#4|フランスでは、息ができた
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フランスからの遠距離介護
フランスでの生活が始まった。
別の困難に翻弄される毎日だった。
言葉を覚えるのに、二年かかった。
ようやくなんとか話せるようになった頃、
別の壁にぶつかった。
家に来た人に、
入り口で靴を脱いでもらえますか、
と聞いた。
それは、あなたが決めることなの?
驚きで言葉が出なかった。
あるとき言われた。
結論を先に。
それだけでいいから。
その言い方に、苛立ちが混じっていた。
自分の話し方も、考え方も、
通じていなかった。
毎日が混乱の連続だった。
その頃、ヨガを始めた。
呼吸を整えることで、少しずつ、
自分の感覚が戻ってくる気がした。
フランスに来た頃、
日本人コミュニティがあった。
そこには、日本の価値観がそのままあった。
そのまま繋がっていたら、
フランスの生活に馴染めない気がした。
フランスが好きだったわけじゃない。
言葉は通じない。
コーヒーは苦すぎる。
食事も合わない。
文化や芸術にも、
正直あまり興味がない。
電車が頻繁に遅れる。
笑顔より、
眉間に縦皺のある人が多くみえた。
それでも、一つだけ、
日本にはないものがあった。
年齢や性別を理由に、
「普通はこうだ」
と言われることが、まずなかった。
それだけで、十分だった。
日本人同士の集まりは、
避けるようになった。
気がつくと、
それが普通になっていた。
日本にいたときのような息苦しさは、
なくなっていた。
5年目に離婚した。
それでも、フランスに残った。
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