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オーストラリアの住宅価格高騰と外国人の投資


 日本でも住宅価格の高騰が問題になっていますが、実はオーストラリアはもっとひどい状況になっています。この記事では、オーストラリアの住宅価格の高騰について詳しく解説します。

住宅価格の全国平均が9,500万円を突破

 オーストラリア統計局が発表した2025年3月の住宅市場に関するデータによると、住宅価格の全国平均が初めて100万2,500豪ドル、日本円で約9,500万円にまで上昇しました。日本でも東京の新築マンションが1億円を超えている状況ですが、オーストラリアの場合は都市部だけではなく、全国の平均であり、しかも中古住宅も含めてこの水準に達しています。

広大な国土と少ない人口

 オーストラリアは最大都市シドニーでも人口は500万人ほど。国土は日本の20倍、総人口は2,720万人ほどです。つまり、非常に土地の多い国です。端的に言ってしまえば、ほとんどが田舎です。これは決してオーストラリアをけなしているわけではなく、むしろその自然の豊かさや広々とした生活環境がオーストラリアの魅力です。

オーストラリア連邦:面積
768万8,287平方キロメートル(日本の約20倍、アラスカを除く米とほぼ同じ)(出典:ジオサイエンス・オーストラリア)

外務省

 元々土地が豊富なことから、住宅価格が大きく上がるようなイメージはありませんでしたが、これは世界的な傾向でもあり、2010年代の低金利時代以降、不動産価格は右肩上がりで上昇してきました。

地域ごとの価格動向

 今回の統計は1,130万件の住宅データを元に、小住宅からアパートまであらゆるタイプを集計したもので、全体的に価格が上昇していることがわかります。地域別では、最大都市シドニーを抱えるニューサウスウェールズ州が最も高く、平均価格は120万豪ドル。続いてクイーンズランド州が94万5,000豪ドルとなっており、経済規模の大きな州が上位に並びました。
 一方で、近年は西オーストラリア州や南オーストラリア州といった自然がメインの地域でも上昇率が大きくなっており、全体の平均を押し上げる要因となっています。

年収倍率

 ニューサウスウェールズ州の住宅価格は、2023年時点で年収に対する倍率が13.8倍に達しました。

出所)Bloomberg【2025/2/17】

 以前は年収の5〜7倍が住宅購入の目安と言われていましたが、それを大きく超えています。13.8倍というのは世界的に見ても非常に高い水準で、これはつまり平均的な収入の人が住宅を購入すると、約14年間も家のためだけに働かなければいけないということです。生活はかなり厳しくなると言えるでしょう。

移民による人口増加が価格上昇の一因

 では、なぜここまで住宅価格が上がっているのか。これは西側の先進国で共通する課題でもありますが、一つの要因として「移民による人口増加に住宅供給が追いついていない」ことが挙げられます。
 
カナダほどではないにせよ、オーストラリアも近年ずっと人口が増加してきました。出生率は低下傾向にありますが、移民の受け入れによって人口は2000年の1,900万人から、2024年には2,720万人まで増加しています。こうした人口増加に公共サービスや住宅供給が追いついていないという状況は、他の国々と同様です。
 そのため、オーストラリアでも無制限な移民受け入れから、制限の方向に政策が転換され始めています。

私の考え
 世界的に移民が増えすぎていて、マイナスの影響が大きくなっていると私は考えています。これは、富の格差が広がる社会の中で、これからも多くの国が向き合うべき問題だと思います。

世界的な移民の増加問題に関する一考察

アルバニージー政権の対策と規制緩和

 住宅問題に対しては、アルバニージー政権が5年間で120万戸の住宅を建設する計画を打ち出しています。イギリスでもスターマー政権が5年で150万戸の住宅建設を目指していますが、どの国も似たような方向に進んでいるという状況です。
 アルバニージー政権は5月の総選挙で住宅問題への対応を強くアピールして支持を集めました。これまで都市計画法によって建設が難しかったエリアにも、規制緩和によって住宅建設ができるようにしていく方針です。

外国人投資

 そしてもう一つ、これも共通の傾向ですが、「外国人による不動産投資」が住宅価格を押し上げている要因となっています。カナダでは中国人などの投資家による住宅購入が問題になり、2023年から外国人の住宅取得を原則禁止しました。当初は2年間の予定でしたが、現在は2027年まで延長されています。
 オーストラリアはカナダほど深刻ではないとして対策が先送りされてきましたが、最終的に今年の4月から2年間、外国人による住宅取得を禁止する措置を取ることになりました。

外国人投資の問題点

 外国人取得禁止の国が増えてくると、まだ買える国に投資マネーが集中してしまい、そこが次に価格高騰を起こす可能性もあります。住むつもりのない人が投資目的で物件を買い進め、住宅価格がどんどん上がっていく、一般の国民が購入できなくなる。仮に購入できてもローン返済が重く、生活の質が下がってしまいます。
 そして最終的には「家が買えない」、「家が借りられない」という状況になり、ホームレスが増えていくというところまで進んでしまう。こうした問題はすでに西側先進国で起こっている現実です。

金利の動向も価格を左右する

 そして、外国人の住宅取得を制限したからといって、すぐに住宅価格が下がるとは限りません。住宅価格に大きく影響を与えるもう一つの要因が「金利」です。現在、オーストラリアでは金利引き下げ局面に入っています。
 オーストラリアは先進国の中でも高金利を維持してきましたが、今年2月からようやく利下げを開始。アメリカのFRBは昨年9月から利下げを始め、欧州のECBはもう利下げを終えようかという段階にある中で、オーストラリアはかなり遅れを取っています。
 
GDP成長率も、1〜3月期には前期比でプラス0.2%と弱い動きになっていて、今後も利下げが続く可能性が高まっています。中央銀行であるRBAの利下げは、少なくとも来年までは継続すると見られています。金利が下がればローンが組みやすくなり、結果として住宅価格を押し上げる要因にもなります。

今後の見通しと教訓

 オーストラリアでは住宅価格が高すぎるという状況が、まだしばらくは続いていきそうです。住宅価格が高いということは、狭い家や古い物件に住まざるを得なかったり、住宅ローンの返済にお金が取られてしまって生活費が圧迫されたりと、国民の生活の質が下がってしまいます。
 
こうした現象は世界的に広がっているわけですが、外国人による取得制限など、各国が対策に乗り出しているという現実があります。日本でもこうした点について理解が深まっていくと良いのではないでしょうか。今後ともよろしくお願いいたします。


ご参考

 情報との付き合い方、日本経済の置かれている状況、トランプ政権とアメリカ経済のこと、力を失っていくイギリス経済、中東経済のこと。今の時点での私の考えをまとめて本にしました。

ドル安進行化での中国の動きと書籍化のご報告

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