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文字を持たなかった昭和 帰省余話(2024秋 27) グループホーム② 個室と活動

(「グループホーム①」より続く)
施設の入所者には全員に個別の居室(以下、個室)がある。グループホームという形態自体、ある程度自立生活ができる人が共同生活するという建付けになっているから当然と言えば当然だ。ミヨ子さんの部屋しか入らなかったが、ほかの部屋も同様だとして、個室にはベッドと比較的大きめの両開きの洋服ダンス(クロゼット)、ちょっとした物を置ける小ぶりのラックがあった。

 もっとも脚力が弱く車椅子のミヨ子さん(母)の場合、自分でタンスを開けて服を選ぶとか、片づけておいた物の中から何かを探すとかは(もう)できない。服は職員さんが選んで着替えさせるのだろうし、ラックには衛生用品が置かれているぐらいで、私物らしきものはほとんどなかった。極端に言えば、個室でのミヨ子さの生活空間はベッドの上だけのように思われた。

 「(ある程度)自立生活ができる」人の場合、私物ももっとあるのだろう。趣味の品物や本などを多少置いている人も、いるのかもしれない。ちらっと見えたお隣の、80代らしき女性の部屋には小型の家具もあった気がする。

 個室の広さは3畳くらいだった。厚労省の規定では各居室の広さは4.5畳のようだが、わたしの理解違いか、ケースバイケースで基準が異なるのかもしれない。地方はともかく、首都圏などで4.5畳×9人の個室に共有スペースを確保するのは厳しいだろう。

 面会のときはそれぞれの個室へ行く。で触れたとおり面会室のようなものはないし、食堂を兼ねるホールではさまざまな活動も行われるから、面会は個室になってしまうのだ。その分気兼ねなく話ができる、とも言える。

 「さまざまな活動」は、午前・午後のお茶と食事の間に設けられているようだ。職員さんがリードして、歌を歌ったり、手仕事をしたり、体を動かしたり……。運動には口周りの筋肉の衰えを防ぐための発声練習のようなものも含まれる。

 面会に行ったある日の午後など、ミヨ子さんの個室の外すなわちホールからいきなりプロ野球中継のオープニングのような曲が流れてきた。途中でミヨ子さんがトイレに行きたいと言い出したので職員さんを呼んだついでにホールの様子を窺ったら、ダイニングテーブルの周りを入所者全員がぐるぐる歩いていた。つまり、脚の運動だ。

 正確に数えたわけではないが、速さは別にして自力歩行ができる人は男性を中心に3人、歩行器で歩く人が3人、残りは車椅子の人という感じだった。つまり1/3ずつだ。車椅子の人は、車輪の外側の「ハンドル」部分を自分で回して運動に参加していた。

 入所と同時に車椅子生活になったミヨ子さんは、車椅子を自分で操作することはできない。腕の力もないし、操作方法もわからないだろう。だから、施設内の移動はすべて職員さん頼みである。ちなみに施設にはこんな例はなかった、と入所後に言われたらしい。入所前に本人の様子を確認すべきじゃないの? と思うが、現在の介護業界(?)ではそこまで手が回らないのかもしれない。(「グループホーム③」へ続く)

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