自尊心と自己肯定感の違いを、「なんとなく」で終わらせない
「自己肯定感」と「自尊心」。
どちらも、よく聞く言葉だと思います。
自己肯定感が低い。
自尊心が傷つく。
自分を大切にする。
もっと自信を持つ。
本やSNSでもよく見かけるし、なんとなく意味は分かる気がする。
どちらも、自分との関係に関わる言葉なのだろうとは思う。
どちらも低いと、生きづらくなる気がする。
どちらも、自信のなさや自己否定とつながっていそうに見える。
でも、いざ自分の苦しさに当てはめようとすると、急に分からなくなることがあります。
これは自己肯定感が低いからなのか。
それとも、自尊心が傷ついているからなのか。
そもそも、この二つは何が違うのか。
言葉としては知っているのに、自分の中で起きていることに重ねようとすると、ぼんやりしてしまう。
たとえば、仕事で小さなミスをしただけなのに、家に帰ってからもずっと引きずってしまう。
「あのとき、なんであんなことをしたんだろう」
「やっぱり自分はダメだ」
「こんな自分だから、うまくいかないんだ」
本当は一つの出来事だったはずなのに、気づくと自分の存在ごと否定している。
ミスを反省しているだけではなく、
「自分には価値がない」
「自分なんていないほうがいい」
そんなところまで落ちてしまう。
それは、自己肯定感の低さに近い苦しさかもしれません。
一方で、人間関係の中で、傷ついているのに我慢してしまうこともあります。
本当は嫌だった。
でも、笑って流した。
本当は雑に扱われている気がした。
でも、「自分が気にしすぎなのかもしれない」と思った。
本当は断りたかった。
でも、嫌われるのが怖くて引き受けた。
相手の機嫌が悪いと、自分が何かしたのかもしれないと不安になる。
返信がそっけないだけで、何度もスマホを見てしまう。
少し強い言い方をされても、「ここで言い返したら面倒な人だと思われる」と飲み込んでしまう。
そして後から、ひとりになったときに疲れが出る。
なんであそこで嫌だと言えなかったんだろう。
なんでまた我慢してしまったんだろう。
どうして自分のことを守れないんだろう。
そうやって、自分を大切にできない自分まで責めてしまう。
これは、自尊心が傷ついている状態に近いのかもしれません。
自己肯定感と自尊心は、どちらも「自分をどう扱うか」に関わっています。
だから似ています。
だから混乱します。
でも、苦しみ方には少し違いがあります。
自己肯定感は、
「できなくても、自分を否定しすぎない感覚」
に近いものです。
失敗しても、自分全部をダメだと決めつけない。
頑張れない日があっても、存在ごと責めない。
人に評価されない日でも、自分の価値が全部消えたようには扱わない。
もちろん、落ち込む日もあります。
悔しい日もあるし、恥ずかしい日もある。
「もっとちゃんとしたかった」と思うこともある。
でも、そこで
「だから自分は価値がない」
まで行きすぎない。
失敗と自分の存在を、少しだけ分けて見られる。
それが、自己肯定感に近い感覚です。
一方で、自尊心は、
「自分を大切に扱っていいと思える感覚」
に近いものです。
雑に扱われたときに、
「これは少しつらい」
と気づけること。
無理なお願いをされたときに、
「今の自分には難しい」
と思っていいこと。
傷つく言葉を浴び続けたときに、
「ここに居続けると、自分が削られてしまう」
と感じられること。
自分を守ろうとすることを、すぐに「わがまま」や「冷たいこと」だと決めつけない感覚です。
自己肯定感が低いと、内側で自分を責めやすくなります。
できなかった自分。
失敗した自分。
期待に応えられなかった自分。
ちゃんとできなかった自分。
そういう自分を見たときに、すぐに攻撃してしまう。
自尊心が傷ついていると、外側からの扱われ方に対して、自分を守りにくくなります。
雑に扱われても我慢する。
嫌なことを嫌と言えない。
相手の都合を優先しすぎる。
自分が傷ついていることさえ、なかったことにする。
どちらも苦しいです。
そして実際には、自己肯定感と自尊心の両方が絡み合っていることも少なくありません。
失敗すると、自分の存在ごと否定したくなる。
でも、人から傷つけられても「自分が悪い」と思ってしまう。
褒められても信じられない。
でも、雑に扱われても「自分なんか仕方ない」と思ってしまう。
嫌われるのが怖くて、境界線を作れない。
でも、断れない自分をまた責めてしまう。
内側から自分を責めて、外側からも自分を守れない。
その両方が重なると、心はどんどん削られていきます。
だから、苦しくなるのは当然なのだと思います。
「自分は自己肯定感が低いのかな」
「自尊心がないのかな」
「どちらも低いのかな」
そうやって迷っているとき、まず大切なのは、正確な言葉の分類だけではありません。
それよりも、
自分がどんな場面で、自分を責めているのか。
どんな関係の中で、自分を後回しにしているのか。
どんな瞬間に、『自分なんか』が出てくるのか。
そこを見ていくことです。
たとえば、朝起きた瞬間から「今日もちゃんとしなきゃ」と体に力が入っている。
仕事では迷惑をかけないように先回りして動く。
人と話すときは、相手の反応を読みすぎる。
帰ってきたらどっと疲れているのに、「もっとできたはず」と反省が始まる。
SNSを開けば、誰かの楽しそうな投稿や成果が目に入る。
「みんなはちゃんと進んでいるのに、自分は何をしているんだろう」と比べてしまう。
本当は休みたいのに、休んだら置いていかれる気がする。
人間関係でも、相手の言葉に少し傷ついたのに、すぐに自分のほうを疑ってしまう。
「これくらいで傷つく自分が弱いのかな」
「嫌だと思う自分が小さいのかな」
「こんなことで距離を置いたら、冷たい人だと思われるかな」
そうやって、自分の感覚を信じる前に、自分の感覚を責めてしまう。
でも、本当は。
傷ついたなら、傷ついたのです。
疲れたなら、疲れたのです。
嫌だったなら、嫌だったのです。
できなかったなら、できなかった日だったのです。
そこに、すぐ
「だから自分はダメ」
「だから我慢しなきゃ」
をつけなくてもいい。
自己肯定感と自尊心の違いが分かってくると、自分の苦しさが少し整理されていきます。
「私は失敗したときに、自分を存在ごと否定しやすいんだな」
「私は人間関係で、雑に扱われても我慢しやすいんだな」
「私は自分を守ろうとすると、すぐ罪悪感が出るんだな」
そんなふうに見えてくる。
それは、自分を責めるための分析ではありません。
「だから自分はダメなんだ」と決めつけるためでもありません。
むしろ逆です。
今まで、ただ苦しかったものに名前がつくと、少しだけ距離ができます。
自分がおかしいわけではなく、
自己肯定感の低さとして出ていたのかもしれない。
自尊心の傷つきとして現れていたのかもしれない。
ずっと自分を後回しにしてきた結果だったのかもしれない。
そう見えるだけで、自分への攻撃は少し弱まります。
この記事では、自尊心と自己肯定感の違いを、辞書的な説明だけで終わらせません。
日常の中でどんなふうに苦しさとして出てくるのか。
失敗したとき、自分をどう責めてしまうのか。
人間関係の中で、なぜ自分を守れなくなるのか。
「自分なんか」が、どんなふうに毎日の選択を小さくしていくのか。
そこを一つずつ整理していきます。
「なんでこんなに自分を大切にできないんだろう」
そう思ってきた人ほど、まずはその自分を責めなくていいです。
自分を大切にできなかったのは、あなたが弱いからだけではないかもしれません。
ずっと我慢してきたからかもしれない。
ずっと自分を責めることで、なんとか崩れないようにしてきたからかもしれない。
嫌われないように、傷つかないように、必死に合わせてきたからかもしれない。
だからまずは、
「自分はどこで苦しくなっているのか」
を一緒に見ていきましょう。
自己肯定感と自尊心の違いを知ることは、言葉を覚えることではありません。
自分を責め続けてきた場所に気づくこと。
自分を守れなかった理由を理解すること。
そして、これから少しずつ、自分との関係を変えていく入口を見つけることです。
ここから、日常の苦しさに重ねながら整理していきます。
「自己肯定感」と「自尊心」、似ているのに苦しみ方が違う
自己肯定感と自尊心は、どちらも自分との関係に関わる言葉です。
けれど、苦しみ方には少し違いがあります。
自己肯定感が低いと「できない自分」を責めやすく、自尊心が傷ついていると「雑に扱われる関係」に耐え続けやすい。
まずは、この二つが曖昧なまま苦しくなる感覚を整理していきます。
言葉は聞くけど、違いがよく分からない
自己肯定感。
自尊心。
どちらも、自分に関係する大事な言葉だということは分かる。
でも、はっきり違いを聞かれると、少し迷う人も多いと思います。
自己肯定感が低い。
自尊心が傷つく。
自尊心を持つ。
自己肯定感を高める。
言葉としては知っている。
でも、自分の苦しさに当てはめようとすると、よく分からなくなる。
「自分を好きになれないのは、自己肯定感?」
「人に雑に扱われても我慢するのは、自尊心?」
「失敗で全部ダメになる感じは、どっち?」
「そもそも両方低いのかもしれない」
そんなふうに混乱することがあります。
でも、この混乱は自然です。
自己肯定感も自尊心も、どちらも
「自分をどう扱うか」
に関わっているからです。
ただ、少しだけ視点が違います。
自己肯定感は、
「できる・できないに関係なく、自分を否定しすぎない感覚」
自尊心は、
「自分を粗末に扱わず、大切にされる価値があると思える感覚」
そう考えると、少し違いが見えてきます。
どちらも低い気がして混乱する
自分のことを考えたとき、
「自己肯定感も低いし、自尊心も低い気がする」
と思う人もいるかもしれません。
それは珍しいことではありません。
たとえば、失敗したときに
「自分には価値がない」
と思ってしまう。
これは、自己肯定感の低さに近い苦しさです。
一方で、誰かに雑に扱われても、
「自分が我慢すればいい」
と思ってしまう。
これは、自尊心が傷ついている状態に近いかもしれません。
どちらもあると、かなり苦しくなります。
自分を内側から責める。
外側から雑に扱われても、そこから離れられない。
傷ついているのに、自分が悪いと思ってしまう。
我慢しているのに、もっとちゃんとしなきゃと思う。
そうやって、内側と外側の両方で自分が削られていく。
だから混乱してもいいのです。
「自分はどっちが低いんだろう」と正確に分けることよりも、
「自分はどんな場面で苦しくなっているんだろう」
と見ていくほうが、最初は大切かもしれません。
「自分を大切にできない感覚」だけが残っている
自己肯定感と自尊心の違いが分からなくても、苦しさだけははっきり残っていることがあります。
自分を大切にできない。
この感覚です。
疲れているのに休めない。
傷ついているのに我慢する。
本当は嫌なのに断れない。
失敗すると、自分全部がダメに見える。
人に軽く扱われても、「自分なんか仕方ない」と思ってしまう。
自分を大切にすることが、どこか分からない。
自分を守ろうとすると、わがままな気がする。
休もうとすると、甘えている気がする。
嫌だと言おうとすると、嫌われる気がする。
だから、自分を後回しにする。
でも、そのたびに心は少しずつ削られます。
自己肯定感も自尊心も、難しい言葉に聞こえるかもしれません。
でも根っこにあるのは、
「自分をこれ以上、粗末にしなくていい」
という感覚なのだと思います。
自己肯定感は、「できなくても自分を否定しない感覚」
自己肯定感は、いつも自信満々でいることではありません。
失敗しても「自分には価値がない」に直結しないこと。
頑張れない日があっても、自分を責めすぎないこと。
「そのままでも存在していい」という土台があること。
ここでは、自己肯定感の感覚を日常に沿って整理します。
失敗しても、「自分には価値がない」に直結しない
自己肯定感が低いと、失敗がとても重くなります。
仕事でミスをした。
人前でうまく話せなかった。
返信が遅れた。
予定通りに動けなかった。
何かを続けられなかった。
そのたびに、
「自分はダメだ」
と思ってしまう。
一つの失敗が、自分全体の否定に広がってしまうのです。
本当は、ミスはミスです。
うまくいかなかった日は、うまくいかなかった日です。
疲れてできなかった日は、疲れてできなかった日です。
でも自己肯定感が低いと、そこに
「だから自分には価値がない」
がくっついてしまう。
これが苦しい。
自己肯定感がある状態とは、失敗しても平気でいられることではありません。
落ち込んでもいい。
悔しくてもいい。
恥ずかしくてもいい。
でも、そこから
「自分の存在全部がダメ」
までは行かない。
失敗と自分の価値を、少し分けて扱える。
それが、自己肯定感の大事な部分です。
頑張れない日があっても、自分を責めすぎない
頑張れない日があります。
朝起きるのがつらい日。
仕事や勉強に集中できない日。
人と話すだけで疲れる日。
返信する気力がない日。
何も進まない日。
そんな日があると、自己肯定感が低い人はすぐ自分を責めます。
「怠けてる」
「甘えてる」
「もっとできるはず」
「こんな自分じゃダメ」
でも、人はいつも同じようには頑張れません。
体調もある。
心の疲れもある。
人間関係の消耗もある。
過去の傷が反応している日もある。
頑張れない日があることと、自分に価値がないことは別です。
自己肯定感が少しあると、
「今日は疲れていたのかもしれない」
「今日は回復が必要だったのかもしれない」
と見られる余白ができます。
完璧にできない自分を、すぐに責めるのではなく、少し状態として見られる。
その感覚が、心を守ってくれます。
「そのままでも存在していい」が土台になる
自己肯定感の土台には、
「そのままでも存在していい」
という感覚があります。
これは、何もしなくていいという意味ではありません。
成長しなくていい。
努力しなくていい。
人に迷惑をかけてもいい。
そういう極端な話ではなく。
できる日も、できない日も。
頑張れる日も、頑張れない日も。
評価される日も、されない日も。
自分の存在価値が、そのたびに全部消えたりしない。
そういう感覚です。
自己肯定感が低い人は、価値を条件つきで感じやすいです。
成果を出せたら価値がある。
人に好かれたら価値がある。
役に立てたら価値がある。
ちゃんとできたら価値がある。
でも、条件つきの価値はとても不安定です。
条件を満たせない日が来るたびに、自分が崩れてしまうからです。
もし今、「自己肯定感そのものをどう回復すればいいか知りたい」と感じるなら、記事18「自己肯定感の高め方。『自分を好きになる』より先に必要なこと」も読んでみてください。
「自分を否定し続けない感覚」について整理しています。
自尊心は、「自分を大切に扱う感覚」に近い
自尊心は、自分を大切に扱う感覚に近いものです。
傷つく環境から距離を取ろうとできること。
無理な我慢を続けすぎないこと。
「自分には大切にされる価値がある」と感じられること。
ここでは、自尊心が日常の人間関係や境界線にどう関わるのかを見ていきます。
傷つく環境から距離を取ろうとできる
自尊心があると、傷つく環境から少し距離を取ろうとできます。
この人といると、いつも自分が小さくなる。
この場所にいると、ずっと緊張する。
この関係では、自分ばかり我慢している。
この言葉を浴び続けるのは、つらい。
そう気づいたときに、
「少し離れよう」
と思える。
それは、相手を悪者にすることとは限りません。
自分を守るための感覚です。
自尊心が傷ついていると、苦しい環境にいても、なかなか距離を取れません。
「自分が我慢すればいい」
「嫌だと思う自分がわがまま」
「離れたら冷たい人だと思われる」
「自分なんかが傷ついたって仕方ない」
そう思ってしまう。
でも、自分を大切にするというのは、傷つかない人になることではありません。
傷ついていることに気づいたとき、自分をそこに置き去りにしないことです。
無理な我慢を続けすぎない
自尊心は、我慢の量にも関係しています。
自尊心が傷ついていると、無理な我慢を続けてしまうことがあります。
本当は嫌なのに、断れない。
本当は傷ついたのに、笑って流す。
本当は限界なのに、相手に合わせる。
本当は苦しいのに、「自分が気にしすぎ」と思う。
我慢が当たり前になっている。
もちろん、人間関係には多少の我慢が必要なこともあります。
でも、いつも自分だけが飲み込んでいるなら、心は少しずつ苦しくなっていきます。
自尊心があると、
「これは少し無理をしすぎているかもしれない」
と気づきやすくなります。
そして、全部を投げ出すのではなくても、少し距離を変えることができます。
返信を急がない。
予定を詰め込みすぎない。
嫌なことにすぐ同意しない。
相手の機嫌を全部背負わない。
小さな境界線を作っていく。
それも、自尊心の回復につながります。
「自分には大切にされる価値がある」と感じられる
自尊心の根っこには、
「自分には大切にされる価値がある」
という感覚があります。
これは、特別扱いされたいという意味ではありません。
人として、雑に扱われ続けなくていい。
傷つく言葉を浴び続けなくていい。
都合よく使われなくていい。
自分の気持ちを無視され続けなくていい。
そう思える感覚です。
自尊心が低いと、雑に扱われても
「自分なんかこんなもの」
と思ってしまうことがあります。
本当は傷ついているのに、傷ついた自分のほうを責める。
「私が気にしすぎ」
「私が弱い」
「私が悪い」
でも、自分を大切に扱う感覚が少し戻ってくると、
「これは苦しかった」
「この関係は少ししんどい」
「自分にも守っていい感情がある」
と思えるようになっていきます。
自己肯定感が低いと、「できない自分」を責めやすい
自己肯定感が低いと、できない自分を責めやすくなります。
失敗が存在否定になり、褒められても安心できず、「もっと頑張らなきゃ」が止まらなくなる。
ここでは、自己肯定感の低さが日常の中でどんな形で苦しさになるのかを整理していきます。
失敗が「存在否定」になる
自己肯定感が低いと、失敗がただの失敗で終わりません。
一つミスをしただけなのに、
「自分は何をやってもダメ」
と思う。
少しうまく話せなかっただけなのに、
「人と関わる価値がない」
と思う。
何かを続けられなかっただけなのに、
「自分は本当に終わっている」
と思う。
失敗が存在否定になる。
この状態では、毎日がとても怖くなります。
なぜなら、少しの失敗で自分の価値が崩れてしまうからです。
自己肯定感が低い人にとって、失敗はただの出来事ではなく、
「やっぱり自分には価値がない」
という証拠のように感じられることがあります。
でも、本当は失敗と存在価値は別です。
ここを分けていくことが、自己肯定感の回復には必要になります。
褒められても安心できない
自己肯定感が低いと、褒められても安心できないことがあります。
「すごいね」
「頑張ってるね」
「助かったよ」
そう言われても、心の中では信じられない。
たまたま。
気を遣っているだけ。
本当の自分を知らないだけ。
次に失敗したら終わり。
そう思ってしまう。
褒められても安心できないのは、あなたがひねくれているからではありません。
自分の中にある自己否定の声が強すぎるのかもしれません。
外からの優しい言葉より、内側の
「どうせ自分なんか」
が大きい。
だから、褒められても受け取れない。
この苦しさは、自己肯定感の低さと深く関係しています。
「もっと頑張らなきゃ」が止まらなくなる
自己肯定感が低いと、
「もっと頑張らなきゃ」
が止まらなくなります。
もっと成果を出さなきゃ。
もっと役に立たなきゃ。
もっと好かれなきゃ。
もっと成長しなきゃ。
もっとちゃんとしなきゃ。
そうしていないと、自分に価値を感じられない。
でも、頑張り続けることはできません。
疲れる日もある。
動けない日もある。
失敗する日もある。
そのたびに、また自己否定が強くなる。
自己肯定感が低い人は、頑張っていないから苦しいのではなく、頑張ることでしか自分を支えられないから苦しいのかもしれません。
自尊心が低いと、「傷つく環境」に耐え続けてしまう
自尊心が低いと、傷つく環境に耐え続けてしまうことがあります。
雑に扱われても我慢し、嫌われるのが怖くて境界線を作れず、「自分なんか」が人間関係の基準になる。
ここでは、自尊心の低さが人との関わりでどう現れるのかを見ていきます。
雑に扱われても我慢してしまう
自尊心が低いと、雑に扱われても我慢してしまうことがあります。
約束を軽く扱われる。
言葉で傷つけられる。
都合のいいときだけ頼られる。
こちらの気持ちはあまり聞いてもらえない。
一緒にいると、なぜか自分が小さくなる。
それでも、離れられない。
「相手にも事情がある」
「自分が気にしすぎ」
「私が我慢すればいい」
「これくらいで傷つく自分が弱い」
そう思ってしまう。
優しい人ほど、相手の事情を先に考えます。
でも、自分の傷つきがいつも後回しになると、心は苦しくなります。
雑に扱われていることに気づくのは、相手を責めるためだけではありません。
自分を守るためです。
嫌われるのが怖くて境界線を作れない
自尊心が低いと、境界線を作るのが怖くなります。
断る。
距離を取る。
嫌だと言う。
返信を急がない。
無理なお願いを引き受けない。
そういうことが、冷たいことのように感じてしまう。
嫌われるかもしれない。
わがままだと思われるかもしれない。
関係が悪くなるかもしれない。
そう思うと、自分を守るより、相手に合わせるほうを選んでしまう。
でも、境界線は相手を拒絶するためだけのものではありません。
自分を壊さないためのものです。
自尊心が少しずつ戻ってくると、
「自分にも無理なものは無理と言っていい」
と感じられるようになります。
「自分なんか」が、人間関係の基準になる
自尊心が低いと、
「自分なんか」
が人間関係の基準になってしまうことがあります。
自分なんか大切にされなくても仕方ない。
自分なんか後回しにされても仕方ない。
自分なんか我慢する側で当然。
自分なんか選ばれなくても当然。
そう思ってしまう。
すると、苦しい関係から抜け出しにくくなります。
なぜなら、苦しい扱いを受けても、
「自分にはこれくらいが普通」
と思ってしまうからです。
でも、本当は違います。
あなたが自分を低く見てしまっているからといって、雑に扱われていい理由にはなりません。
「頑張れるのに苦しい」「成果を出しても満たされない」と感じる人は、記事28「自己効力感と自己肯定感の違いを知らないと、ずっと苦しいままになる」もおすすめです。
「能力」と「安心感」の違いについて整理しています。
どちらも低い人ほど、「自分を後回し」にして生きてきた
自己肯定感も自尊心も低いと感じる人ほど、自分を後回しにして生きてきたのかもしれません。
嫌われないことを優先し、「ちゃんとしなきゃ」で無理をしてきた。
その結果、自分を守る感覚が分からなくなっている。
ここでは、その背景を責めずに見ていきます。
嫌われないことを優先してきた
嫌われないことを優先してきた人は、自分の気持ちを後回しにしがちです。
本当は嫌だった。
でも笑った。
本当は疲れていた。
でも合わせた。
本当は傷ついた。
でも「大丈夫」と言った。
本当は断りたかった。
でも相手の反応が怖くて引き受けた。
そうやって、自分より相手を優先してきた。
それは、優しさでもあります。
でも、長く続くと自分が分からなくなります。
何が嫌なのか。
何が苦しいのか。
どこまで我慢していいのか。
自分は本当はどうしたいのか。
分からなくなってしまう。
「ちゃんとしなきゃ」で無理をしてきた
「ちゃんとしなきゃ」
この言葉で、ずっと自分を動かしてきたのかもしれません。
ちゃんと働く。
ちゃんと人に合わせる。
ちゃんと迷惑をかけない。
ちゃんと期待に応える。
ちゃんと感情を抑える。
でも、ちゃんとし続けるのは疲れます。
疲れている日も、ちゃんと。
傷ついている日も、ちゃんと。
もう限界でも、ちゃんと。
そうしているうちに、自分の限界が分からなくなっていく。
自己肯定感が低いと、ちゃんとできない自分を責めます。
自尊心が低いと、ちゃんとしなくてもいい場面でも無理を続けてしまいます。
その両方が重なると、心はかなり消耗します。
だから、自分を守る感覚が分からなくなっている
自分を後回しにし続けると、自分を守る感覚が分からなくなります。
休んでいいのか分からない。
断っていいのか分からない。
嫌だと思っていいのか分からない。
傷ついたと認めていいのか分からない。
そして、自分を守ろうとすると罪悪感が出る。
でも、それはあなたがわがままだからではありません。
ずっと自分を守るより、人に合わせることを優先してきたからかもしれません。
自分を守る感覚は、少しずつ取り戻していくものです。
最初からうまくできなくても大丈夫です。
必要なのは、「完璧になること」じゃなく「自分との関係を変えること」
自己肯定感や自尊心を整えるために必要なのは、完璧な人になることではありません。
失敗した日に自分を全部否定しないこと。
苦しい環境から少し距離を取っていいこと。
「自分を守っていい」を覚えていくこと。
ここでは、回復の方向性を整理します。
失敗した日に、自分を全部否定しない
まず大切なのは、失敗した日に自分を全部否定しないことです。
失敗した。
でも、自分全部がダメなわけではない。
うまくできなかった。
でも、存在価値がなくなったわけではない。
今日は頑張れなかった。
でも、疲れていたのかもしれない。
こうやって、少しだけ言葉を分けていく。
これは、自己肯定感を回復する練習です。
自分を無理に好きにならなくてもいい。
まずは、失敗と存在価値をくっつけすぎないことからでいいのだと思います。
苦しい環境から少し距離を取っていい
自尊心を取り戻すためには、苦しい環境から少し距離を取ることも大切です。
全部切らなくてもいい。
大きな決断をすぐにしなくてもいい。
でも、少し距離を変えてみる。
返信を急がない。
会う頻度を減らす。
無理なお願いを全部引き受けない。
傷つく言葉を言われたら、その場から離れる。
自分の疲れを無視しない。
小さな距離でいい。
苦しい環境に耐え続けることが、優しさとは限りません。
自分を守ることも、人間関係の中で大切な感覚です。
「自分を守っていい」を覚えていく
自己肯定感と自尊心が低い人に必要なのは、
「自分を守っていい」
を少しずつ覚えていくことかもしれません。
自分を守ることは、冷たいことではありません。
自分を守ることは、わがままと同じではありません。
自分を守ることは、誰かを否定することとも限りません。
ただ、自分の心をこれ以上削らないための行動です。
苦しいときに苦しいと認める。
疲れたら休む。
嫌なことに気づく。
雑に扱われたら傷ついたと認める。
できない自分を責めすぎない。
そういう小さなことからでいいのです。
「自分を大切にできない自分」を責めなくていい
自分を大切にできない自分を、責めなくていいのだと思います。
それだけ長く我慢してきた。
それだけ安心できなかった。
だからまずは、「苦しかった」を認めるところから始まります。
最後に、自分との関係を少しずつ整えるための視点を置いていきます。
それだけ長く我慢してきた
自分を大切にできないのは、あなたが雑な人だからではないと思います。
それだけ長く我慢してきたのかもしれません。
人に合わせる。
本音を飲み込む。
傷ついても笑う。
失敗したら自分を責める。
苦しい環境でも耐える。
それが当たり前になっていた。
長く我慢してきた人は、自分を大切にする感覚を忘れてしまうことがあります。
でも、忘れているだけなら、少しずつ思い出していけます。
それだけ、安心できなかった
自己肯定感や自尊心が低くなる背景には、安心できなかった時間があることがあります。
そのままでいて大丈夫と思えなかった。
失敗しても大丈夫と思えなかった。
嫌だと言っても大丈夫と思えなかった。
大切にされていいと思えなかった。
だから、自分を守るより、合わせるほうを選んできた。
自分を責めることで、なんとか失敗を防ごうとしてきた。
そう考えると、今の苦しさにも理由が見えてきます。
だからまずは、「苦しかった」を認めるところから始まる
まずは、苦しかったことを認めていいのだと思います。
失敗するたび、自分を否定して苦しかった。
雑に扱われても我慢して苦しかった。
嫌われるのが怖くて苦しかった。
自分を大切にできないことが苦しかった。
その苦しさを、
「自分が弱いから」
だけで終わらせなくていい。
自分を理解することは、回復の入口です。
もし今、「自分がどんな状態なのか整理したい」と感じるなら、記事30「自己肯定感診断|『今の自分』を責めずに理解するために」も読んでみてください。
「自己否定の背景」を整理する入口になります。
おわりに
ここまで読んでくれたあなたは、
たぶんずっと、
「なんでこんなに自分を大切にできないんだろう」
「どうしてこんなに苦しいんだろう」
そんな感覚を抱えてきた人なんだと思います。
でも実際は、
・失敗すると全部ダメな気がする
・傷ついても我慢してしまう
・嫌われるのが怖い
・「自分なんか」が口癖になっている
そんな状態には、
「自己肯定感」
と
「自尊心」
両方が関係していることがあります。
だから必要なのは、
無理に自信を持つことではなく、
「自分は、どこで苦しくなっているのか」
を理解していくことなのかもしれません。
もし今、
・自分を大切にできない
・自己否定が止まらない
・人間関係で苦しくなる
・もっと深く自己理解したい
そう感じているなら、
自己肯定感や「自分との関係性」を整理するためのnoteもまとめています。
急に変わらなくて大丈夫です。
まずは、「ここまで我慢してきた自分」を否定しないところから始めてみてください。
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