袖丈を考えていたら寝落ちした話
反物との睨めっこが始まった
水通しは終わっている。
あとは裁って仕立てるだけ……のはずなのだが、反物を前にして手が止まっている。
原因は袖丈だ。
普段着物を仕立ててもらう時は、一尺二寸でお願いしている。
以前、普段着物を仕立ててくれた着物屋さんが、
「手を真横に伸ばして、そのままゆっくり下ろして袖を掴んだ時に、袖先がちょうど掴めるくらいが扱いやすいよ」
と教えてくれた。
逆に袖が手から溢れるようなら長いのだとか。
以来、その考え方が妙にしっくりきて、普段着物は一尺二寸派になった。
今回は勝手が違う
ところが今回の反物は少し事情が違う。
今まで仕立ててきたのは無地や細かな小紋柄ばかり。
多少寸法が変わっても見え方は大きく変わらなかった。
しかし今回は初めての大ぶりな飛び柄風。
袖丈を少し変えただけで柄の出方が変わりそうな気がする。
一尺二寸でいいのか。
せっかくだから少し長くするかあるいは短くするか。
いや、普段着なのだから使いやすさ優先か。
反物を広げては考え、畳んでは考え、また広げる。
考えた結果
考えた。
とても考えた。
真剣に考えた。
その結果。
寝た。
気付いたら反物の横で寝落ちしていた。
人は袖丈について考え過ぎると眠くなるらしい。
新たな発見である。
反物は逃げない
そんなわけで、袖丈問題は未解決のままだ。
反物との睨めっこは、もうしばらく続きそうである。
この調子だと着物になる前に季節がひと巡りしてしまうかもしれない。
とはいえ、焦って裁ってしまえば元には戻せない。
反物は逃げないし、柄も逃げない。
今日も広げて眺め、明日も眺めることになるだろう。
できれば季節がもう一周する前には決着をつけたい。
そう思いながら、今日も反物と静かな睨めっこを続けている。
最後まで読んでくれてありがとう。
着物を縫ったり、お抹茶を点てたり、和のある暮らしをのんびり綴ってから興味があれば、他の記事ものぞいてみて欲しい。
