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辞任発表によるマーケットの反応と今後の見通し


 2025年9月7日、石破首相が辞任を表明しました。参院選が行われる前の段階で「参院選では自民党が負ける可能性が高い」と解説してきました。そして実際にそのとおりとなり、その場合には為替は円安、債券市場では長期ゾーンが売られる可能性が高いとお伝えしてきました。今のところはある程度予想通りの流れになっているのではないかと思います。

9月8日辞任発表翌日のマーケットの反応

 辞任発表翌日の9月8日のマーケットでは、日本の株式市場は大きく上昇し、為替は円安方向に振れました。債券市場については、短期金利が低下し、長期金利は上昇するという形で反応しました。短期と長期の動きが逆方向になっており、典型的な「ツイストスティープ」と呼ばれるイールドカーブの変化が見られています。

出所)みずほリサーチ&テクノロジーズ

市場が辞任を織り込み始めた時期

 石破首相の辞任については、市場はすでに先週から織り込み始めていました。9月2日の両院議員総会後に森山幹事長、小野寺政調会長、鈴木総務会長、木原選対委員長などが次々と辞任を表明し、この時点で首相周辺の側近がほとんど退いたため、石破首相本人も辞める可能性が高いと市場は見ていたのです。

石破首相は10月12日、党首討論会で日本銀行(以下日銀)は政府の子会社ではないと述べました。

法令に見る日銀と政府の関係

債券市場の具体的な動き

 債券市場では、10年国債の利回りが
・8月29日時点で1.600%だったものが、
・9月5日には1.570%に低下し、
・9月8日の前場では1.575%となりました。

 短期国債については、
・8月29日時点で0.870%だったものが、
・9月5日には0.835%に低下し、
・9月8日には気配値ベースで0.825%程度と見られています。

 一方で30年国債は、
・8月29日時点で3.180%だったものが、
・9月5日には3.225%、そして
・9月8日には3.255%程度まで上昇している模様です。

短期金利が低下した背景

 短期ゾーンの金利が低下した背景には、日銀の利上げが遠のくのではないかという観測があります。次の総裁候補として高市氏か小泉氏の可能性が高いと見られていますが、高市氏は前回の総裁選で石破首相よりも多くの票を得た実績があり、今回勝つ可能性も十分にあると見られています。高市氏はアベノミクスに近い経済政策を志向しているため、金融緩和を維持する可能性が高いと市場は見ているのです。
 
そのため利上げ観測が後退し、短期金利の低下につながりました。

長期・超長期金利の上昇要因

 一方で長期金利や超長期金利の上昇については、インフレ警戒感が背景にあります。高市氏が総理になれば緩和的な金融政策が継続されると見られますし、仮に小泉氏であっても利上げは遅れる可能性があります。その結果、インフレが進むのではないかとの見方が強まり、長期金利が上昇したのです。
 
また、財政運営の方針も影響しています。小泉氏であれば石破政権と大きな違いはないと見られますが、高市氏であれば積極財政に転じる可能性があります。その場合には超長期国債を中心に売られやすくなり、金利が上昇するとの見方が市場で強まったと考えられます。

マーケットへの影響

 こうした背景から、為替市場では円が売られやすい展開となりました。金融緩和が続く可能性や、インフレ警戒による長期金利上昇が円安方向を後押ししたと見られます。ただし、今後については必ずしもこの円安・スティープ化の流れが続くとは限らないと私は見ています。
 
今回の自民党総裁選は非常に読みづらいものとなっています。派閥は形式上解散したとされていますが、実際には派閥の影響力が依然として強く、各派がどう動くかによって結果は大きく変わるでしょう。そのため、総裁選前に完全に市場が織り込みに行くのは難しく、方向感の乏しい展開が続くのではないかと考えられます。

高市氏・小泉氏それぞれのケース

 仮に高市氏が勝利した場合、アベノミクスに近い政策が想定されますが、安倍政権ほどのインパクトはないでしょう。派閥間の力学、特に麻生派の支持を得るには、積極財政的な政策を封印せざるを得なくなる可能性が高いからです。麻生氏は最近も消費税減税を批判しており、その影響で高市氏も政策修正を迫られるかもしれません。
 一方で小泉氏が勝利した場合には、維新との連携が取り沙汰されていますが、それが直ちに国債発行などに大きな影響を与えるとは考えにくく、マーケットが強く反応する材料は少ないでしょう。

今後の政権運営と日本政治の潮流

 結局のところ、誰が総裁になったとしても自民党の政権運営は厳しいものになると私は見ています。世界的に移民反対などの世論が強まっている中で、既存政党がその流れに応えられていないという状況は、日本でも続くと考えられます。今回の総裁選が大きなトレンド転換につながる可能性は低く、むしろ方向感のない展開がしばらく続くのではないでしょうか。

国際的に移民問題が政治的テーマとなっている今、このような曖昧な説明で「ホームタウン」という言葉を使えば、混乱を招くのは当然だと感じます。

ホームタウン構想とJICAの対応への疑問

 この記事では石破首相の辞任を受けて、マーケットの反応と今後の見通しについて解説しました。総裁選の結果が出た後には、改めてその影響を整理してお伝えしたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。


ご参考

日本のトリプル安と選挙と長期国債の利回り上昇

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