🌀嵐の丘で立ち尽くす者たち 5

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第5話 ひとりじゃない方へ
その土地は、広く、静かだった。
風はあるが荒れてはいない。
空は高く、地面はまだやわらかく、ところどころに小さな緑が点のように生えている。
砂と土のあいだのような、不思議な色をしていた。
「ここは……生きているな」
レオンは、地面を見つめながらそう言った。
足もとには、背の低い草が集まっている場所がある。
根は浅いが、互いに寄り添うように広がり、風に揺れても簡単には倒れなさそうだった。
少し離れたところで、レオンはひとつの若葉に気づいた。
それは、ぽつんと立っていた。
まわりには何もない。
砂に近い地面に、かろうじて根を伸ばし、小さな葉を震わせている。
「……ひとりか」
レオンは、しゃがみこんだ。
その若葉は、風が吹くたびに大きく揺れた。
今にも折れてしまいそうで、見ているだけで胸がざわつく。
「ここじゃ、きついな」
レオンは、そっと土を掘り始めた。
レオンは無言で膝をつくと、指先で土を掘り始めた。
大きな手が、震える若葉を傷つけないよう、慎重に根の周りを解いていく。
「何してる?」
アルジェリーナが後ろからのぞき込む。
「移してやる。ここは、風が冷たすぎる」
レオンは短く答え、若葉をそっと掌(てのひら)に載せた。

ホズミも、少し離れたところから様子を見ていた。
「ひとりでいるより……」
アルジェリーナが、小さく言う。
「仲間がいたほうが、いいよね」
レオンは答えず、若葉を掘り起こした。
根は短く、思ったよりも簡単に抜けた。
彼はそれを、草が集まっている場所まで運び、やわらかい土に植え直した。
「……これでいい」
若葉は、他の草の影に守られ、風の当たりも弱くなった。
先ほどより、少しだけ落ち着いたように見える。
「よかったですね」
ホズミは、ほっとした声で言った。
レオンは立ち上がり、元の場所を振り返った。
そこには、ぽっかりと空いた地面が残っていた。
小さな穴。
だが、その周囲は、風にさらされ、砂が少しずつ流れ始めている。
「……ん?」
レオンは眉をひそめた。
さっきまで、あの場所にも、わずかな草があったはずだ。
だが今は、風が通るたびに、土が舞い、地面がむき出しになっていく。
「風……強くなってませんか?」
ホズミが言った。
「……しまった…」
レオンは、低くつぶやいた。
若葉を抜き取ったあとの、小さな穴。
そこへ、あの第4話で生まれた鋭い風が滑り込み、狂ったように土を掻き出し始めた。
「レオン!
土が、土がどんどん逃げていくよ!」
アルジェリーナが叫ぶ。
風は、若葉がいなくなった場所を執拗に抉り、緑の大地を削り取っていく。
「……わたくしたちが手を貸したせいで、あそこは、あんなに」
ホズミがハットを押さえ、削られていく境界線を見つめた。
レオンは何も言えず、自分の掌を見つめた…
そこには、さっきまで若葉を守っていた、湿った土が少しだけ残っていた。
「ひとりじゃ、
かわいそうだと思っただけ…」
アルジェリーナは、そう言って若葉を見つめた。
今は、他の草に囲まれ、安心したように揺れている。
「その気持ちは、間違ってないです」
ホズミは静かに言った。
だが、風は止まらない。
草の集まる場所は守られ、何もなくなった場所だけが、削られていく。
少しずつ、はっきりとした境目が生まれていった。
「ここで……分かれていくな」
レオンは、その線を見つめた。
緑が残る側。
砂が広がる側。
だが、この時のレオンたちは、まだ知らない。
ただ、胸の奥に残ったのは、
「助けたはずなのに」という、言葉にできない違和感だった。
風は今日も、静かに吹いていた。
レオンの優しさが…
何故…
何かが違う…
わし(ムヒ)の持つnoteかだけが知っている😁
次回はこちら
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