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ジャズ記念日(祝60周年): 7月5日、1963年@ニューポート

July 5, 1963 “All of You”
by McCoy Tyler, Bob Cranshaw & Micky Roker at Newport Jazz Festival, Rhode Island for Impulse! (Live at Newport)

7月は屋外のジャズイベントが多数催される。そのうちの一つが本作が録音された、アメリカ北東部にある港町で開催される、1954年から続くニューポートジャズフェスティバル。現在は八月に開催されているが、この頃1958年のイベントを捉えた「真夏の夜のジャズ」というドキュメンタリー映画もあって、当時の古き良き時代のアメリカの様子が垣間見える。因みに、史上初の音楽フェスティバルは本フェスティバルと言われていて、今の音楽フェスティバルの原型となったそう。何故そのジャンルがジャズだったかと言うと、当時流行の最先端に座していたから。この映画では、ダイナワシントンが本曲”All of You”ならぬ別スタンダードの”All of Me”を歌っている。

セーリングのメッカで避暑地でもあるロードアイランド州ニューポートの清々しい夏に屋外で開催されるアイディアが受けて長続きする事になる。ニューポートはボストンから南に約120kmの場所にあって、ゴルフとテニスのUS Openトーナメントの第一回が開催された由緒ある土地柄。海沿いで海軍学校もあって、あの黒船ペリー提督の出身地でもある。Newという名がありながら北米での近代からの歴史は長い方でアメリカ独立運動の舞台となったり、奴隷貿易の拠点となったり、複雑な背景を持つ。

港町ニューポートの美しい光景

イギリス本国のみならず、その移民が海外で開拓していく場所に”New Port”、文字通り「新港」という地名が付けられている。Wikipediaに掲載されているだけで、イギリスに12、オーストラリアに3、カナダに2、米国には本地を含めて何と42ヶ所もある。そしてその中には内陸の場所も含まれているから、その由来が大変気になるところ。因みに日本には「新港」の地名が11ヶ所、「新港町」が15ヶ所ある。世界の”Newport”巡り、それぞれに特徴がありそうで面白そうだ。

そしてニューポートという名称で思い起こすのは、あのタイガーウッズがメジャー大会15勝のうち14勝を挙げたエースパター。USオープン発祥の地に由来する名称かと推測したら、製造者のスコッティキャメロンの拠点があるカリフォルニア州のニューポートビーチから名付けられた模様。

“Tiger Woods”の刻印がある特別仕様
本人使用のスペアは40万ドルの落札価格

さて、演奏に話を戻すとピアノのマッコイタイナーは、端正で歯切れの良い特徴のあるスタイリッシュでパーカッシブな演奏は一貫しているが、誰と演奏するかでアプローチが器用に変えられるタイプでもあり、温和な自身のトリオと盟友コルトレーンのカルテットでのハードなプレイには大きな隔たりがある。今回は前者でアウトドアのオープンな環境でリラックスした演奏と感じられる。しかしながら、ライナーノーツには、当日早朝までモントリオールジャズフェスティバルで演奏していたので、三時間しか寝ていない中での昼間の登場だったそうだから、かなり厳しいコンディションでの演奏だったはず。因みにモントリオールからニューポートまで車で約六時間の距離にある。

個人的には、この時期のマッコイの新鮮味のあるシンプルで分かり易い演奏が親しみが持てるので好み。以下は四ヶ月前の演奏。

本作の一ヶ月前には以下の名盤にも”ETC”の表向き匿名のクレジットでサイドマンとして参加している。

テナーサックスの巨匠ソニーロリンズの盟友、ベースのボブクランショウとはステージで初共演の演奏という事で、出だしが不安定なものの演奏していくうちに徐々に息が合って行く過程が伺える。特にベースソロにおける伴奏をする事で二人の距離感が一気に埋まっていくことが分かる。

その二人をブリッジする重要な役割を果たしているのが、フィラデルフィア時代にタイナーと共演歴のあるドラムのミッキーローカー。ローカーは前年にジュニアマンストリオでクランショウと共演しているので、タイナーとクランショウを結び付けようと集中していたはず。その演奏は、無駄なくそつなくトリオの調和に徹している感じで好感が持てる。

睡眠不足でナチュラルハイな状態もあってか、良く耳を澄ますとタイナーはかなり前ノリで、特にそのソロで始終微かなハミングをしているように、後半に向けてトリオ内で化学反応が生まれ、熱を帯びて激しく盛り上がって行く事が分かる。

ミュージカル、”Silk Stockings”用にコールポーターが作曲したスタンダード曲。1955年に初演されて、その後1957年にフレッドアステアの主演で映画化された。

北米のジャズフェスティバルに興味がある方は、こちらもどうぞ。

ローカーによる軽快でセンスの良いドラムを更に味わいたい方は、こちらもどうぞ。

作曲者のコールポーターに興味がある方はこちらの演奏もどうぞ。

最後に、「真夏の夜のジャズ」に関心がある方は、その中で小柄ながらステージで大きな存在感を示しているアニタオデイの演奏をどうぞ。

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