🌀嵐の丘で立ち尽くす者たち 9

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第9話 風と雨の中で
嵐は、丘の上でも容赦なかった。
風はうなり声を上げ、雨は粒ではなく、塊のように叩きつけてくる。
空と大地の境目はかき混ぜられ、上下も分からなくなるほど世界はかき乱されていた。 足元の丘だけが、荒れ狂う虚無の中に浮かぶ、たった一つの島のように震えていた。
レオンは体を低くし、地面に爪を立てて耐えていた。
一歩でも気を抜けば、吹き飛ばされる。
ホズミは帽子を押さえながら、必死に耳を澄ませていた。
風の声は、もう言葉にならない。
悲鳴のようであり、怒りのようでもある。
アルジェリーナは翼を広げ、二人の前に立った。
飛ぶためではない。
ただ、受け止めるために。
その時だった。
地響きが止んだ一瞬の隙間を縫って、硬い殻が弾けるような、鋭い音がした。
――ぱきん。
それは嵐の咆哮に比べれば、あまりにもか細い、けれど世界で一番はっきりとした命の音だった。
ホズミが、はっとして足元を見た。
「……出てる」
雨に流されそうになりながらも、土の裂け目から、細い緑が顔を出していた。
ほんの少し。
息をしているかのように、震えながら。
「まさか……」

レオンの喉が鳴る。
アルジェリーナは、思わず一歩近づいた。
羽根の先が、風に煽られて震える。
「これ……守らなきゃ」
誰が言ったのかは分からない。
けれど、その言葉は、三人の中で同時に生まれていた。
次の瞬間、突風が吹き荒れた。
雨水が流れ込み、苗の根元を削ろうとする。
風が、細い茎を折ろうと唸る。
「だめだ!」
レオンはその頑丈な背中で荒れ狂う風を真っ向から受け止め、ホズミは泥にまみれた小さな手で、苗を押し流そうとする濁流を必死にせき止めた。帽子の下で、目を閉じ、祈るように。
そしてアルジェリーナは、重く垂れ下がる翼を天へ広げ、苗を叩き折ろうとする雨の刃を、一滴残らずその羽根で受け止めた。
羽根が重くなり、体が震える。
それでも、離れなかった。
嵐は、三人を試すかのように、さらに荒れ狂う。
雷が落ち、空が裂ける。
地面が震え、丘そのものが揺れた。
それでも、三人は動かなかった。
「……分かりました」
ホズミが、かすれた声で言った。
「ここまでのこと……全部」
雨にかき消されそうな声だったが、確かに続いた。
「これらはすべて、わたくしたちが……
触れて、動かして、選んだ結果なんです」
レオンは、歯を食いしばったまま、頷いた。
アルジェリーナは、何も言わなかった。
ただ、苗木を見つめていた。
恐ろしいほど小さな命。
けれど、確かに――ここにある。
嵐の中で、三人は初めて同じことを思った。
逃げてきたのではない。
ここへ、来てしまったのだ。
この世界の始まりに。
風が、また唸りを上げる。
雨が、叩きつける。
それでも、苗木は折れなかった。
そして三人も、離れなかった。
嵐は、まだ終わらない。
だが――
その中心で、何かが確かに芽生え始めていた。
三人が導かれる様に登った丘で芽生えた苗木🌱
コレは何を意味するのか…
わし(ムヒ)の持つnoteかだけが知っている😁
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