【展覧会レポ】VS.「安藤忠雄展 | 青春」
【約4,700文字、写真約40枚】
初めてVS.(大阪)に行き「安藤忠雄展 | 青春」を鑑賞しました。その感想を書きます。
▶︎ 結論
安藤忠雄に直接サインをいただけて嬉しかったです!安藤さんの建築に訪れたことがある人にとって、そのおさらいもできて楽しめます。なお、キュレーションはさらに良くなる余地がありました。それは主に、数々の模型を「置いただけ感」があったためです。安藤さんの良さは、建築だけにとどまらず、その内面にあります。それを来館者にもって帰ってもらう工夫があると、より価値のある展覧会になると思いました。
おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★★★☆
混み具合:★★★★☆
展覧会名:安藤忠雄展 | 青春
場所:VS.
会期:2025.03.20(Thu) – 2025.07.21(Mon)
休館日:月曜日
開館時間:10:00 – 18:00
住所:大阪府大阪市北区大深町6−86 グラングリーン大阪 うめきた公園 ノースパーク
アクセス:大阪駅から徒歩で約5分
入場料(一般):1,800円
事前予約:不要
展覧所要時間:1時間以上
撮影:すべて可能
URL:https://vsvs.jp/exhibitions/tadao-ando-youth
▶︎ 訪問のきっかけ

新幹線の都合上、梅田で1時間ほど作ることができました。安藤忠雄(以下、安藤さん)の展覧会が大阪で開催されていると「X」などで知っていたため、この機会にササっと行くことにしました。
▶︎ アクセス

VS.へは大阪駅から徒歩約5分。駅直結のうめきた公園ではなく、そこから信号を一つ渡った先の「ノースパーク」にVS.は位置します。

この日、私は数年ぶりに梅田に行ったため(大学生時代は毎月、来ていました)、うめきたの変貌ぶりにびっくり!次に梅田に来る機会があれば、じっくり付近を散策したいです。ありがとう、橋下徹!
▼ うめきたを紹介したsanchiさんの投稿
▶︎ VS.とは?

「VS.」は「ヴイエス」と読みます。オープンは2024年9月。

VS.の設計監修は安藤さん。展示空間の面積は1,400㎡で、大部分が地下にもぐっています。VS.の特徴は高さ15mある直方体のスペースA。今回の展覧会では、壁いっぱいに映像が流れており、圧倒的なインパクトがありました。
大きなスペースと言えば、青森県立美術館のアレコホールを思い出します。なお、VS.のスタジオAよりも、アレコホール(縦・横21m、高さ19m)の方が大きいようです。
▼ アレコホールのある青森県立美術館の感想
名称「VS.」には「Visionaryを実現するStation/Stage/Studio/Society」という意味が込められています(詳細1、2)。

異彩を放つ2つの箱が突如現れる。この「2つ」というキーワードがまずコンセプトにリンクした。VS.とは様々なジャンルの人やアイデアが鼓舞し合い、「良い対峙」をしながら新たな価値や関係性を生む。それぞれが持つ創造力を自由に解放する新しい文化装置だ。
てっきり名前の由来は「2つ箱=対=versus=VS.」だと思っていました。「文化装置」であるため、美術館でもアートセンターでもないとは思いますが「VS.」というネーミングは、スッと頭に入りづらいです。
「ヴイエス行くで~」と言われても「え?」と思う人が多いのではないでしょうか。老若男女が名前を聞いた時、ジャンルくらいは理解できるネーミングにした方が良いと思いました。ネット検索でも「VS.」は不向きです。

それもあってか、安藤さんは、彼らしいコメントを残していました。
”実は私、これはなんやねんと初めから言うておりますが、今も分かっておりません。ということは、可能性があるのかないのかも分からない。ひょっとしたらその可能性で大阪が、やぶれかぶれで頑張るのではないかと思っています。”
▶︎ 「安藤忠雄展 | 青春」感想

大阪に生まれ、独学で建築を学んだ安藤忠雄氏は、1969 年より建築設計活動をスタート。(略)90 年代以降はその活躍の舞台を世界に広げる一方で、環境再生や震災復興といった社会貢献事業にも尽力。(略)本展は、その壮大な挑戦の軌跡から、 現在、未来へのビジョンまでを集約、安藤忠雄の全てを一望にするものです。

✔ 安藤忠雄の偉大な功績

安藤さんが手がけた件数は発表されていませんが、wikipediaでは323件が掲載されていました。それだけあれば、安藤さんの建築を目当てに、国内外の旅行へ行くのも楽しそうです。

来館者は「これも行ったことあるなぁ!」と盛り上がっていました(私も心の中で同様)。多くの人が建物を知っていたり、実際に訪れたことがあるのは、すごい建築家だと改めて感じました。

ここ数年内で、私が訪れた安藤さん建築の美術館は、MUSEUM SAN(韓国)、アサヒグループ山崎山荘美術館(京都)、21_21 DESIGN SIGHT(東京)、国際こども図書館(東京)、京都府立陶板名画の庭(京都)、兵庫県立美術館(兵庫)などがあります。



特に、今年2月、私が韓国で訪れたMUSEUM SANは、非常に感銘を受けました(韓国へ行く際は、めちゃくちゃオススメ!)。



ここに来て、私の知らない安藤さん建築がたくさんあると知りました。安藤建築を楽しむ旅は、まだまだ続けられそうです!

なお、私は「美術館=総合芸術」だと考えています。コレクションが素晴らしいだけではダメ。建築、展示方法、カフェ、マーケティング、スタッフの対応など、全てを含めて「美術館」です。

特に、私が美術館にさまざま行くようになって以来「建築」の重要性を感じるようになりました。初訪問の美術館を調べる時、必ず設計監修した人を調べます。それは、どの美術館にも「コンセプト」があるはずだからです。

建築には、その美術館の「姿勢」が表れます。もし、建築がなおざりであれば、美術館運営の思想もなおざりです。その意味でも、安藤さんは多大な功績を残されていると感じます。
✔ 建築よりも「考え」に共鳴

安藤さんの建築は、パリのブルス・ドゥ・コメルスを筆頭に、古いものと、新しいものも融合が見事だと感じます。安藤さんの建築は、いつも私たちにインスピレーションを与えてくれます。



直島ブースでは、安藤さんが10もの美術館を手がけたと伝えていました。その背景に、環境問題があることもキャプションでチラッと触れていました。




読書が好きな私(読了:累計2,200冊以上)は、安藤さんが未来の日本・世界をつくるため、こども図書館をデザインする取り組みに大変共感します。


安藤さんは現在83歳。その年齢にして、国内外の建築にとどまらず、イベントやディナーショーなど、積極的に日々をこなしています。また「5臓なしの体(胆囊、胆管、十二指腸、膵臓、脾臓を全摘)」になって10年以上たちます。その「一生青春」っぷりには尊敬しかありません。
▼ 安藤さんの良さがわかる本(2024年7月読了)
✔ 安藤忠雄とともにつくり上げた展覧会
アーティストの名前を冠した「●●展」はよく開催されます。しかし「これ、ほんまに●●さんがチェックしたん?」と思う展覧会があります。

今回の展覧会には、安藤さんが直接施したドローイングがそこら中にあることで、安藤さんもこの展覧会を一緒につくり上げた感じがしっかり伝わりました。生のタッチを見ると「ここで安藤さんがほんまに絵を描いたんやなぁ」と、その情景が目に浮かぶようでした。
✔ ご本人からサインをGET!

当日は、偶然、安藤さんが来館中でした。来館者とのQAセッションで、安藤さん曰く「今後の若い人は特に<現場><英語>が大切」とのこと。得意に、英語に関しては、英語話者よりももっと達者にならなあかん、とコメントしていました(頑張ります…)。

安藤さんは、隔週くらいでVS.に訪れているようです。安藤さんの話を直に聞いたり、サインが欲しい方は会期中に訪問してはどうでしょうか。

当日は、安藤さんが来館していることもあってか、多くのお客さんで賑わっていました。外国人も多かったです。

私は安藤さんの建築だけでなく、人となりが大好きなので、人生初(!)の図録を買い、サインもいただきました。部屋に飾っている図録の青りんごとサインを見るたび「一生青春や!がんばらんと!」と奮い立ちます。

✔ キュレーションに若干の不満

私が尊敬する生安藤さんを見ることができ、サインもいただいたため、満足感はありました。しかし、安藤さんに詳しくない方は、この展覧会をどう感じたのでしょうか?1,800円は、規模の割には、若干割高感があります。

展示に関しては、安藤さんが手がけた主要な建築が、模型やスケッチを交えて紹介されていました。セクション分けされていたものの、キュレーションに、ストーリーやメッセージをあまり見出せず「ただ置いているだけ」感を若干感じました。


展示内容は、あくまで「功績の数々」にフォーカスされていました。しかし、本来は、安藤さんの内面を振り下げた方が良いかと思います。
安藤さんは、幼少からの経験により、一生青春、勉強、こどもと読書、環境問題などに対して強い思いがあります。来館者の感想が「いっぱい建築してんねんなぁ、すごいわぁ」でとどまっていることが残念でした。
来館者が「安藤さんと言えば"一生青春"!その理由は●●やな、その結果、これだけの素晴らしい建築ができてんねんなぁ」とまで、もって帰ってもらえるような見せ方の工夫があれば、なお良かったと思います。
✔ 今後の建築へ、私からのリクエスト
常々、ユニクロの店舗を安藤さんがつくると面白いと思っています。2020年、ユニクロは、ヘルツォーク&ド・ムーロンが内外装をデザインした「UNIQLO TOKYO」を出店しました。また、ユニクロと安藤さんは「瀬戸内オリーブ基金」「PEACE FOR ALLプロジェクト」を協業してきました。
▼ 安藤さんインタビュー(PEACE FOR ALL)
今後、国内外で安藤さんのデザインした「訪れる価値のある店舗」ができることで、その地域やユニクロ、安藤忠雄にとってもwin-winではないかと考えています。
▶︎ まとめ

いかがだったでしょうか?私にとっては、安藤さんからサインをいただき、とても良い思い出になりました。また、安藤さんの数々の功績を知ることで、今後、訪れたい場所が増えました。なお、展示方法は、安藤さんの内面をもっと分かりやすく示すことで、来館者は、建築だけではなく、さらに得るものがあったと思いました。
▶︎ 参考
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