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【展覧会レポ】嵯峨嵐山文華館「京都の巨匠・木島櫻谷 画三昧の生涯」

【#286、約4,300文字、写真約50枚】
嵯峨嵐山文華館に初めて行き「京都の巨匠・木島櫻谷このしま おうこく 画三昧の生涯」を鑑賞しました。その感想を書きます。

※ 本展覧会はすでに終了しています。

▶︎ 結論

存在感の薄い美術館ですが、とても満足できました!それは主に、1)メリハリの効いたキュレーションで飽きずに楽しく鑑賞できた、2)百人一首が懐かしかった、3)2階からの景色が最高なことに加え、120畳の畳スペースでは、今までにない鑑賞体験ができた、4)カフェの居心地が良かったことによります。旅行者も関西在住の人も、是非時間に余裕をもって訪れてほしいオススメ美術館でした。

おすすめ度:★★★★☆
会話できる度:★★★☆☆
混み具合:★★☆☆☆
展覧会名:京都の巨匠・木島櫻谷 画三昧の生涯
場所:嵯峨嵐山文華館
会期:2025年04月26日(土) - 2025年07月06日(日)
休館日:ほぼ無休
開館時間:10:00~17:00
住所:京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町11
アクセス:嵯峨嵐山駅から徒歩約15分(福田美術館から徒歩約2分)
入場料(一般):1,000円(福田美術館 共通券:2,300円)
事前予約:不要
所要時間:約1時間
撮影:ほぼすべて可能
巡回:ー
URL:こちら


▶︎ 訪問のきっかけ

同じタイトルの展覧会を2館で実施

訪問のきっかけは、福田美術館で、嵯峨嵐山文華館との共通チケットを買ったためです。

▼ 福田美術館の感想

▶︎ アクセス

嵯峨嵐山文華館へは、嵯峨嵐山駅から徒歩約15分。福田美術館から徒歩約2分です。川沿いをまっすぐ歩いて、突き当たりを右に曲がると到着します。

道中に看板がないため、若干不安でした。「⚫︎m先を右折すると嵯峨嵐山文華館」などの案内標識を掲げてくれると、客数が増えると思いました。

▶︎ 嵯峨嵐山文華館とは?

嵯峨嵐山文華館は、小倉百人一首や日本画など、京都ゆかりの芸術・文化を展示、振興するための施設です。

✔️ なぜ福田美術館と同じ展覧会名?

「建物の雰囲気が全然違うのに、何で2館で同じタイトルの展覧会を実施してるんや?」と思いました。歴史を紐解くと、経営者が同じであることが理由とわかりました。

✔️ 一癖ある歴史

現在に至る紆余曲折は以下です。

2003年:財団法人小倉百人一首文化財団を設立
2006年:「小倉百人一首殿堂 時雨殿」を開館
2011年:設備の耐用年数経過のため一時休館
2012年:リニューアルオープン
2013年:財団法人→公益財団法人に移行
2017年:再度、大規模改装工事のため休館
2018年:嵯峨嵐山文華館に改名&リニューアルオープン

✔️ なぜ百人一首?

京都商工会議所が「うちらの120周年記念で国内外に文化を広める取り組みを何かやるで!」となり、京都に縁のある百人一首が選ばれたそうです。

✔️ なぜ嵐山に?

百人一首を勅撰した藤原定家が住んでいた小倉山荘にちなんで、嵐山に「小倉百人一首殿堂 時雨殿」を建てました(2006年)。

✔️ もとは百人一首メインの施設

当初、建物の1階は、ハイテク設備を伴った体験展示施設、2階は資料展示・競技かるた用の大広間でした。

京都に本社を置き、花札の製造をオリジンとする任天堂が、技術面で支援し、建築費用は任天堂相談役の山内溥(元・財団理事長)が負担しました(8億円〜21億円と諸説あり)。プロデュースには宮本茂も携わりました。

✔️ リニューアル後、福田美術館とつながる

2012年、施設のリニューアルに際してハイテク設備を撤去したことなどに伴い、財団役員から任天堂関係者がいなくなりました

そこで、福田美術館(2019年オープン)の創設者である福田吉孝(アイフルの創業者)が、2017年、財団理事長に就任。施設の支援を主導しながら、2018年に「嵯峨嵐山文華館」として大きく生まれ変わりました。

✔️ 「文華館」って何?

美術館ではなく「文華館」というネーミングが気になりました。日本には主に3つの「文華館」があります。

  1. 嵯峨嵐山文華館(京都・嵐山)

  2. 鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム(神奈川・鎌倉)

  3. 大和文華館(奈良・奈良市)

それぞれどのような思いで「文華館」にしたのか気になります。大和文華館は、矢代やしろ幸雄(初代館長)が南京の中央博物院を訪問した際、人文芸術展示室を「文華館」と呼ぶと知ったためです。
※「文華」は、中国の古語で、優れた文筆の才や文化が栄える様を意味

▼ 大和文華館の感想

鎌倉文華館 鶴岡ミュージアムは、坂倉準三の設計による日本初の公立近代美術館。いつか行ってみたいです。

▼ mataさんによる鎌倉文華館 鶴岡ミュージアムの投稿

なお、英語名称は以下になっています。

  1. Saga Arashiyama Museum of Arts & Culture

  2. Museum Yamato Bunkakan

  3. The Kamakura Bunkakan Tsurugaoka Museum

嵯峨嵐山文華館は「Museum of Arts & Culture」、「Culture」を入れる点に目的意識を感じます。

✔️ 広がれ!2館連動の輪

2館連動した取り組みを実施している美術館は珍しいです。お互いの集客を図る共存共栄の運営は素晴らしいと思いました。例えば、世田谷美術館や世田谷文学館もそのような取り組みをすれば、さらに地域へ貢献できるのではないでしょうか。

▼ 世田谷にある2つの美術館・文学館

▶︎ 展覧会 感想

チケットにQRコード

展覧会会場は、1階(常設の百人一首スペース、企画展スペース)、2階(畳敷の広い企画展スペース)があります。

会場マップ
QRコードをかざして開ける改札

入室にはQRコードを使います。また、展示室内に看視員はいませんでした(とても快適!)。そして、受付には担当者が1人(ミュージアムショップも兼務)と、非常に効率化された運営が好印象でした。

撮影OK!

また、福田美術館と違い、館内ではシャッター音を出してもよさそうな、若干カジュアルな雰囲気だったため、安心しました。

✔️ 百人一首ヒストリー

百人一首とは、藤原定家(1114〜1204)が選んだ短歌ベスト100です。英語では「One Hundred Poets, One Poem Each」と言います。

《紅葉百人一首姫鑑》
《『百人一首宗祇抄』写本》
百人一首の解説本
《小倉山荘藤原定家詠歌之図》
文字の置き所にセンスを感じる

現代も、小学校で百人一首を習うのでしょうか?私は子どもの頃、家で百人一首を遊んでいました。一段高いしきだんに座っているか、坊主なのかなどで、特別なルールがあったと記憶しています。

江戸時代にポルトガルから伝来したカルタにより、カード形式になったそうです。この頃から日本のカードゲームが始まったんですネ。ポルトガルの影響がなければ、世界で遊ばれているポケモンカードや遊戯王カードはなかったのかもしれません。

当初、上の句と下の句でカードが分かれており、それぞれ暗記しないと遊べないハイレベルなゲームでした。幕末には、それらが1つのカードになったそうです。

100体のフィギュア
英語で読むのも面白い

✔️ 第1章:衣笠絵描き村の画家たち

京都の三条室町に生まれた日本画家・木島櫻谷は、16歳から花鳥画を得意とする今尾景年に師事し、徹底した写生を礎に若くして画名を知られるようになりました。(略)第2会場となる嵯峨嵐山文華館では櫻谷作品とともに、櫻谷に続いて衣笠に居を構えた菊池契月、堂本印象、小野竹喬ちっきょうなどの作品もご紹介。

公式サイトより

展示には随所でメリハリがあったため、キュレーションにセンスを感じたことに加え、楽しく鑑賞できました。

持ち物からその人の人柄が見えてくる
今では珍しい時刻表
《山水図屏風》

キャプションにキャッチコピーがあるのは福田美術館と同じでした。同じライター(キュレーター)に依頼しているのでしょうか。2館それぞれ、どのような費用按分になっているのか気になりました。

「描き添えられた虫がアクセント」
村上華岳《牡丹の園》
福田平八郎《若鮎》
聖地巡礼のようで面白い取り組み。
アートに興味がない人も、作品が身近な存在になるグッドアイデア!
《雪中之兎》
徳岡神泉《鯉》
水墨画ってどうやって描いてるんだろう
墨汁一滴でも落としたらアウトだ😨
子供がある程度漢字を覚えたら行ってみたい!

全然期待していなかった分、この時点ですでに「思っていたよりもいいぞ、嵯峨嵐山文華館!」と思いました😄

東証ロゴみたいなサイン

✔️ 第2章:画三昧の生涯

土足厳禁

2階は、120畳の畳ギャラリーがあります。元々は百人一首大会を開催するためのスペースでした。

入場料のかからない場所に置いた方が良いのでは

日本人のDNAなのか、畳を歩くと落ち着きます。足で畳を感じながら作品を鑑賞すると、印象も不思議と変わってきます。

《竹の子》
《鴉群飛図》
赤ベースの屏風は珍しい。
高さが低く、横に長いため、独特のリズムがあります
一番気にいった作品

2階の展示室はとても広々。「ちいさな美術館の学芸員」さん曰くの「ゆったり派」の展示だったため、心安やかに鑑賞できました。

イス座っても鑑賞できる
《細雨・落葉》
右隻
子鹿かわいい

2階の窓際にある絶景が見渡せる椅子は、ずっといたくなる素敵プレイスでした。モダンチェアーとは違う、お寺にありそうな椅子は、何だか心が落ち着きます。

2階からの眺め

景色の良さ、居心地の良さは、中野美術館(奈良)を思い出しました。嵯峨嵐山文華館は、嵐山の端っこで全然目立たない美術館ですが、福田美術館とセットでなくとも、十分行く価値のある美術館だと思いました!

▼ 居心地が最高だった中野美術館

▶︎ ミュージアムカフェ(嵐山 OMOKAGEテラス)

カフェもあるよ

1階には「嵐山 OMOKAGEテラス」があります。福田美術館と違い、カフェのみの利用も可能です。

「くちどけもちこ」の小倉あんバタートーストバニラアイスのせ (¥800)、アイスコーヒー (¥450)

カフェからの眺めも最高!緑が清々しかったです。きっと秋にはキレイな紅葉も楽しめそうです。

カフェからの景色

▶︎ まとめ

買ったポストカード
《小倉百人一首 持統天皇》

いかがだったでしょうか?「嵯峨嵐山文華館」という古めかしい名前だったため、全然期待していませんでした。しかし、良い意味で期待を裏切られました。建物の外観・内観はセンスがあるし、キュレーションもメリハリが効いていて楽しめました。百人一首も懐かしかったです。また、2階からの景色や広々した畳スペースでは、ゆったりした気持ちになることができました。目立たない美術館ですが、とてもオススメです!


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