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【展覧会レポ】高松市美術館「石田尚志 絵と窓の間」「2025年度 コレクション展2」

【#275、約3,800文字、写真約50枚】
高松市美術館に初めて行き「石田尚志 絵と窓の間」「2025年度 コレクション展2」を鑑賞しました。その感想・レビューを書きます。

▶︎ 結論

石田尚志の「ドローイング・アニメーション」は、途方もない労力が垣間見えたため、鑑賞していて心理的に疲れました(苦笑。また、8月の金曜日・土曜日は20時まで開館していたため、旅行者は大変助かりました!香川・高松に観光で来た際、寄っておきたい美術館の1つです。

おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★☆☆☆
混み具合:★★☆☆☆
展覧会名:①「石田尚志 絵と窓の間」、②「2025年度 コレクション展2」
場所:高松市美術館
会期:①2025年8月8日(金)~10月5日(日)、②2025年7月5日(土)~2025年9月28日(日)
休館日:月曜日
開館時間:午前9時30分~午後5時 ※瀬戸内国際芸術祭夏会期(8月1日~8月31日)の金曜日・土曜日は午後8時閉館
住所:香川県高松市紺屋町10番地4
アクセス:高松駅から徒歩約15分
入場料(一般):1,200円
事前予約:不要
所要時間:約1時間半
撮影:すべて可能(常設展は撮影不可)
巡回:神奈川県立近代美術館 葉山→アーツ前橋→高松市美術館
URL:①こちら、②こちら


▶︎ 訪問のきっかけ

2泊3日で、香川県の美術館巡りを1人でした際、2日目に訪問しました。朝は豊島、その後、フェリーで高松へ移動。高松付近で美術館を探した際、高松市美術館香川県立ミュージアムがヒット。後者は、博物館的な性格が強かったため、高松市美術館へ行きました。

この日は、瀬戸内国際芸術祭夏会期として、開館時間を20時まで延長していました(普段は17時まで)。高松港にフェリーが着いた時間が16時だったため、非常にラッキーでした。

▶︎ アクセス

高松市美術館は高松駅から徒歩約15分。駅から商店街まで行き、そこからずっと南へ歩けば到着します。

美術館通り

▶︎ 高松市美術館とは?

T⚫︎akamatsu A⚫︎rt M⚫︎useum

高松市美術館は、1949年に栗林りんりつ公園内に誕生しました(場所)。1988年、今の住所に移転。2016年にリニューアルを経て、現在の姿に至ります。

旧・高松美術館模型 縮尺: 200分の1

公式サイトには「名勝栗林公園内に地方の公立美術館として全国に先駆けて誕生した」と記載があります。調べてみると、公立美術館の古い順は、以下の通りでした。

  1. 東京府美術館(現・東京都美術館):1926年

  2. 京都市美術館(現・京都市京セラ美術館):1933年

  3. 大阪市立美術館:1936年

  4. 高松市美術館:1949年

実際は4番目の公立美術館ですが「地方の公立美術館として」とは、うまい言い方です。「先駆けて」という表現も、1番でもないという微妙なニュアンスを感じとりました。

高松市美術館の収集方針は、1)戦後日本の現代美術、2)20世紀以降の世界の美術(版画)、3)香川の美術(工芸)。所蔵作品数は1,700点以上と、公立美術館のコレクション数としては、比較的小ぶりです。

オフィスビルみたいな外観

建物の見た目がオフィスビルのようで、最初は通り過ぎそうになりました。一方、館内は少し特徴的。1階から2階の企画展に行く道は、階段ではなく坂道になっている珍しい設計でした。

催しのご案内

中2階の「こども+」「こどもアートスペース」という部屋では、子どもが楽しく工作できる取り組みを実施していました。

企画展に合わせてプログラムを実施中
素材が全部使い放題!
子どもは大喜びしそう
料金表(65歳以上は常設展が無料)

直近で開示されている「2024年度高松市美術館協議会」では、65歳以上の観覧料について無料にできないか、という議論がありました。現在、それを反映した結果になっているのかもしれません。

入口には、鴻池朋子 《狼チェア》
万博にもあった《狼チェア》

▶︎ 特別展「石田尚志たかし 絵と窓の間」感想

石田尚志(1972年東京生まれ)は、自らが描いた絵画を連続的に撮影する手法(ドローイング・アニメーション)で制作した映像作品により、1990年代から国内外で評価されてきました。(略)2015年以来の大規模な個展となる本展では、代表作と新作を中心に多数の初公開作品を含む約80点の作品を展観し、石田尚志の仕事を再考します。

公式サイトより

▼ 参考)2015年に実施した初の大規模個展@横浜美術館

年代を感じる高松市美術館ですが、この企画展は攻めた内容でした。

写真撮影は可能

石田尚志の初期作品群は、あっさりしているものが多いです。ものによっては、つかみどころがありませんでした。

《王の入場を待つ バベルの塔の二十一階》
《竜が棲み着いた バベルの塔》
《立ち入らざるところ、あるいは消えてしまう絵馬》
ルオーのようなマチエール
《渦》
繊細な作品もある

本展覧会のタイトルにある「<絵と窓の間>って何やねん…」と思いながら鑑賞を続けていると、2部屋目でズバリ《》という作品が登場しました。

中央《正方形の窓》
《窓ー3》《窓ー4》
マーク・ロスコみたい

「窓」という発想を得て以降、石田尚志は「窓」を使った「ドローイング・アニメーション」を作り続けることになります。石田尚志の描く「窓」はまるで、牢屋にある小さな窓のようにも見えます。

ドローイング・アニメーションとは、絵を描いて、写真に撮って、また描き足して(消して)、写真に撮ることを繰り返し、それを1本の動画にする作品です。描いて、画角の外に逃げて、カメラのシャッターを押して…の反復は、地味に辛そう。率直に「気が遠くなるほど、作るんめっちゃ大変そう」と感じました。

最終的に、写真や動画以外に、モノとしての作品は残りませんとても独特の世界観の作品群でした。

初め、石田尚志という名前はピンと来ませんでした。しかし、《窓》の一連の作品を見て、私は2024年、世田谷美術館の2階展示室で、「窓」の動画作品を見たことを思い出しました。

▼ 当時、世田谷美術館で見た展覧会の感想

《燃える椅子》

「窓」のドローイング・アニメーション作品を一通り作った後、同じ要領で、オブジェを動かして写真撮り、動画にする作品を作ります。木のようなオブジェは、細かいパーツを樹脂で貼り付けています。動画を完成させるのは、これも途方もない作業。なかなか尖った精神性のアーティストです。

きっと、石田尚志は、このような緻密な作業が好きなのでしょう。これら作品の制作風景も見てみたいと思いました。

《水の絵》
旧・神奈川県立近代美術館 鎌倉館だ!

「石田尚志の作品に込めたメッセージって何やろう」「一体全体、作者は何を考えながら、こんなに途方もない作業をしているんやろう」と思いながら、作品を見ていました。しかし結局、私には理解が及びませんでした😅

《Sunset in Okinawa》シリーズ

この展覧会に来た人のほとんどは「私は一体、何を見せられてんねん…」と困ってしまうのではないでしょうか。石田尚志の作品は「パラノイヤ的な何か」としか思えなかったです。

動画作品は、パラパラ漫画のようで面白いです。しかし、途方もない制作背景を考えると、見ている私の気が狂いそうになりました。このような表現をする人は稀なため、強いポジションをもったアーティストだと思いました。

神奈川県立近代美術館 葉山館だ!

なお、展示室の順路が若干複雑でした。途中、行き止まりになる部屋があるため、もう少し丁寧な道案内があれば、スムーズに作品を鑑賞できると思いました。

《夏の窓》
《青い小さな家》

▶︎ 常設展「2025年度 コレクション展2」感想

中原浩大《金碗》
展示室外にあるものは撮影可

1階には常設展示室があります。そこでコレクション展が2つ「1960年代の美術ー菊畑茂久馬を中心に」「いきもの図鑑ー香川の漆芸と金工」開催されていました(ともに撮影不可)。

ウォーホル、リキテンスタイン 、工藤哲巳、ジャスパー、三木富雄、高松次郎、靉嘔あい・おうなど。小ぶりながら、まるで、富山美術館で見た「東野芳明と戦後美術」のようなラインアップでした。

中2階には、飯川雄大いいかわ たけひろによる謎のハンドルが展示されていました。

飯川雄大《 デコレータークラブー0人もしくは1人以上の観客に向けて》
メインホールの人は「上下しているのは何だろう」と見上げる

このハンドルをキコキコ回すと、メインホールの天井にぶら下がっているカバンが上下する仕組みです(似た作品を、東京都渋谷公園通りギャラリーでも見ました)。

また、帰り際に1階の常設展示室の入り口付近で、放置されている大きなカバンを見つけました。そして、受付の人に「あそこにカバンを忘れている人がいますよ」とお伝えしました。

しかし実は、このカバンも飯川雄大の作品でした。このカバンを持ち上げようとすると、あまりに重過ぎてびくともしません。作品のキャプションがなかったため、まんまと飯川雄大にしてやられました(苦笑。

▶︎ まとめ

森村泰昌 《肖像(ヴァン・ゴッホ)》

いかがだったでしょうか?石田尚志のドローイング・アニメーションは、見ているコッチが疲れましたが、唯一無二の世界観を体感することができました。香川観光に来た際、是非とも寄っておきたい美術館です!

▶︎ 今日の美術館飯

★3.4/めりけんや 高松駅前店 (香川県/高松駅) ー しょうゆうどん (¥390)、ちくわ天 (¥130)、さつまいも天 (¥130)

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