「思考停止」が招く貧困、ビットコイン急落が告げる【搾取される未来】
「ビットコイン、また下がってる……」
スマホの画面を見て、思わずため息をついている方が増えているかもしれません。
「デジタルゴールドじゃなかったの?」
「円安やインフレに強いって聞いてたのに、話が違うじゃないか」
そんな風に首をかしげている方もいらっしゃるかもしれません。
日々の買い物では、円安と物価高がジワジワと財布を締め上げている。だからこそ、「資産を守る盾」として期待してビットコインを買ったのに、肝心な時に期待と逆の動きをしている。
「インフレに強いはずなのに、なぜ?」
気づいたら漠然とした不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。

皆さん、こんにちは。村田雅志です。
今回のコラムでは、ビットコイン価格が下がっている背景にグローバルな市場の動きだけでなく、高市政権が掲げる「責任ある積極財政」が深く関わっている、という私の見方をお伝えしたいと思います。
そんな馬鹿な、と思えるかもしれませんが、なぜ私がそう考えているかについて、ぜひ最後までお付き合いください。
ビットコインの「期待」と「現実」のズレ
かつて、ビットコインは「デジタルゴールド」と呼ばれ、政府にコントロールされない有限な供給量を持つことから、「円安・インフレに強い資産」として大きな期待を集めました。
理論上は、物価が上がって円の価値が下がるときに、ビットコインのような「量に限りがある資産」が、私たちの資産を守ってくれるはずでした。
しかし、足元のビットコイン市場を見ると、その期待が現実の厳しさに直面していることがわかります。
ビットコイン(円建て)価格は、2025年10月に1,900万円近くと過去最高値を更新しました。その後、1,700万円を割り込む水準に下落し、1,700万円を挟んでの上下動を続けていました。
しかし11月半ばあたりからビットコインは下落基調が続き、11月21日には一時1,300万円を割れと7か月ぶりの安値を記録し、その後も1,300万円台で上値が抑えられる展開となっています。

ビットコインは、これまで上昇トレンドの目安とされていた12カ月移動平均(約1,500万円)を明確に割り込み、今後は24カ月移動平均(約1,230万円)に向けてさらに調整が進む可能性も出てきています。

「ビットコインはインフレに強いはずではなかったのか?」。多くの市場参加者がそう感じていることでしょう。しかし、現実の市場は、単純な理論通りに動きません。
ビットコインは「エンジン」を持たない
今回の急落劇を理解するには、ビットコインを「熱気球」、株式や債券といった伝統的資産を「飛行機」に例えて考えるとわかりやすくなります。
飛行機(株・債券)には、「企業収益(配当)」や「利子」という強力なエンジンが積まれています。自らの力で推進力を生み出し、前に進むことができます。
一方で、ビットコインにはキャッシュフローを生むエンジンがありません。
では、なぜ空を飛んでいるのか? それは、市場の過剰流動性や将来への期待という「熱気」だけです。
熱気が強ければ、気球はどこまでも高く舞い上がります。
しかし、ひとたび熱気が冷めれば、重力に従って降下するしかありません。
いま、この気球は二つの力によって高度を下げています。
一つは世界から吹き付ける「逆風」。もう一つは、日本国内で復活した「重力」です。
世界から吹き付ける「逆風」(グローバル要因)
まず、気球を揺らしているのがグローバルな「逆風」です。
米国ではインフレの粘着性が意識され、連邦準備制度理事会(FRB)による利下げペースが鈍化するとの観測が浮上しています。これにより米長期金利が高止まりし、リスク資産全般の熱気を冷やしています。
さらに、これまで相場を牽引してきたビットコイン現物ETF(上場投資信託)からの資金流出や、大口保有者(クジラ)による利益確定売りも重なりました。
中東情勢などの地政学リスクも高まっており、投資家はボラティリティの高いビットコインという気球から、資金を引き揚げる動きを加速させています。
日本で復活した「重力」の正体(日本要因)
この逆風にさらされた気球を、さらに下へと引っ張り込んでいるのが、高市首相が掲げる「責任ある積極財政」をきっかけに強まった「重力」です。
高市政権の積極財政姿勢は国債増発観測につながり、国内金利の上昇を通じて、日本に「金利のある世界」を定着させました。
ここで先ほどの「飛行機」と「気球」の話に戻りましょう。
無利息・無金利資産であるビットコインにとって、安全に利子が得られる国債や預金(飛行機)の魅力が増すことは、「持っているだけで損をする(機会費用が高まる)」ことを意味します。
この強力な下押し圧力が、ビットコインにおいて円安効果を打ち消すほどの「重力」となっているのです。
私たちはこの「複合的な危機」にどう立ち向かうべきか
国内外で金利上昇ムードが高まったことで、これまでの「円安ならとりあえずビットコインを買っておけば資産を守れる」という単純な防衛術は崩れ去りました。
私たちは今、かつてない「複合的な危機」の中にいます。
政府の「責任ある積極財政」が生み出す副作用として、通貨(円)の価値が薄まり、輸入物価が上昇し、日々の生活費が締め上げられています。
そしてもう一方では、その防波堤になるはずだったビットコインなどの資産までもが、「金利復活」という重力によって価値を下げています。
まさに「逃げ場のない挟み撃ち」です。
政府や日銀は、「経済再生」という大義名分のもと、マクロ経済の数字を整えることには必死ですが、個人の資産防衛まで面倒を見てはくれません。
むしろ、インフレと通貨安を通じて、私たちの預貯金の実質的な価値を静かに、しかし確実に削り取っていく──これは私が以前から警告している【静かなる富の収奪】そのものです。
「みんなが買っているから」
「インフルエンサーが勧めていたから」
他人の判断に依存する投資でもなんとかなる「幸運な時代」は終わりました。
気球の熱気が冷め、重力が支配するこの新しい現実において、思考停止は「資産の死」を意味します。
今の日本で生き残るために必要なのは、神頼みのホールドではありません。
「なぜ金利が上がるとビットコインが下がるのか」
「今の政策が自分の財布にどう影響するのか」
という冷徹なロジックを理解し、自らの頭で考え、ポートフォリオを組み替える「知的武装」です。
厳しいことを言いますが、誰もあなたを助けてはくれません。
この残酷な「新しい現実」を直視し、それでも資産を守り抜く覚悟が、あなたにはありますか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
私のnoteでは、今後も、こうした経済の大きな潮流を読み解き、皆さんと共に未来を考えるヒントを提供していきたいと思います。
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また次のコラムでお会いしましょう。
村田雅志(むらた・まさし)
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