スウェーデンのロミナ氏自由党党首への可能性
以前から注目してきた、というよりも、私が個人的に追いかけ続けているスウェーデンの環境大臣ロミナ・ポールモクタリ氏(以下、ロミナ氏)。日本ではあまり知られていない人物ですが、モハPチャンネルを通じて彼女のことを初めて知ったという方も少なくないのではないかと思います。というのも、ロミナ氏に関する日本語の情報はほとんど存在しておらず、私は毎日スウェーデンのメディアをチェックして、ロミナ氏の動向をウォッチしています。
■ スウェーデンのロミナ・ポールモクタリ氏の解説
■ スウェーデンのロミナ氏の中国通販サイト批判
■ スウェーデンのロミナ氏、気候変動委員会と対立(2025/4/29)
そして今、そのロミナ氏がスウェーデン自由党の党首に選ばれる可能性が高まりつつあり、スウェーデン国内でも大きな注目を集めています。私自身も興奮しながら、連日その動向を見守っているところです。この記事では改めてロミナ氏について説明します。
ロミナさん、党首になりそうな感じになってきました。やっぱりできる人だな。スウェーデン期待の若手政治家 pic.twitter.com/tehZ0RKUQf
— 【世界経済情報】モハPチャンネル (@MohaP_WorldNews) May 16, 2025
史上最年少で気候環境大臣に就任
ロミナ氏についてはこれまで何度も取り上げてきましたが、改めてご紹介しておくと、彼女は「スウェーデンの気候環境省をぶっ壊す」と宣言し、27歳という若さでスウェーデンの気候環境大臣に就任した人物です。
スウェーデンといえば、環境問題に対して真剣に取り組んできた国というイメージがありますが、ロミナ氏はそうした取り組みのすべてを否定しているわけではありません。
彼女が主張しているのは、「なりふり構わず、すべての政策で環境を最優先する」という姿勢には無理がある、ということです。環境省が利権と化した活動家の要望を満たすためだけに存在するのではなく、現実に即した政策が必要だという考えのもと、改革に取り組んできました。
一貫した姿勢
実際の政策としては、例えば暴空システムの電波を妨害する恐れがある発電施設の建設に対しては許可を出さなかったり、電力供給が不安定な洋上風力発電に対して補助金を支給しないという方針を明確にしています。このときロミナ氏は、「補助金を期待するのではなく、電力会社が自分たちで採算が取れると判断するなら、自らの責任で進めるべきだ」といった態度をはっきりと示しています。
彼女の考えでは、洋上風力発電のように不安定な電源が補助金によって増えていくと、スウェーデンは高コストで脆弱なエネルギー供給体制を抱え込むことになり、最終的に国力が低下するという懸念があります。温室効果ガスのネットゼロを進めるにあたっても、洋上風力などに頼るのではなく、原発を増やすべきだという立場を取っています。
責任と覚悟
私自身は、ロミナ氏の政治的な立場や思想に全面的に同意しているということではありません。ただ、「言ったことは実行する」、「木を見て森を見ないという姿勢にはならない」といった、政治家としての一貫性と誠実さを評価しています。どこかの国では、偉くなると過去の発言と真逆のことを言い出す政治家も少なくありませんが、ロミナ氏はそうした姿勢とは一線を画しています。
石破さん、首相なる前と後で、言うこと変えすぎ。なのに支持してる国民。主張の内容は置いておいて、変えすぎてることには、怒るとこだよ。https://t.co/iRK64XUv0j
— 【世界経済情報】モハPチャンネル (@MohaP_WorldNews) October 5, 2024
彼女は、「4年間やるべきことをやって、それでも支持されないのであれば潔く辞める」と述べており、自身の役割と責任に対する覚悟も示しています。
自由党党首選と党内の構造
そんなロミナ氏が所属するスウェーデン自由党は、現在の連立与党を構成する4つの政党の1つであり、2025年6月24日に党首選挙が予定されています。現在の党首であるヨハン・ペールソン氏は、支持率の低迷を受けて辞任を表明。これを受けて次の党首を決める選挙が行われることになりました。
ペールソン氏は2024年に教育大臣に就任し、未成年に対するSNS規制の導入を目指していました。スウェーデンでは、SNSを通じて犯罪組織が若者を勧誘し、彼らが犯罪に巻き込まれるという事件が増加しており、社会問題となっています。こうした問題への対応がうまくいっていないことも、自由党の支持率低下の一因と見られています。
中道右派に位置する自由党の特徴
ちなみに、スウェーデン自由党の現地名は「リベラレルナ」で、英語で言えば「リベラル」に相当する言葉が含まれていますが、実際には中道右派の政党と位置づけられています。1990年代以降、この政党は移民政策の厳格化や自由主義経済、原子力発電の推進といった右派的な政策を前面に打ち出してきました。

現在スウェーデンの政権は、穏健党、スウェーデン民主党、キリスト教民主党、そして自由党の4党による右派連立によって構成されていますが、いずれの政党も最近は支持率が振るわず、2024年の欧州議会選挙では左派勢力が勝利しています。2026年の総選挙を控える中、各党とも立て直しを急いでいます。
ロミナ氏自由党の党首の可能性
こうした状況の中で、ロミナ氏の党首就任の可能性が浮上してきたのは、彼女の知名度と実績によるところが大きいです。ロミナ氏はもともと学生運動のリーダーとして活動しており、若者を中心に根強い支持を集めてきました。環境大臣としての政策運営でも一定の評価を得ており、党内では次期リーダーとしての声が高まっていました。
現地メディアの報道によれば、既に一部の地方組織がロミナ氏の立候補を支持する意向を示しており、自由党の中でも影響力を持つ地区が軒並みロミナ支持に回っています。実際、6月4日の時点で最大の地方組織を含む複数の支部がロミナ氏を推薦したことで、彼女の党首就任はほぼ確実と見られる情勢になっています。
ロミナ氏の党首就任が意味すること
もしロミナ氏が自由党の党首に選出されれば、それは単に一つの政党のリーダーが変わるという話にとどまりません。というのも、スウェーデンの現政権を構成する4党のうち、自由党は比較的小さな政党でありながら、議会でのキャスティングボートを握っている重要な存在だからです。
現政権は一議席差で辛うじて過半数を維持しているため、自由党が連立から離脱するだけで政権は崩壊します。つまり、ロミナ氏が党首となれば、環境政策だけでなく、スウェーデン全体の政策や政局に大きな影響を与えることは間違いありません。彼女の政治的スタンスは、今後のスウェーデン政治の行方を左右する重要なファクターになるでしょう。
今後の注目点
スウェーデン自由党の党首選挙は6月24日に予定されており、それに向けて今後も新たな動きが出てくるはずです。私自身も、ロミナ氏がどのような形で党内外の支持を集めていくのか、今後の展開を丁寧に追いかけていきたいと考えています。
日本ではまだほとんど知られていない人物ですが、こうした若い政治家が現実的な政策を掲げ、誠実に取り組んでいく姿勢は、私たちにとっても大いに学ぶべきところがあるのではないでしょうか。スウェーデンの政治の一断面を通じて、私たち自身の社会や政治のあり方についても考えを深めるきっかけになればと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
ご参考
アメリカのように財政悪化懸念がある国とは対照的に、スウェーデンは財政的な安定感があり、投資家が「代替資産」としてスウェーデン・クローナを選ぶ動きも見られます。
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