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ヒグマカルマ――物語論を語らなくなる時、物語は始まる

「物語を創る、創らせて頂く僕にはスイッチは入った。けれど、まだ物語自体にはスイッチは入ってはいない。静かなる胎動は感じている」

これは昨年10月12日の制作日記、僕の物語論そのものだった。

物語とは何か。
物語は世界の側にあるものであり、既に在る物語自体が物語を記述し始める。

どうすれば始まるのか。
どのように立ち上がるのか。
まだ外側から、それを捉えようとしていた。

いま思えば、あの時はまだ、
物語の外にいたのだと思う。

そして、ひとつ気づいたことがある。

物語が本当に起動しているとき、
人は、物語について語らなくなるのではないか。

語る必要がなくなる。

なぜなら、すでにその中にいるからだ。

説明しようとする距離が消え、
言葉にする余白がなくなる。

代わりに起きているのは、
関与であり、遭遇であり、巻き込まれることだ。

もがき、あがき、懊悩しながら、
それでも離れられない。
その状態そのものが、
すでに物語なのだと思う。

そして今は——
語れるところと、語れないところの境界にいる。

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#ドキュメンタリー映画制作日記

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「虚空門GATE」監督 小路谷秀樹 Hideki Koujitani 『ヒグマカルマ』は現在も北海道・東北で取材と撮影を続けています。 もし活動を応援していただける方がいましたら、サポートいただけると制作継続の力になります。 いただいた支援は、移動費・撮影費として大切に使わせていただきます。