【読書日記】「銀二貫」(高田郁著 ハルキ文庫)寒天問屋の話です。

「銀二貫」(高田郁著 ハルキ文庫)
ちょっと珍しい
寒天問屋の話です。
舞台は江戸時代、大阪。
主人公の松吉は、仇討で父親を亡くすのですが、
寒天問屋の主人和助に助けられ
寒天問屋の丁稚として働くことになります。
武士の子として生まれたのに、
丁稚として生きることを余儀なくされる松吉
その松吉の成長を軸に、
寒天問屋を取り巻く様々な事件
そして人情の話です。
生きることの悲しさやつらさ
それを温かく支えあう人と人とのつながり。
ひっそりと寄り添う、さりげない温かさ。
まじめに生きることは、時として損をすることがあったとしても
まじめに正直に生きることでしか、人は幸せになれないというような
当たり前のことを、改めて確信させてくれる
そんなお話です。
はっきり言って、泣けました。
目がはれるほど泣けました。
いい話です。
ストーリが抜群に面白いのですが
もう一つの読みどころは、やっぱりなんといっても寒天です。
寒天って、もともと日本で発明された食べ物なんですが
寒天問屋の話って言うのが
他で読んだことがないので、それだけで興味津々です。
舞台となる寒天問屋は大阪なんですが
寒天の発祥は
実は、京都伏見!!
この本を初めて読んだのはかれこれ10年以上前で
その時は
えっ!!京都が寒天の発祥⁉って驚きましたが
その後、私、京都検定と言うのを受験するのに
かなり真剣に京都のことを学びまして
その時、京都伏見に寒天の発祥の碑があることを知りました。
「寒天場」に並ぶ寒天が、冬の京都伏見の風物詩だった時代
たしかにあったようです。
なぜ、京都伏見が寒天場(寒天を作る場所)かというと
京都の丹波の天草を、伏見の水で煮て寒天を作るからでして
天草と水には相性があるらしく
産地が近いところのものが、やっぱり相性がいいんですね。
ちなみに、京都って盆地なので、内陸のイメージがありますが
丹波地方の先は日本海に続いているし(ほら、天橋立とか有名)
伏見はお酒で有名な場所なので名水として有名な場所です。
丹波と伏見、
天草(海藻)と名水、
これが運命の出会いというわけです。
さて、そんな寒天
江戸時代にはお菓子ではなく料理として食べられていたんです。
それも面白いところなのですが
当時の寒天は、固める力がそれほど強くなく
あんこを固める事が出来なくて
練り羊羹は、まだ世の中に登場していませんでした。
羊羹と言えば蒸し羊羹だったようです。
蒸し羊羹と言うのは
京都や滋賀県などで今でも食べられている
丁稚羊羹のことじゃないかと思うのですが
あんこに小麦粉や片栗粉を混ぜて、二枚の竹の皮の間に挟んで蒸したもので
今でも関西人にはおなじみのもの。
松吉は
蒸し羊羹だと、日持ちがしないので
寒天で固めた羊羹を作れないだろうかと思います。
そして実際に作ってみるのですが
やってもやっても、自分たちの寒天では固まりません
もっとコシの強い、しっかり固まる寒天があれば
あんこを固めることができるのに・・。
あんこを固められるような寒天を自分の手で作りたい
その想いで松吉は
寒天の製法を一から学ぶために、寒天場でも働き始めます。
そして
ものすごい年月と努力の末に
従来のものより、しっかり固く固められる寒天を作るのに成功するのです
それが糸寒天です。
糸寒天って、細いひもみたいな形をした寒天で
たしかに、ちょっと特殊。
普段、家庭料理ではほとんど使わないので
寒天好きの私も、あまりよく知らなかったものです
でも、この本のおかげで
棒寒天と糸寒天では
そもそも、製法が違うという事や
凍らせ方の違いで、寒天のコシが変わるという事など
知らない事をたくさん知ることができました。
そういう意味で、とっても勉強になる本でもありました
そして糸寒天の発明により
練り羊羹を作れるようになり
和菓子の世界も大きく進歩することになります。
この辺も、すごく勉強になりました。
寒天に興味のある方はもちろん
寒天に、それほど興味のない方も
この本を読めば、絶対寒天好きになると思います
この本、
ストーリーも抜群に面白いですが
寒天の話も、抜群に面白いです。
読めば、絶対に寒天が食べたくなります
おすすめの一冊です。
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こちらも読んでみてね
■ 棒寒天作りを見るために、長野県の茅野へ行った話
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作ってみてね♪
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