【マンガ原作】 『 画竜と点睛! 』 第3話
[第3話](3993字)
◯ 時話高校・裏の森
画竜と浮世、“常世絵師”の永斗と対峙している。
永斗「ところで、ふたりはさ…」
画竜・浮世「……」
永斗「付き合ってるの? 」
画竜・浮世、ズッコケて、
画竜・浮世「んなわけあるかーい! 」
永斗「あ、そうなの? でも、この前も一緒だったから…」
浮世「それは…(かくかくしかじかと説明)」
永斗「…へぇ、そうなんだ。でも、すごいね、画竜くん、“常世絵師”じゃないのに“絵獣”を生み出せるなんて。僕も絵には自信があってさ、今度、勝負しようよ」
と、画竜の方を見ると、
画竜「すげー、これどうなってんの? 左側の書き込みがエグいんだけど…」
画竜、永斗の描いた「人造人間キカイダー」に夢中になっている。
永斗「……(汗・苦笑)」
浮世「永斗は機械のデザインや書き込みが得意で、緻密な設計に基づく画力に関しては会長に匹敵するレベルなの。将来、“常世絵師”のリーダーとして期待されている逸材よ…私と違ってね」
永斗「まぁ、会長に匹敵ってのは言い過ぎだと思うけど、逸材ってのは確かかな。…画竜くん、僕はこれから“戯画超獣”を退治してくるから、それまで浮世と一緒に隠れているんだ」
画竜「ん? 俺も絵を描くのは好きだから、戦うぞ! 」
永斗「好きだから、って理由だけで、“戯画超獣”と戦うのは、やめた方がいい。君は命懸けで絵を描いたことはないだろう? 」
画竜「……」
永斗「…悪いことは言わない、浮世と隠れていて」
浮世「ちょっと、私は? 」
永斗「浮世も来なくていい。僕一人で十分だから。ほら、会長にも言われたでしょ? 」
浮世「……」
一人で森の奥へと進んでいく永斗。
◯ 裏の森・別の場所
浮世と画竜が岩の上で休んでいる。
画竜「あいつの絵、上手かったなぁ」
浮世「永斗は、小さい頃から絵の才能に溢れていて、しかも、ご両親から英才教育を受けているから。私なんか、全然、足元にも及ばない…」
画竜「そうか? そんなことねーと思うけどな」
浮世「…? 」
画竜「俺も、小さい頃から絵を描いてるけどさ、才能があるかないか、なんて気にしたことないぜ。大切なのは、絵を描くのが好きって気持ちだろ? 」
浮世「……」
画竜「それに、どんな人でも自分にしかない描けない絵があるって、俺の親は言ってた」
浮世「…私にも、あるのかな」
画竜「そして、絵を描くのが好きだ、楽しい、って気持ちが無いと、絵は上手くならないし、自分の絵を身につけることはできない、って俺の親は言ってた」
浮世「…画竜」
画竜「…? 」
浮世「あんた、小さい頃から絵を描いてるのに、なんで有名なマンガ何も知らないの? 」
画竜、ズッコケる。
画竜「それはな、俺の両親が…!? 」
と言いかけた時、目の前に仮面ライダーが現れる。
画竜「浮世、筆を貸してくれ」
浮世「(筆を渡して)あんた、石ノ森作品のキャラクター、何か描けるの? 」
画竜「点睛、ヒントを教えてくれ、何か思い出せるかも…」
画竜と浮世、仮面ライダーから逃げながら、
浮世「スカルマン」
画竜「知らない」
浮世「怪傑ハリマオ」
画竜「わからん」
浮世「がんばれロボコン」
画竜「なんだ、それ? 」
浮世「あんた、何も知らないじゃない! 」
画竜「わからなくても描けるようなキャラを教えてくれよ! 」
浮世「じゃあ、「キカイダー」! さっき、永斗が描いてた、やつ」
画竜「あれは時間がないと描けない! 」
二人、行き止まりにぶつかる。背後から仮面ライダーが迫る。
画竜「他には、何かないか? イメージしやすいやつで…」
浮世「…えーっと、じゃあ「原始少年リュウ」! 」
画竜「どんなだ? 」
浮世「恐竜を描いて、恐竜の王「りゅうの王」を」
画竜「…オッケー、恐竜ね。まかしといて…」
画竜、筆を構えて「りゅうの王」を描き始める。そこへ仮面ライダーがキックを繰り出す。
浮世「あぶない! 」
画竜「…描いたぜ、出よ! 「りゅうの王」!! 」
すると、巨大な恐竜が森の木々から顔を出し咆哮する! そして、仮面ライダーを巨大な口で噛み砕き退治する!
浮世「やった! 」
画竜「よしっ! 」
しかし、そこにもう1体の仮面ライダーが現れ、隙をついて画竜に攻撃を喰らわせる。
画竜「ぐわっ!! 」
浮世「あっ! 」
画竜、その反動で筆が手元から離れ、仮面ライダーに踏みつけられる。
画竜「…うぅ」
浮世「…! 」
浮世、地面に転がった筆を取りに駆け出す。それに気づいた仮面ライダーが浮世に迫る!
画竜「…! 」
浮世M「…私だって描ける、私の好きな絵、私が描いて楽しい絵…」
浮世の背後に迫る、仮面ライダー。
画竜「点睛! 」
浮世「…これが、私の好きな絵! 」
浮世、振り返ると、そこには「さるとびエッちゃん」がいた! 「エッちゃん」は仮面ライダーを捕まえると、手足をぽいぽーいとちぎって投げて、頭を丸めて放り投げてしまう!
画竜「すげぇ、最強じゃん! 点睛、描けるなら最初から…」
画竜、起き上がって浮世の元に駆け寄ると、ぶん投げられた仮面ライダーが少しずつ再生していく様子を見つける。
浮世「…“絵獣”の中で、ギャグ漫画のキャラクターは最強・無敵・なんでもアリの存在なの。でも、それは逆に、相手の方もなんでもできることになって、結果ノーダメージ。だから…」
再生して起き上がる仮面ライダー、2人に迫ろうとするが、どすん!と「りゅうの王」に踏み潰される。
画竜「…シリアスなバトルができるキャラクターも、描かなきゃダメってことね」
浮世「……この超獣、これで3体目…? 」
画竜「どうした? 」
浮世「…ってことは、まだ他にもいる……もしかしたら、永斗が危ない! 」
◯ 森の奥・草原
永斗、4体目の仮面ライダーをいたぶるように倒している。
永斗「…ほらほら、もう終わりかー? 」
永斗、“絵獣”の「キカイダー」を操り、仮面ライダーを破壊する。
永斗「これで一件落着…ん? 」
永斗、自分の周りをバイクに乗った9体の仮面ライダーが取り囲んでいることに気づく。
永斗「…へぇ、仲間がたくさんいるってわけね」
◯ 森の中・道
画竜と浮世、永斗の元に駆け付けようと走っている。
画竜「…全部で13体? 」
浮世「うん。私の予想が正しければ、相手は集団で私たち1人ずつを撃破していくはず」
画竜「さっきまでの奴らは囮だったってワケか」
浮世「さすがに永斗でも複数・対一人じゃ勝ち目がない」
画竜「点睛、今のうち俺に教えてくれ。とっておきの石ノ森作品を」
浮世「…わかった」
◯ 森の奥・草原
永斗、9体の仮面ライダーに囲まれながら攻撃を受けている。
永斗「っぐ! 」
筆を手に“絵獣”を描こうとするが、すかさずライダーの乗るバイクで攻撃され、ヒット・アンド・アウェイを繰り返され、消耗していく。“絵獣”の「キカイダー」も仮面ライダーのピストル攻撃を集中砲火され、消滅してしまう。
永斗「キカイダー!! 」
永斗、何もできずに片膝をつく。
永斗「……(ハァハァ)」
9体の仮面ライダー、ピストルを構え、永斗に照準を定める。
永斗「……! 」
そこへ、木々を揺らしながら「りゅうの王」が咆哮しながら現れる。
画竜「永斗! 助けに来たぞー! 」
駆けつける、画竜と浮世。しかし、「りゅうの王」は9体のライダーの銃撃を受けて消滅してしまう。その間、永斗のそばまで駆け寄る、画竜と浮世。
画竜「あちゃー、マジか…」
永斗「何しに来たんだ、君たちにできることは何も…」
画竜「仲間のピンチに黙ってられるかよ」
永斗「仲間? 僕たちは、いつ仲間になったんだ? 」
画竜「お前、絵を描くの好きだろ? 俺もだ。だから、仲間だ」
永斗「…何を…そんな、これは命懸けの戦いなんだぞ! 」
浮世「だからこそ、力を合わせるの。相手は集団で私たち一人一人を叩いてくる。それなら、私たちだって…」
画竜「チームプレーだ」
永斗「……」
浮世「私が“絵獣”を描いて、奴らの動きをしばらく食い止める。その間に永斗は奴らを倒せる“絵獣”9体を画竜と確認して。…あ、こいつ、ほんとに漫画のキャラクター知らないから、引かないでね」
浮世、筆を手に「さるとびエッちゃん」を描く。「エッちゃん」の不思議な力で9体のライダーは空中に浮遊して身動きが取れない。
画竜「さ、教えてくれよ、お前の好きなキャラクターを」
画竜、ポケットからメモ帳とペンを取り出す。
永斗「…君に描けるかな? (笑って)」
画竜「……(笑って)」
「エッちゃん」の不思議な力が少しずつ解けて、9体のライダーが再びバイクに乗って動き出そうとする。すると、「エッちゃん」の姿もふわぁっと消えていく。
浮世「ありがとう、エッちゃん」
浮世M「…ありがとう、お母さん。私に、この絵を教えてくれて…」
浮世の眼前に、バイクに乗ったライダーたちが迫る。
画竜「点睛、描いたぞ! 」
永斗「これが、僕たちの“絵獣”だ! 」
浮世「…! 」
画竜と永斗、浮世の隣を抜けて飛び出してくる。そして、2人と共に奥から「サイボーグ 009」の9体のサイボーグが登場する! 「サイボーグ 001〜009」VS 9体の仮面ライダーの壮絶な戦いが繰り広げられる! ライダー・キックを「サイボーグ 009」が加速装置で躱して、撃破する! そしてついに、「サイボーグ 001〜009」が仮面ライダーたちを各個撃破し、ついに画竜たちが勝利する!! やがて、“逢魔時”の空が明けて、“子廻結界”も解除される。
浮世「終わった…これで“戯画超獣”は、すべて退治できた。私たちが力を合わせれば……」
浮世、振り返ると、画竜と永斗が言い争っていた。
永斗「やっぱり、僕の絵の方が上手かったね」
画竜「なんだと! お前は細かく描いてるだけで、豪快さが足りないんだよ! 」
永斗「いいよ、機械系以外で勝負する? 」
画竜「望むところだ! え〜っと、そうだな、恐竜! 恐竜、描こうぜ! 」
と、盛り上がる画竜と永斗。
浮世「……(やれやれと笑う)」
楽しそうに絵を描く画竜と永斗、その輪に混じる浮世。
浮世M「私たちはこの時まだ、知りませんでした。これが、“常世絵師”と“戯画超獣”の存亡をかけた一大決戦の前ぶれであることを……」
[つづく]
