登山前に確認したい専門天気図の風予報の読み方≪高層天気図・数値予報の基本≫
山へ行くとき、何を気にして、何を基準に決行や中止を決めていますか?
私は、特に風を気にして決めています。
風は怖いです…過去には、20kgのカメラが入ったザックを崖から吹っ飛ばした事もあります。(その時は、専門天気図も読めて、知ってて行ったので自業自得です…25m/sでした。)
私が専門天気図の存在を知ったのは、2019年霧氷を撮りに2月の赤城山へ行ったのがきっかけです。
高崎の天気予報は風速4m/s
車で鳥居峠まで登ってみたら、車が飛びそうな暴風…怖くてほとんど外にいられませんでした。
その時はじめて、街と山は風速が違うことを知り、専門天気図というもので、標高ごとの風速予報がされていることを知りました。
専門天気図…難しそうですが(実際難しくて、まだ全部使い切れてはいませんが)用途を絞れば、簡単に使うことができるようになります。
今回は、専門天気図(高層天気図•数値予報天気図)の風の読み方をまとめていこうと思います。
専門天気図って?
専門天気図とは、高層天気図と数値予報天気図のことです。
高層天気図は、標高ごとに解析された実況の天気図です。
これを見ると、現在の風の強さがわかります。
また、予報天気図には、天気予報でよく見かける地上天気図の他に、
用途ごとで様々な天気図が計算されて作られています。
用途ごと•標高ごとに予想されている図が、数値予報天気図です。
その、様々な図を組み合わせて、天気予報が作られています。
どの天気図を使えば良いのか?
上のリンクを開くと、たくさんの天気図が出てきます。
専門天気図では、標高はhPaで表されています。
850hPa 上空1500m付近
700hPa 上空3000m付近
500hPa 上空5500m付近
300hPa 上空9000m付近
風予報が読みたい場合は、自分が見たい標高に近い天気図を見ます。
数値予報天気図を見てみよう
数値予報天気図で公開されていて、日本の登山で使えそうな風予報は、
•極東850hPa気温・風、700hPa上昇流/700hPa湿数、500hPa気温予想図
•日本850hPa相当温位・風予想図
です。
極東850hPa気温・風、700hPa上昇流/700hPa湿数、500hPa気温予想図 を見てみます。

上の画像は
150000UTC FEB 2025発表の画像です。(画像欄外1番下に記載)
天気図は世界時(UTC)で、発表されています。
日本時と世界時では、9時間の時差があります。
なので、天気図の時間に+9時間したら、日本時間になります。
150000UTC FEB 2025
→2025年2月15日00:00(世界時)
→2025年2月15日9時
の天気図ということがわかります。
極東850hPa気温・風、700hPa上昇流/700hPa湿数、500hPa気温予想図 は、『12•24時間』『36•48時間』『72時間』の3種類が発表されています。
画像の天気図は『36•48時間』です。
(T=◯が何時間後かを表します)
左上が、36時間後の700hPa湿数•500hPa気温
右上が、48時間後の700hPa湿数•500hPa気温
左下が、36時間後の850hPa気温•風•700hPa上昇流
右下が、48時間後の850hPa気温•風•700hPa上昇流
を表しています。
風予報の場合は下の二つの図を使います。

上の画像は、左下の天気図を拡大したものです。
150000UTCの36時間後…161200UTC(16日21時)の予想天気図です。
矢の記号が850hPa(上空1500m)の風向•風速です。
国際式の天気図記号なので、単位はkt(ノット)です。
ktを2で割るとm/sになります。(小数点第一位は四捨五入することが多いです。)
矢羽の風速は5kt単位の表示で、1本の長い羽が10kt、短い羽が5kt、三角形の羽が50ktをそれぞれ意味しています。
少し読みづらいですが…↑画像の関東付近には、長い羽根1本と短い羽根1本の矢羽があります。
そのことから、関東標高1500m付近(塔ノ岳とか⁇)では、15kt(7.5≒8m/s)の風が吹きそうなことがわかります。
また、風向きは矢羽のある方向から風が吹いてきます。
このことから、この風はだいたい西風が吹きそうなことがわかります。
15kt…ギリギリ穏やかな登山が楽しめそうです!(21時に誰が登るんだろうっていうのは置いておいて)
日本850hPa相当温位・風予想図

この図では、風予報のみで12•24•36•48時間後が1枚でまとめられていて、細かい風の動きや時間ごとの移り変わりが見やすいです。
読み方は、先ほどの"極東850hPa気温・風、700hPa上昇流/700hPa湿数、500hPa気温予想図"と同じです。
標高3000m付近の風を見たいとき
高山に登るとき、標高3000m付近の風を見たい時もありますよね。
700hPa(3000m)の風予報の数値予報は発表されていません。
その場合、私は数値予報GPVを見ています。
↑こちらのサイトが、今は読みやすくてお気に入りです。
気象庁全球モデル(GSM : Global Spectral Model)
と
気象庁メソモデル(MSM : Meso-Scale Model)
の2種類の数値予報が見られます。
注意点として、基本的にMSMの方が精度が良いと言われていますが、最大風速が20m/sを超えてくると精度が落ちがち(平均風速の精度は未発表)なので、特に風が強い時は両方を確認した方が良いと思います。
高層天気図で実況の風を確認してみよう
次に、私が実際に強風の時に山に登った時の風を高層天気図で確認してみようと思います。

こちらは、2024年12月15日9時の地上天気図です。
この日は長野の東天狗岳(標高2645m)へ登りました。
地上天気図では、南西の風10kt(5m/s)〜無風くらいが吹いてそうだなぁとわかります。

上図は、アジア850hPa・700hPa高度・気温・風・湿数天気図です。
図の上側が700hPa、下側が850hPaの天気図です。
東天狗岳は標高2645mなので、700hPaより風が弱くて850hPaよりは風が弱いかな⁇という感じなので、両方の長野付近の風を見てみます。
850hPaは長い羽根2本
700hPaは長い羽根3本+短い羽根1本
ということは、
850hPa南西風20kt(10m/s)
700hPa西〜北北西風35kt(17.5m/s≒18m/s)
とわかります。

山の風は地形にもよります。
風上側に高い山があると、風が弱まったりしますが…西側に高山がない天狗岳は、西風の時にもろに影響を受けることが予想されます。
YAMAPのデータでは、この日私は10:17に登頂しています。
そのときの稜線に出て〜山頂までの動画がこちらです。
ちょっと、天気図が読める人ならわかったことでしょう…こんな日に山に登るな、、と。
爆風、ホワイトアウト山頂でした。
言い訳すると、この日は写真を撮りに行ったわけではなく…山ですれ違った方に、お酒飲み放題(+初心者用雪山登山)だよと、お酒に釣られて行ったクリスマスパーティーでした。
お酒は美味しいし、ケーキも美味しいし、楽しい方々とお知り合いになれたし、こんな悪天候の中をアイゼンなし訓練で登れて(アイゼン装着は自由で、持ってはいるし、安全確保をしてもらいながら歩行を指導していただいています)、とても良い経験ができました。
絶景を撮るには、シビアな天気の中出かけないと撮れないものもあるので、たまに悪天候で登るのも、自分の限界値を知るために良い訓練かなぁと思います。(全ての人に推奨はしません)
ちなみに、誘ってくださった方は「八ヶ岳ではそよ風らんらんらん〜」と、言いながら登っていました。(そよ風ではない。)(この風を、そよ風と感じられるくらい、強くなりたい。)
強風の基準は?
風速が分かっても、結局どれくらいが強風なのかわからないかもしれません。
気象庁の基準では、
10m/s以上15m/s未満がやや強い風
15m/s以上20m/s未満が強い風
20m/s以上30m/s未満が非常に強い風
30m/s以上が猛烈に強い風
と、なっています。

表を見ると15m/s〜20m/s強い風の目安が〜70km/hと、車に例えるとまぁまぁ速そうです。
また、台風では、
強風域が15m/s以上25m/s未満
暴風域が25m/s以上
と、されています。
瞬間最大風速
今まで、見てきた風速は"平均風速"でした。
それとは別に、"瞬間最大風速"があります。
瞬間最大風速は、だいたい平均風速の1.5〜2倍(突風率)のことが多いです。
例えば、平均風速が10m/sの日は、瞬間的には15m/s〜20m/sの風に吹かれる可能性があります。
冒頭に書いた、ザックが吹っ飛んで行った日は平均風速25m/s。
体も少し浮きました…。
下手したら、瞬間的には50m/sの風に吹かれていたのかもしれません。
風速と体感温度
風が強いと、飛ばされそうなことが困るだけではありません。
風が強いと、体感温度が下がります。
一般的に、風速1m/sにつき、体感温度が1℃下がると言われています。
例えば、10m/sだと体感-10℃です。
気温-20℃でも無風だと暖かいねってなりますし、気温-15℃でも20m/sだと、泣きたくなるくらい寒いです。(感じ方には、個人差があります。)
まとめ
以上、数値予報天気図や高層天気図(2つ合わせて、専門天気図)の風予報の読み方と風にまつわるいろいろを書いてみました。
最初は、私も全然読めませんでしたが、慣れてくるとだんだん時間をかけずに読めるようになりました。
そして、そのうち他の天気図も読めるようになってきました。
是非、専門天気図のきっかけとして、風の天気図を気にしてみてください。
また、風の耐性については、個人差が大きいと感じます。
風の予報が強い…といっても、地形によって実際感じる風速は違います。
急に強風の日に稜線へ行くのではなく、エスケープルートや避難場所を確保しながら、自分が耐えられる風速を試していってください。
私は、台風が来ると家のすぐ近くで傘をささないでレインウェアを着て、喜んで耐風訓練をします。(※飛来物に注意)
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