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今日のジャズ: 6月6-8&26日、1967年@ニュージャージーRVG

June 6-8 & 26, 1967 “Windy”
by Wes Montgomery, Herbie Hancock, Ron Carter, Grady Tate etc arranged by Don Sebesky at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey for CTI (A Day in the Life)

アルバムデビューしてから約七年後、ジャズギターの巨匠、ウェスモンゴメリーはポピュラーミュージックのメインストリームに躍り出る。ジャズギターの王道を確立した後、オーケストラをバックに天性のメロディーセンスを活かしたオクターブ奏法を前面に押し出した耳心地良い演奏で、お洒落なCTIレーベルのアルバムジャケットと共にジャズの新領域を開拓していく。

お気軽に聴ける耳心地の良い大衆に向けたイージーリスニングミュージックの走りとも言えるが、これが狙い通り万人受けして、ジャズ楽曲としては異例のビルボード総合ランキングで最高44位に到達した。5月16日に紹介したボサノバ作品同様に、昭和の学校の給食時間帯に流れているようなバックグラウンドミュージックのテイスト。

とはいえ、決して妥協している訳ではなく、ハービーハンコックらの一流のジャズミュージシャンを起用して、アレンジャーの巨匠ドンセベスキーがアレンジ、オーケストラ録音を想定してスタジオを移設したルディヴァンゲルダーが満を持して総勢30人による演奏を録音する、という気合の入った組み合わせからして完成度が高く、僅か2分半弱の長さながら、その短さを感じることのない充足感が得られる。

この企画が大当たりして、続編が二作続くもウェスが他界することで残念ながら幕を閉じた。しかしながらウェスの開拓した領域は息途絶える事無く、ジャズの新たな境地、フュージョンという新たなジャンルへの先鞭を付けていく。

ウェスの雄大なギターから始まり、リズミカルなパーカッションとドラムが入り、ヴィブラフォンが加わって流れを作り、オーケストラがバックグランドに乗っかる展開も、その後のウェスのギターを中心に組み立てられた編曲も構成も素晴らしい。

ここでは、スパイス的な味付けとペースを冒頭から司るパーカッションとドラムに注目したい。そのドラムは6月6日に登場したグラディテイト。こちらの快活な演奏の方が本来の姿で自然と音楽に溶け込んでいる。パーカッションは三名入っているが、しっかり統制が取れているので、耳障りにはならずに心地良いリズムが生まれている。

当時のウェス本人のテレビ映像を見つけたのでご覧ください。さすがなのは、短い曲且つテレビ番組とはいえ、テーマメロディーの後から臆する事なく要所要所でアドリブしているところ。本演奏とは異なる発想の高音寄りの旋律を繰り出しているのが聴きどころで、厚みのあるギターを親指ピッキングと優雅な指捌きで操るところが見どころ。

原曲は本録音の翌月にビルボードNo.1となったサイケデリックポップのバンド、アソシエーションによるもの。リリースが本収録の一ヶ月ちょっと前の5月1日だから、その選曲眼はさることながら、採用から制作までのスピード感には驚かされる。そして「サイケデリック」とあるのは、ちょうどこの本作品とほぼ同じタイミングでビートルズが「サージェントペパーズ」をリリースしたというと時代背景を含めてわかりやすいかもしれない。本アルバムのタイトル名は、そのサージェントペパーズ収録曲のひとつで、こちらも迅速に取り上げてカバーしている。

ビートルズもサイケデリック

話を戻すと、その原曲もフルオーケストラ編成で、バックバンドにはウエストコースト派ジャズアルトサックスのバドシャンクが名を連ねていた。ウエスの演奏の方が更に爽快な「風」を感じるのはセベスキーのアレンジによる貢献が大きい。そして録音された季節の初夏の雰囲気も良い。

CTIは、先に紹介したクリードテイラーの辣腕プロデュース、ピートターナーによる異色のアルバムジャケット、匠なルディバンゲルダーの録音という王道の布陣に、ドンセベスキーという名アレンジャーを加える事によって、独自の型が生まれ、ちょうど翌年にポールモーリア楽団がビルボードチャートで一位を獲得して活躍していた頃の時流に乗ってヒットを連発していく。

そのピートターナーとバンゲルダーの組み合わせにご興味があれば以下もご覧ください。何と本作の約二週間前の収録。CTI、立ち上げ当初から名作を連発しているのに驚かされます。因みにこちらは別のアレンジャーが手掛けたもの。

こちらも本作と同じイージーリスニング的な、クリードテイラーとルディバンゲルダーが携わった約一年前の作品。この時点である程度の型が出来ている。仮にピートターナーがアルバムジャケットを手掛けていたら、どんな写真になるのか、そしてそれがどんな印象をもたらすのか、想像してみると面白い。

ウェスのギターに興味を持たれた方は、ジャズの王道演奏を繰り広げるこちらもどうぞ。

最後に、ドラムのグラディテイトによる別人のようにワイルドな演奏はこちらからどうぞ。

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