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♯066【地植えの薔薇】”水”を静かに受け入れ、気高き美をたたえて生きている

 今年の春の早朝は、冷たい小雨がしっとりと降る。昨年のカラカラ猛暑とは大違いだ。ホッとする。朝日が当たりキラキラと光る雨粒が残る壊れかけの手すりにつかまる。ボロアパートのすり減った階段を慎重に踏みしめながら降りると、右側に縦横1メートルくらいの敷地がある。自分は勝手に” ルードヴィッヒの庭園 “と呼んでいる。引っ越してきたころは、自分の部屋のベランダから見下ろすと、白髪が混じる口ヒゲのような生え方に似た胡散臭い雑草がチョイチョイ出ている敷地だった。

 実は、この敷地の端に自分の陶器製の鉢植えを2つ置いている。引っ越してきたころ、ベランダでこれらの鉢植えに水やり・雑草抜き・腐葉土を補充したりしていたのだが環境が合わないらしく、みるみるしおれていく。「もう枯れそうだ、だめか」とおもい、「終末期は本物の土の上で過ごしてもらおう」と、” ルードヴィッヒの庭園 ”の端に鉢植えが5センチくらい埋まるように穴を掘り、地面の中に埋めたら見事な復活劇なのであった。やはり適切な環境しだいか。まるで何かの小説のワンシーンのように、シッパイした人事(ひとごと)の緊急対処が功を奏したみたいだ。

 一つは、可憐な白い花が咲く” デンドロビゥム・ギンギアナム ”というランだ。もう一つは、ビビッドオレンジ色の花が咲く” クンシラン(君子蘭) ”だ。昨年はカラカラ猛暑で3日間で落花してしまったが、今年は3週間ちかく咲き続けている。ほど良い日差し加減、適切な温度と湿度、自然通風、自然な水量、そして、どこからか現れるミツバチしだいなのか。

デンドロビゥム・ギンギアナム


クンシラン(君子蘭)

 そうそう、4年前から” ルードヴィッヒの庭園 ”には、薔薇が咲くようになった。鳥の落とし物の中か、はたまた強い風雨に乗って薔薇の種が落ちてきたらしい。ひょっこり見慣れない茎と葉が生えはじめ、2~3年過ぎても花すら咲く気配はない。「茎にトゲトゲが出て、茎は上に上に伸びる植物だな、ジャックと豆の木か」とおもっていた。4年を過ぎたころ、ぽっかり一輪が咲いた。グーグルレンズに聞くと” ヴィクトール・ヴェルディエ “か” 紅かさね ”という品種らしい。年を追うごとに花数は増え、今年は十輪も咲いた。

” ヴィクトール・ヴェルディエ “ か ” 紅かさね ”という品種らしい

 近所のおしゃべりオババ(※1)に話をしたら真偽を確かめに” ルードヴィッヒの庭園 ”まで見に来たくらいだ。疑われて気分は悪かったけれども、おしゃべりオババの口から時折り飛び出すツバの勢いっぷりを直視しながら、よくよく傾聴すると薔薇が自生し地植えのまま花を咲かせることは本当に珍しいことらしい。” 水やりタイミングと量と肥料の種類 ”をしつこく聞かれたが、この薔薇の特性が持つ固有のコツかもしれないし、面倒くさいことになりそうなので「水道水を適宜に、肥料は100円ショップ」と答えておいた。

 ※1)直近では、♯047【餅つきは、七つの工程のハーモニー】♯043【運命のバトンと未完のバトン】に書いた近所のおばさん。町内を越えて至るところに出没している

 本当のコツはというと、” 肥料 ”は生ゴミなのだ。月1回、薔薇の根方を少し掘り起こし、細かく刻んだ” 焼き魚の頭ふたつ ”を土の中に混ぜ込んでいるだけだ。ホームセンターのバラ専用肥料の値段を見て胡散臭いのに気づいて、主成分表に” 油かす・骨粉・堆肥など ”と書いてあったから、” 焼き魚の頭ふたつ ”はどうなのだろう、という仮説に至っただけだ。たまたま正解だっただけで根拠なき0円肥料だ。ただし、” 水やり ”は失敗しかけたので根拠がある。

 自分の場合の地植え薔薇は、“ 量や回数ではなく、やり方 ”だとおもう。適量を試しながら根方の土加減を見極めて” 水やり ”をすることだろうとおもっている。五か条らしきものを書くと、

 ・乾きすぎは、茎が縮んで茶色っぽくなるし、つぼみが少し大きくなったところでポトリと落ちる
 ・やりすぎは、茎が膨張して湿ったようになって柔らかく、ふやけたようになり成長しなくなる
 ・葉や茎、花に水をかけてはいけない。水を求めてアリやアブラムシが寄ってきて大変なことになる
 ・土の表面は乾いていても、根方を少し掘って土がしっとりしていたら、” 水やり ”はしない
 ・夕方に” 水やり ”はNG。翌朝なぜか茎と葉はぐったりしている。夜間湿度が高くなるからか?

 まるで、” 人 ”のようにデリケートなのかなとおもう。 人は水を飲み過ぎれば、トイレに行きたくなるし、腎臓の具合が悪い人だったら処理しきれない水分が体に残り、むくみ(水太り)となるはず。水を飲まな過ぎは、脱水症はマズいが便秘程度で済めばよい。最悪は血液ドロドロになり、脳梗塞・心筋梗塞のリスク上昇となるはず。そうそう、自分は水を定期的に意識的に飲むようにしているが、そんな脳みそが考える意識とは逆に身体は暴走するときが出てきた。

 決められた回数で適量を飲んでいるはずなのだが、水の取り過ぎになってしまうと、トイレ小に行く回数が増える。ここまでは大抵の方と同じ症状となるところだが、トイレ小とは別にトイレ大も行く回数が増えることが多くなってきているのだ。自律神経か内臓の暴走か。便秘体質でもないので回数が増えるのには困っている。出社のときは、「あのやろう、トイレの回数が多いな」とおもわれつつも、会社のトイレに行けば事なきを得る。

 しかし、出社時の行き帰りと土休祭祝日の外出時は困る。とつぜん、おなかがグルグルッキュ~と鳴ったら危険なのだ。大型連休のとき若い人たちとLUUPの電動キックボードを乗り回していたとき、トイレ大を漏らしそうになって大変だった。ダイエットに成功してジョギング・ウォーキングで身体を維持しているつもりなのだが、早くも” お漏らし ”しそうな年頃に差し掛かっているアラームなのかもしれない。

 知人に相談したら、” トイレMAP ”というアプリを教えてもらった。データ更新率は良く、星評価も書いてあってハズレのトイレがない。しばらく世話になるアプリとしては良いのではないかな、とおもっている。

 この前、帰宅途上で立ち寄った駅トイレで見かけてしまったトイレ大を漏らすようなオジサンにはなりたくないなぁ。駅員と救急隊が来て大騒ぎになってニオイが立ち込めていた。あの様を見てしまうと、薔薇のように”水”を静かに受け入れ、気高き美をたたえて生きたい、とおもう。かかりつけ医に相談しに行くか。

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