れる曲」ではなく、「その人にしか作れない曲」へ

AIによって、音楽制作は誰でもできるようになる。

だからこそ、

誰でも作れる曲

ではなく、

その人、その会社にしか作れない曲

が求められるようになる。

私は、AIクリエイティブの未来はそこにあると思っている。

AIは、人間の創造性を奪うものではない。
人間の創造性を、より多くの人に開放するものだ。

ただし、それは
「人間が何もしなくていい」
という意味ではない。

むしろ逆だ。

AIが作れる時代だからこそ、

人間が何を選ぶのか。
何を残すのか。
何に責任を持つのか。

その姿勢が、より問われる。


AI音楽に必要なのは、設計力だ

AI音楽の時代に必要なのは、
AIを恐れることではない。

AIを過信することでもない。

必要なのは、
AIを使いながら、人間の想いをどう作品に変えるかという設計力 だ。

これからの音楽制作は、職人だけのものではなくなる。

企業にも、個人にも、家族にも、チームにも開かれていく。

自分たちの想いを歌にする。
理念を歌にする。
人生を歌にする。
子どもに残したい言葉を歌にする。
社員に伝えたいメッセージを歌にする。

そのとき大切なのは、
AIで作ったかどうかではない。

そこに、人間の想いがあるかどうかだ。

今回のニュースは、AI音楽の終わりを示すものではない。

むしろ、AI音楽が次の段階に入ったことを示している。

これからは、ただ生成する時代ではない。
創作の責任を持つ時代だ。

そして私は、この時代だからこそ、
音楽はもっと多くの人のものになると思っている。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

このnoteでは、
「生きる」と「働く」を、AIと人の力でより豊かにデザインすることをテーマに、
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著者プロフィール

宮沢光平|【歌 × AI】で新しい生き方をつくる人
株式会社ユナイテッドマインドジャパン 代表取締役。

「生きる」と「働く」を、AIと人の力でより豊かにデザインすることをテーマに活動しています。

人生や事業、企業理念に込められた想いを一曲の歌にする ONE SONG / THE COMPANY SONG、言葉になりきらない想いや物語を音楽・文章・体験として届ける SONORY を展開。

働き方を見つめることは、その人や会社の生き方を見つめることでもある。

そんな考えのもと、キャリア支援サービス 住まキャリ を運営し、転職支援、企業の採用支援、エージェント活用に関する発信を行っています。

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