創作大賞2026感想文「『もうひとつのデビュー』~ピアノの音がない世界」(2026/7/3)
【目指せ! レビュアー賞!】
創作大賞2026に挑戦する作品を、感想文を書くことで応援します!
オールカテゴリ部門から感想文を書く作品を探していますが、その他の部門でも感想文を書かせてくださる作品を募集しています。
87. 『もうひとつのデビュー』~ピアノの音がない世界
本日ご紹介するのは、ショパンの親友の人生の転換を描く漫画です。感想文企画では初の他薦作品です。名瀬口にぼしさんご紹介ありがとうございます!
本作には対となる漫画や多くの関連作があるのですが、感想文を書くにあたっては本作のみを参考としました。先入観を持たないようWikipedia等の外部資料も見ていません。
主人公のティトゥスはショパンの親友として知られる実在の人物です。作者のハイハイミミさん曰く「彼がどんな人だったか知る人はほとんどいない」とのこと。
本作は、両親を亡くして領主の座を引き継ぐことになったティトゥスが、領地の村を訪れるところから始まります。この時点での彼は、領主になる義務感はあっても心では納得していないように見受けられます。「逃げ出してしまいたい」とハッキリ思っていますし。
領地はティトゥスにとって或る種の異世界です。作品冒頭の「ピアノの音が無い世界…」という言葉がそれを示しています。回想シーンを見るにティトゥスの言う「ピアノの音」とは、ショパンが弾くピアノの音に限定して差し支えないでしょう。
いっぽう、領地の村人たちにとってもティトゥスは異邦人です。作中の描写を見るに、彼はこれまで村を訪れたことは少なく、管理人ランツァ以外の村人と言葉を交わしたことはなかったと考えられます。
本作ではそんなティトゥスの変化が丁寧に描かれています。個人的にはティトゥスが「ショパンが側にいなくてもピアノの音がある」と気づいた瞬間が彼のデビューだったのだと思っています。
また、本作は絵も素晴らしいです。細かいところの描き込みや削りをもっとよく見たいのに、なんでnoteのビューアーは拡大表示ができないのか(ハンカチ噛み締め)。

ご紹介ありがとうございます!
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