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「四角い家」はなぜリスクが高いのか? おしゃれなパラペットとバルコニーに潜む「雨漏りと窒息」の闇

こんにちは、はぐれゴリラです。

前回は防水の理論の序論をお話ししました。

まだまだ続きますが今回はこれだけは絶対知っておいて欲しい、「デザインが家を壊す典型的な例」の話です。

デザインの代償

街中でよく見る「真四角な家(キューブ型)」や「軒のないスタイリッシュな家」。おしゃれですよね。

でも、前回の記事を読んだ勘のいい方なら気づくはずです。
「あれ、雨はどう流れるの? 通気はどう抜けるの?」

そうです。これらのおしゃれな軒レス屋根や陸屋根(ろくやね/フラット屋根)とその周りのパラペット(箱型屋根)は、日本の気候に対する「挑戦状」であり、メンテナンスコストを跳ね上げる諸悪の根源となります。

そもそもパラペットとは何か?

わかりやすいのは陸屋根(フラット屋根)の周囲の立ち上がりの壁状の部分のことです。四方が囲まれているとプールのような形状になりますね。
あとよくみるのはバルコニーの腰壁。
要は壁をそのまま突き上げたような形になっているところです。

これ、いろいろリスク多いのですが、なぜHMは推すのでしょうか?

  • デザイン(見た目)
    まず挙げられるのはデザインだと思います。
    例えば片流れ屋根だけだと面白みがありませんが、両サイドをパラペットでサンドイッチしたり、アクセントとして家の一部を箱型にしてみたり…

  • パネル隠し
    太陽光パネルを隠して、外観をスッキリ見せたい。パラペットの立ち上がりで隠れるのでパネルは見えなくなります。

  • 施工側の都合
    コストダウンと施工の標準化(軒天などの部材がいらない)。
    金属防水にするとお金がかかる。

このパラペット、オシャレとかでさりげなく採用するのは闇の入り口となるかもしれません…

AI(Gemini)で作成。
パラペットのある家を作ってもらったら
見事にパラペットだらけの家を建ててくれた笑

リスク①:FRP防水と木造の「相性の悪さ」

パラペットと切っても切り離せない関係にあるのが「FRP防水」です。
パラペットで囲まれた陸屋根の大部分は通常の屋根材ではなくFRP防水という特殊な材料で仕上げてあります。
またバルコニー、ベランダもこの仕上げが多いです。

※FRP防水とは: 繊維強化プラスチック。お風呂の浴槽と同じ素材。硬くて丈夫。

このFRP防水には 「硬すぎて伸びない」という弱点があります。

木造住宅というか住宅自体の宿命ですが、動きます。地震や湿度の影響による木の伸縮など…
ここで、動く下地(木) vs 動かない防水層(FRP)という戦いが起こります。

例えるなら一枚のレインコート(普通の屋根)ではなく、「ゴムとプラスチックと鉄をガムテープで継ぎ接ぎしたキメラ」状態です。

その結果、FRPが追従できずに「パキッ」と割れます(クラック)。
そこから水が入り、気づかない間に構造体が腐り、雨漏りで気づいた時にはボロボロ…なんて笑い事にならない現象がたくさん起きています。

水分は重力に従って落ちるように設計するのがベストなのに、それを邪魔するパラペットを建てた上、防水や排水のエラーで雨漏り……
リスクを爆上げしてしまう構造ですよね。

そしてそのリスクを回避するために定期的な再施工が必要となります。
FRPは木造住宅の「バルコニー程度の狭い面積」ならまだ耐えられますが、「陸屋根のような大面積」になると、木の伸縮に耐えきれずクラックが入る確率が跳ね上がります。
屋根の代わりにするにはやや心許ないですね。

リスク②:家の呼吸を止める「笠木(かさぎ)」の闇

これが今回僕がパラペットを敵対視する1番の理由です。
パラペットの頂上には笠木というフタにあたる金属が鎮座しています。

これが悪さをしていることが非常に多い。

これは我が家のロフトの笠木。
室内なので通気層もクソもないけど形が似てるので。

問題点は「通気層の窒息」です。

前回お話した「壁の通気層」。
下から入った空気は、本来屋根のてっぺん(棟)から湿気と一緒に抜けていきます。
しかしパラペットは、頂点を「笠木」で蓋をしてしまうのです。
そうすると空気(湿気)の逃げ場がなくなり、壁内結露(蒸れ)の原因になります。

もちろん、スペーサー設置などで正しく施工してあれば通気層は機能するので全く問題ありません。

もう一点、よくあるエラーとして、脳天打ちの恐怖があります。
「脳天打ち」、なんかのワザでありそうな名前ですがどういうことかというと、「手すりや笠木を固定するために、真上からビスを打つ施工」のことを言います。
これはどういうことか?

「空に向かって穴を開ける」という行為になるんですね。
しかも、笠木の上には雨水が長く留まります。そこに穴があるわけですから…
穴の空いた傘の出来上がりで、コーキングが切れると雨漏りに直結します。

赤は笠木と思え。
左図は通気層は閉塞。
このままでは内部結露待ったなし。
更に笠木を天端からビス打ちしている。
ここも通気専門の部材が売ってます。

リスク③:「バルコニー」という名の小さなパラペット

先程も少し触れた話ですが、バルコニーも凶悪なリスクがあります。
「うちは切妻屋根だから関係ない」とか思っていませんか?
あなたの家の「バルコニーの手すり壁」、ありますよね?
あれは構造的にパラペットそのものです。
さらに悪い条件としてオーバーハング
(家から飛び出している)場合。
これ、3方向から雨風にさらされることになるんですよ。

そうでなくとも下が「リビング」など居室の場合、パラペットやバルコニーの床(FRP)からの漏水は、直下の部屋の天井を直撃する可能性があります。
家づくりは理にかなった形にした方が長持ちします。
一度冷静になって考えましょう。

その布団を干すためだけのバルコニー、「雨漏りリスク」と「10年ごとの防水メンテナンス費(数十万)」を払ってまで必要ですか?

それでも四角い家を建てたい人へ

僕のような狂気の家づくりを目指す場合、基本は「軒のある屋根(切妻・寄棟など)」一択です。

どうしてもデザインの都合でパラペットやバルコニーを採用するなら、以下の覚悟が必要です。

  • 「金属防水」にする(FRPは避ける)。

  • 「通気」の納まりをしつこいくらい確認する(通気笠木など)。

  • 雨漏り保証(10年)が切れた後の修繕費を積み立てておく。

いかがでしょうか?
つまりおしゃれな外観を優先すると「アマモリスク」だけじゃなくて維持費用も増加すると言うことです。全然サステナブルじゃありません。
僕は家づくりの最初から「パラペットとバルコニーは絶対作らん!」と宣言していました。

デザインは飽きるが、雨漏りは一生のストレスになります。「長持ちする家」の答えは、古来からの「屋根の形」にあるのです。
↓次回記事:【屋根形状の解決編!】

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↑僕歯科医師なので歯ブラシとかも紹介してます。

↑たまに株とか資産運用の話もしてます。

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