「THE MODEL」福田康隆著は、単なるモデルの解説書ではなく、ワークする組織を作るCROの教科書である
こんにちは。合同会社マルセロ 代表の駒瀬です。経営者、事業責任者に対する事業及びマーケティングの伴走コンサルティング、壁打ち、月額制顧問等のサービスを提供しています。
ポッドキャスト番組「Growth Radio by Immedio」の名著再読コーナーで取り上げられていた「THE MODEL」福田康隆著。
この中で、浜田代表が、「本書はビジネスモデルの解説本ではなく、CROの教科書である」と解説されているのが印象的でした。
また、営業マネジメントの手法が具体的な数値も含め解像度高く紹介されていて、実用書としての価値も高いと浜田さんは評価されています。ここは、まさに、初読時に私に刺さった点でした。
このポッドキャスト配信を機に、1年半ぶりに「THE MODEL」を再読しました。「分業制の弊害を指摘し、CROが部門横断的に管掌することが解決方法であることが明確に記されている」という浜田さんご指摘の通りであると納得しました。
■ザ・モデル型分業制による弊害の克服方法
ここで必要なのは「逆の流れ」を作ること。カスタマーサクセスは顧客と接する中で、何に困ることが多いのかを研究し、製品開発やマーケティングメッセージに反映させる。
あるいは、営業が提案活動の中で期待値の設定を誤っていないか、顧客満足を高めるためにどのようなリソースやプログラムが必要かといった情報をフィードバックする。
営業はインサイドセールスに対して、実際に訪問した時のコメントをフィードバックし、インサイドセールスは商談成立時の会話として、顧客離反があった場合にはどのような感想を持っていたのか、どのようなコンテンツやイベントに対してどのような感想を持っていたのか、どのようなキャンペーンを実施するなど、効果的かなどをユーザーの生の声としてマーケティングにフィードバックする。
こうした双方向の流れが実現した時に、売上向上という共通目標に対して共同作業をする感覚が芽生えてくるだろう。
本書では、上記の裏付けとして、社会心理学者ムザファー・シェリフの「泥棒洞窟実験」が紹介されています。
少年たちを2つのグループに分けて、サマーキャンプに連れて行き、共同生活をさせたところ、自然と相手のグループに対して敵対感情が芽生えた。最終的に、両グループが共同で作業せざるを得ない目標(止められた飲料水の供給を取り戻す等)を与えることで関係改善が実現したという内容。
私も、前職の大企業での勤務を通じて、全社最適よりも、各部門の利害が優先される場面に何度も遭遇しているので、とても共感します。
「全社視点で各部門で協力し合いましょう」と号令をかけても効果がなく、協力せざるを得ない仕組みを作る。具体的には、「評価制度に組み込む」であったり、「協力しないと、社内の権力者に睨まれる」であったり(笑)。
■チーフ・レベニュー・オフィサー(CRO)がリードする時代
そしてこれらの組織を率いるには、強力なリーダーシップが必要だ。この数年、アメリカで増えつつある「チーフ・レベニュー・オフィサー(CRO)」という役職はその解決策になるかもしれない。
これは、会社全体の売上に責任を持つ立場であり、マーケティング、営業、インサイドセールス、コンサルティング、カスタマーサクセスなど、売上を生み出すプロセスに関わるすべての部門を率いる役割だ。
よく、インサイドセールス部門は営業の下でもマーケティングの下でもなく、独立した組織として存在するべきだとか、これからはマーケティングが中心となり、チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)に大きな権限を持たせるべきだと言う人がいる。
私にはどちらの議論もあまり意味があるとは思えない。部門が対等だとか、誰が中心になるべきという議論は顧客不在の議論だからだ。
大切なのは顧客のライフサイクル全体を俯瞰して、関連部門をどのように機能させるのか、人を採用してカバーするのか、テクノロジーの力で自動化するのかなど、常にチューニングしながら全体最適を図る役割が必要となる。
売上(レベニュー)を生み出すモデルを創造し、実践するリーダーがCROという存在である。
ここで、福田さんが「顧客不在の議論」と指摘してします。
本書の、もうひとつの特徴が、この徹底した顧客視点。以下の記述は、初読の際に激しく共感した部分。
リードが登録されたらすぐに電話をしたくなるのが人情だが、相手に嫌がられることも多い。
提供しているのがeブックであれば、ダウンロードは業務時間に行うが、読むのはゆっくり時間がある時にという人も多いだろうから、最初のコンタクトまでは3日くらい間を置く。
無料トライアルなら一通り試してみるのに1週間くらいかかるかもしれない。
一方、セミナー参加者であれば、忘れないうちに翌日すぐにでも感想を聞いてフォローするほうがよいだろう。
BtoBビジネスの世界では、「通電率を高める為に、資料ダウンロードから5分以内に電話しなさい」というのが推奨されています。
「通電率を高める為に」だけを考えれば、その通りなのですが、「顧客はどう感じるか」の議論がすっぽり抜け落ちています。BtoBビジネスの定石に大きな違和感とストレスを感じる典型例の1つ。
ところが、2019年発売の本書には、「顧客視点に立ち、具体的にどうすれば良いか」がきちんと書かれています。「みんな、ちゃんと本書を読んで!」と大声で叫びたい気持ちです(笑)。
浜田さんがコメントされている「具体的な営業マネジメント手法」とは、例えば、こんな内容です。
インサイドセールスのマネジメントに求められるのは、コール件数や商談化の件数などの数字だけではなく、「良い仕事」と「いい加減な仕事」を峻別して評価できる眼力だ。
普段からインサイドセールスの電話の内容に耳を傾ける。活動履歴や営業へパスする際のコメントを熟読して、どのような会話でその情報を聞き出したのかを想像する力。そのうえで高いレベルの仕事を正しく賞賛する。賞賛する時は、本人に対しただけでなく、経営陣、営業、マーケティングなど関連する部門にもアピールする。本人は自分からは言えないし、放っておけば受注した営業にしかみんなの注目は集まらない。
一方で、結果的に商談化につながったとしても、聞くべきことを聞けていないなど改善の余地があれば、はっきりと指摘する。たとえば、ヒアリング項目に「予算の確認」があるとする。営業にパスする時に、インサイドセールスが「予算を確認したんですが、教えてくれなかった」と言っている場合、本当に聞いたけれど教えてくれなかったのかもしれない、単に聞き忘れてしまったので、言い訳として「教えてくれなかった」と言っている可能性もある。
戦略コンサルのような机上の空論ではなく、現場の指揮官としてやり抜いた人間にしか語れない魂のこもった言葉です。
是非、みなさまも、今一度、名著再読してみては如何でしょうか?
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