『手仕事の日本』柳宗悦 | 書評 | 日本各地には素晴らしい手仕事が残る
私は全国各地の「土地のもの」が好きです。
そこに息づく素材の良さや、職人さんの気持ち。
そんなものを感じられるからです。
そうしたことを知ることができる本はないかと探していたところ、柳宗悦氏の『手仕事の日本』を知り、手に取りました。

この本の概要と基本情報
本の長さ : 320ページ
出版社 : 岩波書店
発売日 : 1985/5/16
柳 宗悦(やなぎ むねよし、1889年(明治22年)3月21日 - 1961年(昭和36年)5月3日)は、日本の美術評論家、宗教哲学者[1]、思想家。民藝運動の主唱者である。名前は「やなぎ そうえつ」とも読まれ、欧文においても「Soetsu」と表記される。
宗教哲学、近代美術に関心を寄せ白樺派にも参加。芸術を哲学的に探求、日用品に美と職人の手仕事の価値を見出す民藝運動も始めた。著名な著書に『手仕事の日本』、『民藝四十年』などがある。
印象に残ったポイント
日本各地には土地の自然と歴史に基づいた手仕事がある
寒い地域には特に手仕事の歴史が深く残っている
日常的に使う、地味なものにこそ、美しさが隠れている
感想
私は日本を知らない。 この本を読んで、心からそう思います。
「吾々は日本から生まれたものをもっと愛そう」
そう柳さんは語る。
今世の中を見渡すと、有形無形に関わらず、海外のものに溢れています。
海外のものが悪いのではありません。
ただ、自分たちの生まれ住む国にある素晴らしいものを知らず、海外のものばかりを「安いから」「どこでも手に入るから」と使い続けて、日本固有のものが衰えていくのは悲しいことです。
自分たちが住むこの日本の足元をもっと見つめて、掘り下げていけば、豊かに生きていけると思います。
「便利さを買い、美しいものを売ってしまった。それは幸福か?」
と柳さんは語る。
この本の初版が出たのは、昭和23年らしい。
その頃から更に失われてしまった民藝は全国各地にあるでしょう。
でも、各地で復興を目指している人たちもいます。
そんな熱い志を持った人たちを応援し、日本固有のものを尊び、守っていくことは、日本のためになると言えます。
改めて、日本のことを好きになれる一冊だった。。

メモ
営利主義は品質を下げる。また、その営利主義を推進するのは問屋や商社であることが多い。
工藝は、土地の自然と歴史から生まれる固有のものであり、一朝一夕には誕生しない。
歴史は『根』のようなもの。遠く深く育った根の上には、大きな樹が立つ。歴史を繰り返すだけでなく、優れているところを理解して、発展させていくのが、今を生きる者の為すこと。
訪う おとなう
日本全国、「紙」と「織物」、そして「焼物」が多く語られていた。日本には古くからそれらが盛んに作られていたが、どれも今では安価な工業製品になっている。
寒くて冬の厳しい地域には民藝が栄える。農業が出来ない間に家で作り込むためか。また水などの素材が良いのも理由かも。
「自然さから遠のくと美しさは消えてゆく」
指を屈する
染物屋を総称して「紺屋 こうや」と呼ぶほど、日本人にとって紺色は馴染みがあり、その色を出す藍を作っていた徳島は栄えた。しかし化学的に染める人造藍が現れ衰えた。
「便利さを買って、美しさを売ってしまいました。この取引は幸福であったでしょうか。」p206
「吾々はもっと日本から生れた日本のものを愛そうではありませんか。そうしてそれらのものを用いることに悦びを抱こうではありませんか。」p212
豊臣秀吉が朝鮮へ攻め入った際、陶工を連れ帰って茶器を発展させた。有田焼のルーツはそこから始まる。
「健全な美しさ」
「彼らは品物で勝負をしているのであります。物で残ろうとするので、名で残ろうとするのではありません。」p256
「用いる工藝と眺める美術」p257
「吾々が固有のものを尊ぶということは、他の国のものを謗るとか侮るとかいう意味が伴ってはなりません。もし桜が梅を謗ったら愚かだと誰からも言われるでしょう。」p270
「民藝の思想は、名もなき民衆が、美しい物を作ろうという意識もなく、自分らしさを表現しようという個性もいまだ生まれない、あるがままの自然な姿で作り出した日常の道具こそ美しい」p282
