何周もしたら、螺旋階段でした。~AIと音楽制作の本質
好奇心から、AIで音楽を作ってみたときのことを話します。
Suno、Udio、BandLab。 名前だけは知っていたツールでやってみます。
第一層:生成の時代
最初に触れたのは、SunoやUdioでした。今回はSunoです。
プロンプトを入れる。 数秒で、それっぽい曲が出ます。
すごいですけど、すぐに気づくのが、「これはガチャ」
狙ったものは出ない。 気づけば、出るまでやってました。
後で考えると、生成しているのではなく、選別です。
ここには、コントロールが入れないのか? これが感想です。
でも、レコードケースを担いでクラブに出かけていた頃も
同じことをやっていました。自分で作曲はできないし。

第二層:拡張の時代
次に、映像へと手を伸ばして、感触を得ようと試します。
NEURAL FRAMES。音に同期する映像生成。 Kaiber。構成やストーリーを操作できる映像生成。音楽に、ビジュアルが乗るか、どうかです
表現の幅は一気に広がる。 でも同時に、負荷も跳ね上がる。
音楽、映像、それぞれに別のガチャがあるのです。
拡張すればするほど欲しい物から遠ざかりました。
第三層:分解の時代
そこで、逆方向に進んだ。ステム分離(Stem Separation)
BandLabのSplitterで、曲を分解する。LALAL.AIも。
ボーカル、ドラム、ベース。 完成物だったものが、素材になる。
ここで、流れが変わる。
生成ではなく、構造に触れ始めます。
ああ、懐かしい、これは「Ableton Live」というか、その前の世代の
「ミュージ郎」「ReCycle」や「ACID」 はいまどうしているのかな。「AKAI MPC3000」はヤフオクで13万で売ってしまったなあ。
第四層:制御の時代
次にやったのは、足りないパーツを補うことをやってみます。
ACE Studio、Synthesizer V。 MIDIで音程とタイミングを指定すれば、歌う。
BPMもキーも、すでに決まっている。 そこにボーカルを“乗せる”。
ここで初めて、完全なコントロールが戻ってきた。
ガチャではなく、設計になる。
最下層にあったもの
そして、気づく。
これはMIDIだ。
「いつ」「どの音を」「どの強さで鳴らすか」 1983年に定義された、シンプルな仕組み。
マスター(テンポ)に、スレーブ(各パート)が従う。
どの層を通っても、この構造だけは変わらない。
螺旋階段だった
Sunoで生成し、NEURAL FRAMESやKaiberで拡張し、
BandLabやLALAL.AIで分解し、 ACE Studioで制御した。
何周もした。
DJがレコードを掘り続けるのも、 風景画家が自然の中にガチャの種を求めて歩くのも、 その行為そのものが、すでに芸術だ。
出力の前に、探索がある。
選ぶ眼が育ち、触れる手が覚える。 何周もするという行為は、遠回りではなく、 その人だけの感性を彫刻することだった。
でも、戻ってきたのは同じ場所じゃない。
生成を通ったから、選別の限界が見えた。
拡張を通ったから、負荷の本質が分かった。
分解を通ったから、素材として扱えた。
制御を通ったから、設計に戻れた。
そして最後に、MIDIに迺り着いた。
遠回りじゃない。
層を降りて、また上がってきただけだった。
屋上に出たら、別の鰾塔が見えた
その山の頂から、景色が変わった。
遙くに、また別の螺旋階段の鰾塔が立っている。
音楽制作だけじゃない。 絵を描く人。文章を書く人。映像を編む人。
それぞれが自分の螺旋階段を登り、同じ屋上に出た人たちだ。
完璧な人はいない。
どんな層まで降りれたか、どんな達成感を得たか、それぞれ違う。
だからこそ、与え合える。

沢山ある
AIを何周もしたら 40年前の構造に迺り着いた。 ただし、理解は一段深くなっていた。そして屋上に出たら、また別の鰾塔が見えた。
HAC~その行為に、名前をつけた
何周もしたあとに、気づいたことがある。
AIは楽器で、自分は指揮者だった。
DTMが「パソコンで音楽を作ること」を指すように。 DAWが「そのためのソフト」を指すように。 自分はその行為そのものに、名前が欲しかった。
HAC。Human-AI Conducting。
人間がAIを指揮し、創作の主導権を持ち続けること。
「ハック」とも読める。
既存の概念をハックする、そんなニュアンスも、気に入っている。
次の記事では、HACという言葉が生まれた経緯を話す。
AIと音楽、その両方が好きな人へ。
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