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続く不安定な国際情勢とFOMCの結果と影響


 今週も、世界ではさまざまな事件や出来事が相次ぎました。イギリスでは数十万人規模の大規模デモが発生し、国中を揺るがしました。金融市場では、主要な中央銀行の金融政策決定会合が集中する、非常に重要な週でもありました。

FOMCの結果とパウエル議長の会見

 まず2025年9月17日に行われたFOMC(米連邦公開市場委員会)について整理しておきましょう。多くのメディアや解説者がすでに詳細を伝えていますが、要点を押さえると、今回0.25%の利下げが行われたのは市場の予想通りでした。焦点となったのは、3か月ごとに公表されるFRBメンバーによる政策金利見通し、いわゆる「ドットプロット」でした。

出所)FRB

 その中央値では、今年さらに0.5%、来年0.25%の利下げが行われると示されました。これは市場が事前に予想していたシナリオと大きな差はありません。しかし、今回から加わったミラン理事が、他のメンバーより極端に大幅な利下げ見通しを示したことで、中央値が引き下げられた格好となりました。つまり、中央値の数値が示すほど、FRB全体が利下げに積極的なわけではないという点に注意が必要です。

 声明文では労働市場に弱さが出始めていることに警戒感を示しつつ、利下げが続く可能性に言及しました。ただし、パウエル議長の会見では「連続的な利下げを約束するものではなく、その都度議論する」と強調し、利下げ姿勢に過度な前のめり感を出さないよう配慮していました。

FOMCの結果を受けての市場の反応

 この結果を受けて市場の反応は複雑でした。利下げが行われたにもかかわらず、債券市場では金利が上昇しました。もともと市場は年内に3回の利下げを織り込んでいましたが、今回のドットプロットでは合計3回の利下げが示唆されつつも、実態はミラン理事による影響が大きいものでした。そのため、市場が過度に利下げを期待していたのではないかとの見方が広がり、金利はむしろ上昇したのです。
 私自身も、FRBは利下げを続けるものの、市場が期待するほど大胆には動けないと見ています。したがって、利下げを前提に高値をつけている株式市場は、やや楽観的すぎるのではないかと考えています。

日経平均株価と不動産バブルの影

 株式市場では、今週ついに日経平均株価が史上最高値の4万5,000円を突破しました。これを受け、古い知人と話していた際に「1980年代を思い出す」と言われました。当時も、日経平均が3万円から3万7,000円に駆け上がったのは一瞬の出来事で、現在の状況と重なる部分があるのです。
 特に類似しているのは、不動産価格が普通のサラリーマンには到底手が届かない水準まで高騰している点です。1980年代には「土地神話」のもとで不動産が買い漁られ、地価が急騰。結果的に多くの人が都心に住宅を持てない状況に追い込まれました。その後、自民党が大蔵省を通じて規制を導入し、不動産バブルを崩壊させましたが、現在の東京の状況も当時を思わせるものがあります。

新築マンションの年収倍率

 2024年には東京の新築マンションの年収倍率が18倍に達し、これは1990年のピークに迫る数字です。ただし、当時と異なるのは、日本だけでなく世界中で同じ現象が起こっていることです。海外メディアからは「東京のマンションはなぜ安いのか」との指摘さえありました。これは供給量が比較的多いことや、部屋の面積が狭いことなどが理由として挙げられています。

 日本でも住宅価格の高騰が問題になっていますが、実はオーストラリアはもっとひどい状況になっています。

オーストラリアの住宅価格高騰と外国人の投資

 近年、日本の住宅も狭小化が進み、通勤時間の長さや生活の質の低下が問題となっています。私はこうした状況が行き過ぎる前に、不動産市場は適度に調整された方がよいと考えています。過度なバブルは持続可能ではなく、むしろ早めに落ち着いた方が健全だからです。各国では外国人による不動産取得を制限する動きも出ていますが、日本ではまだ議論が十分に進んでいない点は気がかりです。

JERAによるアラスカLNGプロジェクト投資

 次に、エネルギー関連の注目ニュースを取り上げます。先週後半、JERAがアラスカのLNG(液化天然ガス)プロジェクトに投資することが発表されました。JERAは東京電力と中部電力が折半出資して設立された企業で、火力発電事業を中心に展開しています。

出所)JERA

 今回の投資は、9月4日に日米共同声明で発表されたLNG協力の一環です。日本は今後20年以上にわたり、アラスカから年間100万トン以上のLNGを購入する契約を結びました。このプロジェクト全体の開発費用は少なくとも6兆円以上に達するとされ、極寒の環境下で1,300kmに及ぶパイプライン建設が必要になるため、実現性を不安視する声もあります。とはいえ、年間2,000万トンを掘削予定のうち、JERAの分は100万トンに過ぎず、投資額も限定的と見られています。
 この動きは先に公表された「日本から米国への5,500億ドル規模の投資」の一部であるとされており、政府系金融機関や民間資金の動員方法など、資金の出どころが依然として不透明な点は残されています。

民間の資金を政府がリスクを負う形で活用して、国策プロジェクトへの投融資を行っているという仕組みです。
 
今回の5,500億ドルに関しても、税金が直接使われるという話ではありません。

米国への5,500億ドルの投融資のカラクリ

 また、JERAの将来像にも影響を与える可能性があります。東京電力は政府が議決権の過半を握る事実上の国有企業であり、その資金が米国の巨大プロジェクトに投入されるとなると、機関投資家の受け止め方も変わってくるでしょう。JERAの上場構想が語られてきた中で、政治的判断に左右される色合いが濃くなれば、企業戦略の自由度が制限されるリスクも指摘されます。

世界の変化と心構え

 このように、9月半ばのわずか数日の間にも、金融政策の転換、不動産市場の加熱、そして国際的なエネルギー投資といった大きな動きが同時進行しています。特に日本国内でも株価上昇や住宅価格の高騰が注目を集めていますが、それが持続可能なものなのかどうか、冷静に見極めることが重要です。
 世界の変化は常に日本にも波及します。金融・不動産・エネルギー、それぞれの分野で起こっている動きを丁寧に追いかけていく必要があると改めて感じました。今後ともよろしくお願いいたします。


ご参考

市場はすでにFRBが今年3回利下げすることを織り込んでいる状況で、そうした期待に変化はなく、マーケットへの影響は限定的となるでしょう。

9月11日発表の米消費者物価指数の詳細解説

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