心拍変動(HRV)が低い時、トレーニングを休むべきか?|心拍変動との付き合い方
みなさん、心拍変動って知っていますか?
Apple Watchなどのウェアラブルを使っていると、心拍変動(HRV)という数字が出てきます。自律神経のバランスや体の疲労・ストレス状態を評価する指標として注目されています。ウェアラブルのレディネススコアは安静時の心拍数、最近の睡眠スコア、HRVから計算しています。
自分の数値はこんな感じ。今日は調子がよさそうです。

そもそもHRVとは何か
HRVは、心臓が打つ一拍ごとの間隔がどれくらい揺れているかを表す数字です。心臓はメトロノームではありません。息を吸うと少し速くなり、吐くと少し遅くなる。体の状態に合わせて、心拍の間隔はわずかに動いています¹⁾。
HRVは、この心拍の間隔の「ゆらぎ」を数値にしたものです。一般には、ゆらぎが大きいほうが心臓に余裕があり、コンディションがよいと考えられています。
ただ、心拍数と違って意味は分かりにくいですね。高ければ絶好調なのか。低い朝はトレーニングを休むべきなのか。そこまで教えてくれません。
今回、こんな質問をいただきました。
HRVだけが低いだけなら、たいていは予定を変えなくていいです。
朝起きて、ウェアラブルを見たら、HRVが低い。今日は追い込まないほうがいいのかな?と一瞬迷いますよね。自分もHRVに一日の気分を決められていた時期がありました。
でも、1回の数字だけで、好調か不調かは決められません。
HRVは今日の合否ではありません。自分のいつもの値から外れているかを知らせる数字です。
自分は睡眠休養感→安静時心拍数→睡眠スコア→HRVの順で気にします
質問にあった「安静時心拍や睡眠と比べて、どのくらいの比重で扱うか」への答えです。自分が朝起きたら確認しているのは、この4つ。
睡眠休養感
安静時心拍数
睡眠スコア
HRV
一番大事なのは、睡眠休養感です。ぐっすり眠れたか。起きたときに前日の疲れが抜けているか。体が軽いか。という自分の感覚です。
ここは、ウェアラブルの点数より先に確かめます。
というか、起きた瞬間にわかります。睡眠休養感は主観的な感覚です。でも、ただの気分ではありません。厚生労働省の睡眠ガイドでも、良い睡眠には量としての睡眠時間だけでなく、質としての睡眠休養感が大事だとされています²⁾。
以前、睡眠スコア95点の日に、外来中に寝落ちしかけた医者の話でも書きましたが、睡眠スコアが95点でも、その日の体調まで95点とは限りません。
次が安静時心拍数です。
自分の場合、安静時心拍数が普段より3拍ほど高い時は少し注意します。
安静時心拍数をどう読むかは、Apple Watchの安静時心拍、70超えてたら黄色信号で詳しく書きました。心拍数は絶対値だけじゃなくて、推移も大事だという話です。
その次に睡眠スコアを開きます。睡眠時間や中途覚醒が、数週間から数か月でどう動いたかを追うには役立ちます。
ただ、睡眠スコアには少し誤差があります。手首のセンサーとアルゴリズムから出した推定値なので、実際には目が覚めていても眠っていたと判定されることがある。点数がよくても、起きたときに体が重い日はあります。
一晩の睡眠スコアに、その日の気分やトレーニングを決めさせないようにしています。
自分は睡眠スコアより、安静時心拍数を少し上に置いています。安静時心拍数は、自分の普段から3拍上がったという変化をそのままつかみやすい。睡眠スコアは複数の情報をまとめた点数なので、何が原因で下がったのかが分かりにくいからです。
HRVは最後です。安静時心拍数が普段より3拍上がれば、調子が崩れ始めているサインとして捉えられますが、HRVは40が32になっても、疲労なのか測定のばらつきなのか、少し決めにくい数字です。
だから、HRV単独の比重は低めです。
HRVだけ低い。でも、ぐっすり眠れて体は軽い。安静時心拍数も睡眠スコアも普段どおり。そんな日は、自分はあんまり気にしません。普段通りトレーニングします。HRVだけが低いことを、休む理由にはしません。
逆に、眠った感じが悪く体も重い。安静時心拍数も普段より3拍ほど上がっている。睡眠スコアも悪い。そこにHRVまで低下していたら、疲労が溜まっていると判断します。自分はHIITや脚トレなどの高強度のトレーニングは中止にして、散歩やゆるい有酸素、重量を落としたトレーニングに変えます。

このように、HRVは、睡眠休養感、安静時心拍数、睡眠スコアを確かめたあとに参考にしています。「HRVが何%下がったら休む」という一律の基準は作りにくいです。測る時間や姿勢、呼吸などで変わるし、普段の値には大きな個人差があります³⁾。
絶対値は他人と比べません。もともとやたら低い人もいれば、高い人もいます。運動でどこまで上げられるのかは後で触れます。
比べる相手は、同じ端末で測った自分の普段の値です。
前日の答え合わせに使う
HRVは、今日の予言より前日の答え合わせに使います。
HRVだけで今日のトレーニングの調子を言い当てることはできませんが、前日の過ごし方を振り返るきっかけにはなります。会食が続いた。寝るのが遅かった。移動と運動を詰め込んだ。寝る前に家族と喧嘩した。
数字が低い時に、そうした心当たりをたどります。
HRVは犯人の名前までは教えてくれません。酒でも寝不足でも下がることがある。激しい運動のあとにも変わる。測定のばらつきも混ざります。数字が低いだけで、原因を一つに決めつけないほうがいいです。
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ここからは、そもそもHRVを上げることに本当に意味があるのかを考えます。HRVは運動で上がるのか。酒、寝不足、心理的ストレス、遅い夕食、カフェイン、強い発汗などがどう影響するのか。自分の実体験を紹介します。
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HRVは運動で上がるのか
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