見出し画像

今日のジャズ: 4月26日、1962年@ニュージャージーRVG

Apr. 26, 1962 “Mambo Inn”
by Grant Green with John Acea, Wendell Marshall, Willie Bobo, Carlos "Patato" Valdes & Garvin Masseaux at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs for Blue Note (The Latin Bit)

4月24日紹介曲から僅か二日後、同じニューヨーク近辺のニュージャージーにあるルディバンゲルダースタジオでの同氏によるブルーノートを代表するギタリストの一人、グラントグリーン録音作品。

黒人ギターによる管楽器的なアプローチ、シングルトーン推しのラテン楽曲演奏という意味においては、4月22日紹介のウェスモンゴメリー作品と同様ながら、異なる演奏スタイルを体感できる。

一昨日紹介曲の静けさとは一転した、思わず身体を動かしたくなるようなノリの良い、春の陽気を感じさせる熱い楽曲。当時は、ラテン音楽ブームの最中で、そのスタンダード曲をジャズで取り上げる企画アルバムが諸作残されている。

グリーンは、左から聞こえるマラカスとコンガの若干騒がしいパーカッションを交えたラテン系リズムセクションに囲まれても、比較的分かり易くノリの良いメロディーを粘りと腰のあるこぶしで奏でる独自のスタイルは曲げずに、最後までシングルトーンでの演奏を貫き通す潔さが素晴らしい。

特に4:05から4:30までにかけてのフレーズ作りとクライマックスを作り上げてテンポを崩しながらも見事に着地させる展開がグリーンらしい。シングルトーンのみの演奏は、ピアノとの役割分担での意図した割り切りなのかも知れない。その演奏スタイルもメロディー作りも約一年前のウェスモンゴメリーによる演奏と比較してみると、音色や間合い、メロディーセンスも含めてそれぞれ個性を存分に活かした演奏であることが分かる。

敢えてデフォルメして表現するならば、グリーンは下町の大衆キャバレー的なの親しみやすさが、ウェスは都会の高級ジャズクラブ的な上品さがある。どちらが上かという事ではなくて、好みとその時の気分で聴き分けるのが良い。如何に良くても聴き続ければ飽きは来るので、行ったり来たりして、それぞれの良さを改めて認識するのがおすすめ。

伴奏を務めてリズミカルなでご機嫌なソロを披露するピアノのジョンアチェアは、キューバとアメリカ人のハーフ。DNAにアフロキューバン由来の音楽、マンボのリズムが埋め込まれているのだから納得の行く演奏。

そのマンボは、キューバ発のダンソンという四分の二拍子のダンスミュージックの進化系。ルンバにジャズの要素を加える形で作られたという話もある。他の南米系音楽と同じく、打楽器のコンガが欠かせない要素だそう。

アルバムジャケットは、南米っぽい衣装を着たグリーン本人で、ブルーノートレーベルだけにその共同創設者であり、写真家のフランシスウルフによる撮影かと思ったが、調べてみると、もう一人の主力アルバムデザイナー、クールなパターンの多いリードマイルスによるユーモアに満ちたもので意外だった。

さて、本曲でドラムを担当しているウィリーボボは、プエルトリコの血を引くアメリカ人パーカッショニスト。

英語版Wikipediaの本人ページから拝借した写真

実はボボはかなり現代音楽に貢献している。伝説のウッドストック野外フェスティバルでサンタナが披露した楽曲で映像が残されているひとつは、ボボの作曲によるもので、それは当時の最先端を行くサンフランシスコの音楽界の影響を汲んで波に乗るために選ばれた選曲だそう。ボボのつながりもあってサンタナもシングルトーン推しのグリーンの影響を受けているのかも知れない。少なくとも本人のインタビューにはグリーンの名前が登場している事を確認した。

サンタナは、ジャズにも精通していて、コルトレーンの曲等も演奏するし、奥様はジャズドラマーのシンディブラックマンでもある。そのブラックマンは、レニークラビッツの”Are You Gonna Go My Way”のミュージックビデオで激しくドラムを叩いているアフロヘアーの人、というと分かるだろうか。

さて、グリーンとは好対照の横綱ギター、ウェスモンゴメリーによるラテン楽曲演奏は、こちらから。

ギターとコンガ好きの方は、こちらのケニーバレルの名演をどうぞ。

最後に、この演奏から9年後、様変わりしたグリーンのファンクジャズの名演に興味がある方は、こちらのライブ盤もどうぞ。

いいなと思ったら応援しよう!