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なぜ友人は我が家の「すべての扉」を開けるのか?見えない空間にあえて『何も置かない』構造改革が、心と脳の余白をつくる

突然ですが、家に友人が遊びに来ることになったとき、あなたはどうしていますか?

「全部の扉、開けていい?」
我が家に友人が遊びに来ると、決まってこんなリクエストを受けます。

「もちろん、どうぞ」
私がそう答えると、友人は嬉しそうにキッチンの戸棚、洗面台の下、そして私の仕事机の引き出しに至るまで、次々と扉を開けていく、ちょっと変わった「ルームツアー」が始まります。

現在、私は夫とふたり、47㎡のマンションで暮らしています。
限られた空間の中で、気合に頼らず環境の仕組みから整える「構造改革」を進め、「凪(なぎ)」のように穏やかで心地よい空間づくりを追求しています。

それにしても、普通なら他人の家の収納の中まで覗き込むのはためらわれるはずです。
なぜ、友人は我が家のあらゆる扉を開けたがるのでしょうか。

それは、私がインテリアコーディネーターや整理収納アドバイザー1級、片づけコンサルタントといった資格を持っているため、「プロの自宅の『見えない部分』がどうなっているのか知りたい」という好奇心があるからです。

そしてなぜ、私は何の躊躇もなく「どうぞ」と言えるのでしょうか。
そこには、単なる整理整頓のテクニックを超えた、人間が本能的に求める「心と脳のメカニズム」が関係しています。



見えない場所の乱れは、慢性的な「体調不良」と同じ

以前の私は、友人が家に来るとなれば、とりあえず出しっぱなしのモノを引き出しに押し込んで、表面上だけ綺麗に見せる「隠す片付け」をしていました。

来客中に「あの扉だけは開けないで」とヒヤヒヤした経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

部屋の表面だけを綺麗に片付けるのは、例えるなら「とびきり素敵な服を着て、完璧にメイクをしている状態」です。
でも、もしその服の下で、ひどい胃もたれや寝不足などの不調を抱えていたらどうでしょう。
いくら外見を美しく取り繕っても、心の底からリラックスして楽しむことはできませんよね。

家という空間も、それと全く同じなのです。
リビングの表面がどれだけ綺麗でも、引き出しの中がぐちゃぐちゃだったりすると、私たちの脳は「あの中に未解決の混沌が詰まっている」と無意識のうちに認識し続けます。

この「見えない場所の滞り」が、まるで慢性的な体調不良のように、じわじわと脳のリソース(処理能力)を奪い、自分の家にいるのに本当の意味でくつろげない原因になってしまうのです。



「空間がある=モノを置く」という常識を疑う

では、見えない場所の滞りをなくすためにはどうすればいいのか。
私が構造改革の中で最も大切にしているのが「あえて何も置かない(余白を作る)」という選択です。

一番わかりやすい例が、我が家の冷蔵庫です。
一般的なファミリー向けの冷蔵庫を使っていますが、一番上の広大な冷蔵スペースは「ほぼ空っぽ」です。

我が家の冷蔵スペース。
ケーキを焼いた時や、いただきものが届いた時だけの一時置き場です。


普段、私はキッチンに立って大掛かりな料理をすることはほとんどありません。
お腹が空いた時はお米を炊いて納豆を食べたり、自然食品「アマノフーズ」のフリーズドライをいただいたりするシンプルなスタイル。
そのため、日常的な食材はすべて冷蔵庫の真ん中の野菜室に収まってしまいます。

キッチンの引き出しの中のストックも、パッと見てわかる状態に。


「空間が空いているのだから、モノを置かなければもったいない」。
私たちは無意識にそう思いがちですが、その思考プロセスを一度疑ってみてほしいのです。

とはいえ、「冷蔵庫を空っぽにするのはハードルが高い」と感じる方も多いかもしれません。

そこで、もう一つ、誰でも今日から真似できる実例をご紹介します。
それが「玄関脇の収納」です。

玄関の左右にある収納。
手が届きやすい「ゴールデンゾーン」の棚板こそ、あえて何も置かない空間に。


扉を開けると、一番モノが取り出しやすい目の前の高さ(ゴールデンゾーン)の棚を、完全に空っぽにしています。

ここを空けておくことで、扉を開けた瞬間の「抜け感」が生まれます。
物理的な収納の空きは、そのまま「心と脳の余白(容量の空き)」に直結しているのです。



扉を開けるたびに「凪」が広がる究極の心地よさ

見えない場所の扉を開けたとき、そこに「ギュウギュウに詰め込まれたモノ」ではなく、「スッキリとした心地よい余白」が広がっている。
その状態を見た瞬間、脳の負担はスッと消え去り、心身を真の「凪」へと導いてくれます。

我が家を訪れる友人がすべての扉を開けたくなるのは、まさにこの感覚を味わうためです。
扉を開けるたびに現れる「何もない余白」を見て、友人自身も脳のメモリが解放され、深い深呼吸をしたような心地よさを感じてくれているのだと思います。
だからこそ、私も喜んで「どうぞ」とすべてを見せることができるのです。

もし今、あなたの家の中に「見たくない引き出し」や「開かずの扉」があるなら、まずは一番小さな引き出し1つ、あるいは玄関の棚1段からで構いません。
中のモノを厳選し、意識的に「何も置かない空間」を作ってみてください。

見えない空間をクリアにすることで訪れる、究極の心地よさをぜひ実感していただければ幸いです。



最後までお読みいただき、ありがとうございました。
実は、今回の記事は3回にわたるシリーズになっています。
1つの記事でも完結しますし、3つセットで読んでもらうことで、より暮らしのヒントにも繋がると思います。
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【シリーズ「凪の暮らし」バックナンバー】
本記事は3部作の完結編です。
視覚やルーツからのアプローチもぜひご覧ください。

第1弾:「モノを愛でる収納術」
お菓子の空き箱や缶を活かして、視覚から心を整える方法。

第2弾:「なぜその空間に惹かれるのか?」
自分のルーツを紐解き、本当に心地よい空間の正体を見つける自己理解のステップ。



本記事で触れた「見えない場所の構造改革」をはじめ、気合や根性に頼らず、環境の仕組みから暮らしを整える具体的なステップは、こちらの書籍で詳しく解説しています。

『暮らしは完成しなくていい ― 忙しく働くわたしを支える「モノ・環境・習慣」の三つの整え方 ―』


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今井萌美|暮らし愛好家・人材育成コンサルタント 応援、心から感謝いたします。あなたの応援を励みにこれからも楽しく、また少し役立つ記事を書いていきます。