『にじ画廊』を訪ねて no.3
最終日は午後6時まで。
Nさんと別れ、箱を買って『にじ画廊』に戻ると、何人かのお客さんが作品を見たり、映像を見たりしていた。
娘に紹介されたのは、高校の弦楽部の先輩だった。
今はプロの音楽家で作曲や編曲、ピアノやキーボードも演奏するという。
自身の活動をスマホで私に見せてくれた。
個展の開催をSNSで知り、駆けつけてくれたのだ。
そういえば、数日前にも高校の同級生が日帰りで来てくれたと聞いた。
彼女も弦楽部で同じ楽器、ビオラの奏者だった。
遠出なんて言葉を、私はもう使えない。
彼らだけでなく、大半の人が時間をかけ、ここに来てくれている。
中には宿泊を伴い足を運んでくれた友人もいたのだ。
終了後は作品の梱包作業とその引き渡し、私物をまとめ搬出までを数時間で終わらせる。
一週間前の搬入時と同じように、搬出も仲間が手伝ってくれるそうだ。
「先に帰っても大丈夫だよ」と昨夜から娘に言われていた。
頼まれた紙袋を持って、私はアパートに戻ることにした。
袋の中は、すべて差し入れのお菓子だった。
その数の多さに驚きながら、彼女には良い仲間がいる、と温かい気持ちになった。
娘のアパートに着いたのは午後5時過ぎ。
一度、荷物を置いてから、すぐ近くのスーパーへ夕食を買いに行った。
お腹は空いてないけど、何か食べないと薬が飲めない。
私は中をぐるっと見て回ってから、夕食にかっぱ巻きのパックとインスタント味噌汁、野菜ジュース、明日の朝食用に、卵とヨーグルトを買った。
徒歩1分の距離に、スーパー、コンビニ、そして駅がある。
この便利さなら、快適に暮らせそうだ。
ポッドキャストでニュースを聞きながら、ゆっくり夕食を食べる。
夕方以降、カフェインは飲めないので、白湯を飲んだ。
持参した本は、数ページ読んだだけでもう眠くなる。
「ご飯食べてから帰るね」と娘からLINEがきた。
搬出は終わったようだ。
あとは、ここに荷物を運び入れるだけ。
あまりの眠さに、私は布団に潜り込むとすぐに寝てしまった。
彼女たちは、何時頃に帰ってきたんだろう?
翌朝まで目が覚めず、ぜんぜん気づかなかった。
翌日、持ち帰った荷物を二人で片付け、個展の収支を出した。
オリジナル10作品のうち、6作品が売れた。
画廊への支払い、DMの印刷費、梱包材、コピー、レンタカー代、諸々の諸経費を差し引いても、プラスが出た。
初めての個展で、準備不足も目についたけど、大いに今後の参考になったと思う。
毎年は難しいけど、2年に1度はまた個展を開催したいそうだ。
終わってすぐに、そう考えられるってことは、良かったんだ、たぶん。
仕事は仕事として、でも、やはりオリジナル作品を創ってなんぼ、なんだろうなあと、思ったりしている。
