世界経済の見通しとアメリカのテック業界の影響
先日、ニュージーランドがリセッション(景気後退)に陥り、出国するニュージーランド人が増えていることについて説明しました。これまでも、幅広く世界経済の解説を取り上げてきました。

例えば、欧州ではイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ノルウェー、アイルランド、ポーランド、ギリシャ、トルコを扱い、

中東ではサウジアラビア、UAE、カタール、シリア、イスラエル、アフリカではエジプト、コートジボワールをはじめとする旧フランス植民地、スーダン、エチオピアについても取り上げてきました。

アジアでは、中国、インド、韓国、ベトナム、シンガポール、モルディブを扱い、

中南米ではメキシコ、アルゼンチン、ブラジル、チリなどを解説してきました。

そして今回は、オセアニアのニュージーランドについて取り上げ、カバー範囲をさらに広げています。
寄せられた多くのコメントの中には、「ニュージーランドもリセッションなら、もう世界中がやばいじゃないか」、「どこも経済がボロボロだ」といったものもありました。確かに、その通りです。どこの国も経済的に苦しい状況が続いています。
しかし、これこそが今まさに世界で起こっている現実です。この状況を理解することで、経済の流れをより深く読み取ることができるでしょう。この記事では、世界全体に目を向け、2025年の経済について考察します。
2025年の世界経済の見通し
2025年の世界経済の成長率について、国際通貨基金(IMF)の予測を紹介します。

アメリカは2024年の+2.8%からやや鈍化し、+2.7%と見込まれています。日本は+1.1%の成長率で、アメリカと比較すると見劣りする状況です。ユーロ圏は+1.0%で、各国の成長率は、
スペイン:+2.3%(欧州で最も高い)
イタリア:+0.7%
フランス:+0.8%
ドイツ:+0.3% となっています。
ドイツは特に低成長が続いており、IMFの予測よりもさらに低迷する可能性があると言われています。つまり、欧州全体としても厳しい状況が続くでしょう。
中国の成長率は+4.6%と見込まれていますが、この数字についてはあまり議論する意味がないかもしれません。中国経済が引き続き厳しい状況にあることは、もはや言うまでもないことだからです。
また、インドは+6.5%の成長率が予想されています。2024年と同水準ですが、楽観的すぎるとの見方もあります。2023年には+8.2%の成長を記録しましたが、2024年第3四半期には+5.4%まで鈍化しており、政府の財政政策により持ち直すとの予想になっています。しかし、現在のインドは通貨安が進み、経済的に厳しい状況が続いており、この見通しはやや過大評価されている可能性があります。
その他の主要国では、
オーストラリア:+2.1%
カナダ:+2.0%
ブラジル:+2.2%
メキシコ:+1.4% となっています。
こうした予測を見て気づくのは、インドと中国を除くとアメリカの成長率が最も高いということです。しかし、インドと中国も成長率の鈍化傾向が続いており、急成長というよりも「苦しみながらの成長」といった状況になっています。
世界経済とアメリカのテック業界
こうして世界経済を比較すると、アメリカ経済が「最もマシ」な状況であることが浮き彫りになります。とはいえ、アメリカ経済が順調かと言えばそうではなく、実際にはテクノロジー業界だけが成長しているという構造になっています。
例えば、S&P500の株価指数を見ると、過去2年間の成長を牽引したのは「マグニフィセント7」と呼ばれるテック企業7社です。これを除いたS&P493(その他の企業)を見ると、業績はむしろ減少しています。つまり、アメリカ経済の成長を支えているのはごく一部のテック企業だけなのです。
2024年初めまでにS&P500は24%上昇しましたが、そのうちマグニフィセント7は67%上昇しており、それ以外の493銘柄はわずか10%の上昇にとどまっています。
株価の動きでも、2024年にS&P500は20%上昇しましたが、その大部分がテック企業の貢献によるもので、それ以外の企業は平均10%しか上昇していません。要するに、今のアメリカ経済はテック業界に支えられているだけで、その他の業界は停滞しているということです。
世界の投資マネー
この状況を受け、世界の投資マネーもアメリカのテック企業に集中しています。例えば、ノルウェー政府年金基金はポートフォリオの上位10銘柄のうち9銘柄がテック株となっており、シンガポール政府系ファンドや中東のファンドも同様にアメリカのテック企業への投資を増やしています。
こうした動きが加速する中で、トランプ政権がAI開発に力を入れる姿勢を強めています。スターゲートプロジェクトなどの計画が打ち出され、アメリカはテック業界への投資をさらに推し進めようとしています。一方、中国もAI開発に対抗する姿勢を見せており、世界経済はアメリカと中国のテック競争に大きく左右される展開になりつつあります。
私の考え
現在、世界経済は低迷が続き、どの国も苦しい状況です。その中で、比較的マシなのがアメリカ経済ですが、それも実際にはテック業界に依存している状態です。このため、今後の世界経済はアメリカのテック業界の動向次第で大きく変わる可能性があります。特に、AIや半導体関連企業の動向が今後も世界の経済成長を左右する重要なポイントになっていくでしょう。
今後もしばらくは、アメリカのテック業界の変動に世界中が一喜一憂する展開が続くことになりそうです。引き続きよろしくお願いいたします。
ご参考
社会の変化と揺り戻しの法則
相場の中では「山高ければ谷深し」という格言があります。政治の世界も相場の世界も、大きな流れができると必ずその揺り戻しが起こります。これは人間が社会のバランスを保とうとする中で起こることなのかもしれません。
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