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『オンラインの絆』第11章・第12章 8/9

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第11章
 
 次の英検準1級は、10月8日だった。それに向けて、単語帳を1章ずつ先生にテストしてもらう事にし、英作文の添削の日程も決めた。
8月14日、尚子は先生からメッセージを受け取った。
「尚子さん、あえて日本語で書きますね。何があったとかではないですが、感じていることを書きますね。ここ最近の尚子さんの英語、めちゃめちゃ伸びていて、嬉しい気持ちになることがよくあります。本当にすばらしいと思うことが最近多いです。でも努力は最近に始まったことではなく、2級を目指していたときから変わっていませんよね。伸び悩んだことがあったし、これからももちろんあると思います。でも、これまでの努力やその悩みが最近僕も尚子さんも感じられる形になってきたことは、上手く言えませんが誇らしい気持ちがあります。残り1カ月半ですが、多分どこかできつくなることもあると思います。でも、時には屁理屈に感じるような指摘を僕からしつこくされながらも、今まで細かいところに拘ってきた尚子さんなら受かるという、絵が僕の中で少しづつできてきています。やはりリスニングとライティングが不安な部分はあるかもですが、残りの時間、お互い後悔のないよう頑張りましょうね。まだテストがひと段落したわけでもありませんが本当に尚子さんの継続力はすばらしいです。僕も負けません。残りの期間よろしくお願いいたします。」
 
 10月8日、英検当日、先生からのメッセージが届いた。
「おはようございます!いよいよテストですね。特にライティングでは僕のフィードバックが厳しいのもあって、大変だったと思いますが、僕が自信を持って合格点出せるライティングもちゃんとあったので、相性もあるかと思いますが、思い切って書いてほしいです。一応要点3つ書いておきますね。①トピックの選定の際に一般論は何か考えること。②自分の意見とトピックセンテンスが繋がっているか、トピックセンテンスとdetailがちゃんと繋がっているか確認③見直しはどんなに短くても2分取る。では!いってらっしゃいです!」
 僕が自信を持って合格点出せるライティングもちゃんとあったので、これも余分な気がするけど、2級の時もそうだった。バカ正直というか、嘘がつけないというか。尚子は先生の若さを羨ましく思った。
 英検が終わった、手ごたえは、前回よりは、よかったと思ったのも束の間、テスト終了1時間後には、TwitterやYouTubeで速報が出る。公式ではなく、個人や予備校が出している。それを見ると、前回と変わらなかった。すぐに先生にLINEした。リーディングが75%くらいで、リスニングが58%くらいしか取れなかった。リスニング、もう少し聴けた気がしたんだが。先生は、「結構取れてるじゃないですか!これいけますよ、これいけます。二次がんばりましょ」と返信してくれた。
 一次試験の結果は、ライティングが75%取れたおかげで、なんとか合格できた。
 「改めてですが、本当にお疲れ様でした!僕もめちゃ嬉しかったです。この数カ月本当に単語からリスニングから何から何まで、レッスン以外でもコツコツしているなというのを、常日頃感じていました。おそらくそれは英語の勉強を始める前からの尚子さんの性格なのでしょうが、そのコツコツ精神は僕ももっと見習わないとなと今回1番感じました。残りまで時間があるわけではありませんが、今回の二次も全然尚子さんの射程範囲ではあると思うので、またこれから2週間がんばっていきましょうね。今日はいい夢が見れそうです。お疲れ様でした。尚子さんも良い夢を。」
 尚子は満足だった。やっと準1級の一次に合格出来て、着実に勉強の成果が出ていることに。そして、先生と共に過ごした日々に。
 それから二次試験までの2週間はイージートークの面接の教材を使ったレッスンをして、過去問題もした。前日にした過去問と全く同じ質問が出て驚いた。そして、無事合格した。
 
第12章
 
 尚子は鍼灸の専門学校の30周年記念パーティーに参加した。10年前に卒業して
以来会っていなかった先生方との会話に懐かしさを感じた。尚子は鍼灸学校の時を思い出した。あの時も英語学習と同じように必死に勉強していた。それは他人と比べるのではなく、鍼灸師になるため、鍼灸の国家試験に受かるための勉強だったので、クラスメイトはライバルではなく仲間なのだった。その後、居酒屋に行った。初めての方とも同業者、同じ学校の卒業生という事で親しく思えた。さらにお酒がそうさせた。ある男性が言った。「仕事も勉強もはまったら、浮気と一緒です。」みなは、反発した。彼は続ける。「日常から逃げるという意味では、勉強ものめり込むのも一緒。家族を顧みないでという意味ではね。」
 そうかもしれないと尚子は思った。尚子は夫と別居してもう6年になる。3人の子供はもう親の世話が必要ではなくなり、尚子には自由な時間がたくさんあった。自営業ならではの時間の融通も利いた。だから英語学習に時間を費やすことも容易だったし、先生のとレッスンが非日常なのは否めない。
 先生の誕生日がまた来た。去年の誕生日2022年は、彼女がいないと思っていて、アメリカで1人で誕生日を祝う人もいないのかもと思っていた。彼女がいるなら彼女とお祝いするだろうし、今回は日本にいるから、友達もいるだろう。今年は、誕生日のお祝いはしないと前もって宣言した。それでも、やっぱり尚子は何か祝いたくなった。スタバのチケットをLINEで送った。送ったのは初めてだった。先生はもらったのは初めてだと喜んでくれた。レッスンでクラッカーを鳴らした。それから、日本語でメッセージを読んだ。たまたま取ったレッスンから、ここまで、長く、それも頻繁にレッスンを取った先生は先生だけだった。約2年半前に先生と出会わなかったら、準1級を受けようともしなかっただろう。イージートークを続けているかさえ怪しい。学生の時は勉強が好きではなかった。大人になって勉強の楽しさを知った。子供も大きくなり、自分の為に時間を使っているという事が、この上ない幸せに感じた。勉強できるという事は、家族が健康で平和であるが故にできることであり、最高の贅沢だ。
 11月24日、合格証書が郵送で届いたので、レッスンでお祝いをしようと言ってくれた。「ケーキ買っておきますね」という先生の言葉に、尚子も、お気に入りのケーキ屋さんで1個だけケーキを買い、お風呂に入り、ワンピースを着て、準備したら、先生はケーキが売り切れで買えなかったと謝った。尚子は、先生が時々約束を守れない事に、仕方がないと思う。東京での会う約束が果たせなかったのもそう、仕方なかったのだ。
 尚子は、次の日先生からの英語のメッセージを受け取った。「英検準1級合格、おめでとうございます!あなたの献身的な努力、特に膨大な語彙の習得とライティング能力の向上は、本当に実を結びました。あなたがイージートークのレッスンに熱心に通い、勉強のあらゆる面で努力を惜しまなかったことを覚えています。
私たちの旅はいつも順調だったわけではなく、進歩が遅く感じられたこともありました。しかし、あなたはそのような停滞の瞬間をものともしなかった。むしろ、それをさらなる高みへの足がかりとしたのだ。あなたの忍耐力は、英語学習に対するコミットメントと情熱の証です。難易度が高いことで知られる英検準1級に合格することは、並大抵のことではありません。これは、あなたの語学力と複雑な言語的課題を克服する能力を物語っています。この達成は、あなたにとって新たな機会を開くものであり、私はあなたの英語力が次にどのような道を歩むのか、とても楽しみにしています。
あなたは私の最高の生徒です!そして、これからもそうあり続けるでしょう。」
尚子は返信した。
「温かいお祝いの言葉をありがとうございます。まさか手紙を書いてくださるとは思っていなかったので、とても感激しています。私の英語が今後どのように上達するのかをお見せします。どうか注意深く、辛抱強く私を見ていてください。それができれば、いつかあなたのイージートークのプロフィールに「生徒が英検1級を取得しました」と載せることができます。気長に待っていてください。私のそばにいてください。」
 

https://note.com/namisasan/n/n99309cec6ddb?sub_rt=share_pw

#創作大賞


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