【マンガ原作】 『 画竜と点睛! 』 第2話
[第2話](3894字)
◯ 時話高校・教室
放課後、画竜が一生懸命、机に向かってマンガを描いている。
画竜「……」
その様子を友人ABCが見ている。
友人A「画竜、また描いてるよ、マンガ」
友人B「生徒会の点睛 浮世に読ませて、画竜のマンガがおもしろかったら、マンガ愛好会を復活させるって約束らしい」
友人C「画竜氏…」
すると、友人Cの腹がグゥーと鳴る。
友人C「いかん、早弁が過ぎましたな」
友人B「帰りにラーメンでも食い行く? 」
友人C「いいですな! 」
友人A「…でも画竜が、ああやって描いてるわけだし」
友人C「うむぅ…それは、そうですな」
友人B「だからって、俺たちに何かできるわけじゃないだろ? いいから、行こうぜ」
友人C「うむぅ…それも、そうですな」
友人A「…うん。そうだな、行くか」
友人C「拙者、最近、アングラ系ラーメンにハマっておりまして、駅前に良い店があるんですが、いかがでしょう? 」
友人A「ゲェ、なに、アングラ系ラーメンって? 」
友人B「ゲテモノ、食わすなよ」
などと言いながら去っていく、友人ABC。そんなことにも気づかずに、一心不乱にマンガを描いていく画竜。
画竜「……」
◯ 時話高校・美術室
一方、その頃、美術部の面々が絵を描いている。その中に浮世の姿もある。美術部の女子たちが、そんな浮世の姿を見て小声で会話している。
女子A「見て、点睛さんが絵筆を取る、あの美しいお姿…」
女子B「ほんと…全身に気品を纏って、筆先から光が溢れ出ているよう…」
友人C「浮世さまは、学業優秀・スポーツ万能・誠実真摯なお人柄で1年生にして生徒会役員まで務める…まさに時話高校を代表する秀麗な女子……ただ…」
女子A・B・C:M(モノローグ)「…絵だけは圧倒的に下手くそなのよね〜〜〜! 」
浮世、ヘッタクソな彫像画を描いている。
浮世「……(どよーん!)」
そこへ、画竜が飛び込んでくる。
画竜「点睛! 描いたぞ、俺のマンガ!! 」
浮世「ちょっと、部室にまで来ないでよ! 」
画竜、浮世の描いている絵を覗き込み、
画竜「…なんだ、コレ? 新種のブロッコリーか? 」
浮世「勝手に見ないでよ! 」
画竜「あいかわらず、ヘッタクソな絵だなー 」
浮世「ひどい! 人の作品をそんなに悪く言うなんて! 」
画竜「お前だって、俺のマンガ、散々ディスったじゃねぇかよ! おあいこだろ!! 」
そこへ爽やかイケメン男子、洛外 永斗(らくがい えいと)(16)が顔を出す。
永斗「浮世! あれ、お取り込み中? 」
すると、美術部の女子たちが色めき立つ。
女子A・B・C「きゃー!! 永斗くーん! 」
永斗「浮世に用があったんだけどさ」
画竜「…? 」
浮世「なに、急ぎの用事? 」
永斗「会長がお呼びだって」
浮世「…! わかった。すぐ行く」
浮世、立ち上がって荷物をまとめ、部室から出て行こうとする。
画竜「おい、ちょっと待てよ、俺のマンガは…」
浮世「それは後で。あ、そうだ。…はい、これ」
浮世、画竜に「石ノ森章太郎のマンガ家入門」を渡す。
浮世「それまで、これ読んで勉強してなさい」
画竜「…「マンガ家入門」? 」
永斗「…へぇ」
浮世「いきましょう」
去っていく、浮世と永斗。その後ろ姿を女子A・B・Cが羨望の眼差しで見つめている。
画竜「なぁ、あいつ誰だ? 」
女子A「知らないの? 時話高校・期待の1年・超新星 洛外 永斗さまよ」
女子B「洛外財閥の御曹司で、学年成績は常に点睛さまと1、2を争うトップ、そして数多の運動部からオファーが来るほどの抜群の運動神経」
友人C「それなのに、学校をより良くするために全力を尽くしたいと言って、どの部活にも入らず、生徒会の広報担当として活躍される」
女子A「まさに、エリート中のエリート! 」
女子B「そして、将来の生徒会長! 」
友人C「同じ空気を吸えただけでも僥倖! そう、それが…」
女子A・B・C:M「洛外 永斗さまよ!!! 」
画竜「…お、おぅ(引き気味)」
◯ 時話高校・生徒会室
浮世と永斗、会長・副会長・書紀・会計と同じテーブルに座っている。(会長たちの顔は見えない)
副会長「…ということで、先日の一件は我が校だけでなく、全国各地で同時に発生した事案、ということが提携校からの報告書で明らかになった」
会計「最近になって、“戯画超獣”が現れる頻度も、その強力さも上がっています。由々しき事態かと」
書記「何か、計画的な作戦のような気配を感じます」
副会長「うむ。そこで、これから私と会長は定期的に全国を巡ることにした。敵は弱い所を突いてくる。他の学校には、“常世絵師”が少なく戦力が不足している所があるからな。我が校は、2年生だけでなく、1年生の“常世絵師”もいるから充分だろう」
浮世「……」
会長「点睛」
浮世「はい! 」
会長「俺らが留守の間、学校を守ってくれて、ありがとな」
浮世「…いえ」
会長「ただ、無理はするな。ヤバいと思った相手とは戦うな、逃げろ。これは会長命令だ」
浮世「…はい」
永斗「……」
◯ 時話高校・廊下
生徒会のミーティングが終わって帰る、浮世と永斗。
浮世「……(暗い顔)」
永斗「…良かったじゃん、会長に誉められるなんて」
浮世「良くない」
永斗「俺、誉められたこと一度もないよ」
浮世「永斗は認められてるから。ちゃんと戦力として、仲間の一人として」
永斗「そうかなぁ」
浮世「私、もっと絵が上手くならないと…このままじゃ、ダメだ」
永斗「……」
◯ 浮世の自宅・部屋(夜)
浮世、暗い部屋に明かりを灯してキャンバスに向かって絵を描いている。
浮世「……」
浮世、真剣な表情で描き続ける。
◯ 画竜の自宅・部屋(夜)
画竜、寝転びながら「石ノ森章太郎のマンガ家入門」を読んでいる。
画竜「……(顔を上げて)この本、おもしれぇ……これなら、俺にも描けるかも知れない! 」
と、やる気を出してマンガを描くために机に向かう、画竜。
◯ 時話高校・美術室
放課後、浮世が一生懸命、キャンバスに向かって絵を描いている。
浮世「……」
女子A「はぁー、点睛さま」
女子B「今日もお美しい…」
女子C「真剣に取り組むお姿も、また素敵…」
そこへ、画竜が「石ノ森章太郎のマンガ家入門」を手に飛び込んでくる。
画竜「点睛! これ、すげぇおもしれぇ本だな!! 」
浮世「……(気づかないほど、集中してる)」
画竜「…点睛」
女子A「ちょっと、あなた何なの? いつも部室にやってきて邪魔なんですけど」
女子B「点睛さまは絵に集中されているの。さっさと帰りなさい」
女子C「それか、あなたも点睛さまに告白しようと企んでる、よからぬ男子? あなたじゃ話にならないわ」
女子A・B・C、ケタケタと笑う。
画竜「ちがう、俺はただマンガを…」
と、画竜が言いかけて、浮世が何かの気配に気づき、顔を上げる。
浮世「…!? この空は、“逢魔時”…行かなきゃ」
浮世、荷物をまとめて部室を出ていく。
◯ 時話高校・廊下
走る浮世。
浮世M「今は会長や先輩たちが不在だ…でも、私と永斗だけでも何とかやれるはず…」
浮世の脳内に会長の言葉が甦ってくる。
会長M「…無理はするな。ヤバいと思った相手とは戦うな、逃げろ。これは会長命令だ」
浮世「……」
浮世、頭をふって走り続ける。
浮世M「ダメだ、私も戦わなきゃ。会長やみんなに仲間の一人だって認めてもらわなきゃ」
そんな浮世の隣を追走する画竜の姿。
浮世「…って、なんで、あんたまで来るのよ? 」
画竜「だって、あの空! また、ナントカって奴らと戦わなきゃ行けないんだろ? 」
画竜、窓の外を指さす。空に四角形の光の檻ような“子廻結界”が見える。
浮世「…やっぱり、見えるんだ。…変なの」
画竜「俺も行くよ」
浮世「いい、私だけで十分」
画竜「だって、お前、絵下手だし…」
浮世、画竜の頭をごつんと殴る。
画竜「イッテ!! なにすんだよー! 」
浮世「うっさい、黙れ」
◯ 時話高校・裏の森
画竜と浮世、辺りを見渡す。
浮世「“子廻結界”が張られているのは、この森一帯。いつ、どこから“戯画超獣”が現れても不思議じゃない…気を引き締めて」
と、画竜は「マンガ家入門」を読むのに夢中になっている。
浮世「…っておい! 言ってる、そばから!! 」
画竜「だって、この本、おもしろくってよー」
浮世「…まったく。あなたね、マンガを描くのに、この本を読んでないなんてナンセンスよ。それに、そもそも、あなた、マンガを読んで無さすぎ! 手塚治虫を知らないなんて…」
画竜「この前、読んだぞ「火の鳥 未来編」! 」
浮世「…「太陽編」まで読みなさい! 」
その時、森の中から1体の“戯画超獣”が現れる。
画竜・浮世「!? 」
それは、バッタの頭部をした改造人間=「仮面ライダー」だった。
浮世「こいつは……仮面ライダー…」
画竜「……なに、それ? 」
浮世「…うそ、でしょ……」
画竜「……………………(うふぇっほ:照れ恥ずかしい顔)」
浮世「…あなた、まさか、石ノ森章太郎を…知らない? 」
画竜「……………………(頷き)(うふぇっほ:照れ恥ずかしい顔・パート2)」
浮世「……………………(悲しみと落胆を二乗したムンクのような顔)」
画竜「……………………(うふぇっほ:照れ恥ずかしい顔・パート3)」
そんな二人を意に介さず「仮面ライダー」が画竜と浮世に迫る。
画竜・浮世「!? 」
「仮面ライダー」は飛び上がって、二人にライダーキックをお見舞いしようとする。
画竜「うわっ! 」
その時、どこからともなく「人造人間キカイダー」が現れ、「仮面ライダー」を薙ぎ倒す。その後ろから“常世絵師”の装束に身を包んだ永斗がやって来る。
永斗「浮世! あれ、今日も一緒? 仲良いねー、お二人さん」
浮世「…永斗」
画竜「…こいつも、絵師なのか? 」
浮世「えぇ。私の幼馴染で“常世絵師”の洛外 永斗よ」
永斗、「人造人間キカイダー」をバックに筆を構える。
[つづく]
