アメリカに家族で移住して2年。仕事・生活・学校のリアル
アメリカに家族で移住して、気づけば2年が経った。
仕事の出張で何度も来ていたし、過去にアメリカ留学の経験もある。だから正直、アメリカで暮らすこと自体に大きな不安はなかった。
ただ、家族で住むのは初めてだった。子どもの学校はどうなるのか。仕事も同じチームとはいえ、本当に今まで通りいくのか。期待と不安が入り混じった状態でのスタートだった。
実際に2年暮らしてみて感じるのは、日本より明らかに楽だったこともあれば、想像以上にしんどかったこともある、というごく当たり前だけど、外からは見えにくい現実だ。それでも、総じて言えば「良い生活ができている」と感じている。
自分はアメリカのIT企業でPdM(プロダクトマネージャー)として働く技術者でもある。その視点も交えつつ、仕事・生活・学校(子育て)の3つに分けて、きれいごと抜きで書いてみる。
仕事:裁量は大きい。だが前提は「自律」
アメリカで仕事を始めたころ、ちょうどAIの導入が進み、一人ひとりの裁量がどんどん広がった。仕事のペースも速くなり、効率とクオリティも確実に向上している。
一人の責任範囲は広くなり、仕事量も大きくなっている。そのため、自己管理と自律が前提になる。自由に進められる反面、結果に対する責任も重い。
良い点は以下の通りだ:
・場所や時間に縛られず、自分がベストと思う環境で働ける
・チームメンバー全員のコミットメントが明確で、誰が何をやっているかがクリア
・期待以上の成果を出せば評価や報酬につながる
自分はプリンシパルとしてチームをまとめ、プロジェクトを前に進める役割も担う。期待値は高くプレッシャーもあるが、仕事自体は楽しい。つい長時間残業したり、週末も少し手を動かしてしまうこともある。
AIという新しい技術を学びながら製品開発に取り組むのは刺激的だ。
日本の外資系ソフトウェア企業での経験と大きくは変わらないが、アメリカではより大規模なチームでの開発が可能な分、チームワークやプロジェクトをリードする能力が強く求められる。
自由度が高い環境は魅力的だが、自律できない人には厳しい。これがアメリカで働く現実だ。
生活:ワシントン州での生活:物価は高いけど自由度も抜群
アメリカでの生活は、とにかく何でも高い。外食は家族4人で100ドルを超えることも多く、自然と自宅で料理をして食べることが増える。安上がりなだけでなく、味や栄養バランスも自分で調整できる。時間とお金をかけるより、家でのんびり食事をするほうが圧倒的に快適だ。
医療も同様で、風邪くらいでは病院に行かない。高額だからだ。市販薬で治すことがほとんどで、本当にヤバイときだけ病院に行く。生活の中で自分で判断し、解決する力が求められる。
一方で、自然が豊かでアウトドアアクティビティが充実しているのは大きな魅力だ。釣り、SUP、キャンプ、スノボー、スキー。ワシントン州の夏は青空が広がり、カラッとした気候で最高に気持ちいい。生活の自由度や設計感は、仕事での裁量と似ている感覚だ。
また、このエリアはマイクロソフトやアマゾンの社員が多く住み、生活水準が高い。その分物価も高いが、全世界から移住してくる人が多く、インターナショナルな雰囲気がある。英語が第2外国語でも問題なく、気軽にいろいろな人と話せる。治安も悪くなく、住みやすい環境だ。
合理的で自由な生活は魅力的だが、何事も自分で判断し、舵を取る感覚が必要。その分、自分の生活をデザインする楽しさも格別だ。
学校・子育て:現地校+日本語補習校で育つ自律力
アメリカで子どもを学校に通わせてまず驚くのは、とにかく自由でシンプルな学びのスタイルだ。授業や宿題の量は日本より少なめで、先生は生徒一人ひとりの自主性を尊重する。自分で考え、調べ、発表する力が自然と求められる。
親としては、学校との連携も合理的。連絡用アプリやメールで情報が届き、課題やイベントの確認もスマホ一つで完結する。何をいつまでにやるか、自分で管理する感覚が必要だ。
自由度が高い分、子どもも自分で考えて動く経験を多く積むので、自立心が自然と育つ。ただし、最初のうちは学校の進め方や文化に慣れるまで、親のフォローは少し必要だ。
さらに、土曜日は日本語補習校に通っている。現地校での学びに加えて、日本語の読み書きや文化もキャッチアップできるので、バイリンガル教育が自然に進む。現地校+補習校の両立は大変そうに見えるが、子ども自身の自律力を伸ばす良い経験になっている。
また、多国籍な環境で授業や遊びを通して様々な価値観に触れられるのも大きなメリットだ。英語が第2言語でも自然に交流でき、多様なバックグラウンドの友達ができることは、将来にわたって貴重な経験になる。
総じて、教育の現場は自由度が高く、自律と自己管理が前提。現地校と補習校を組み合わせることで、言語・文化・自立力をバランスよく伸ばせる環境になっている。
まとめ:アメリカ移住2年で見えたリアル
家族でアメリカに移住して2年。仕事、生活、学校――どれも自由度が高く、自分で考え、舵を取ることが前提の環境だった。
仕事では、AIの導入もあって一人ひとりの裁量が広がり、責任範囲も大きい。効率とクオリティが高い環境で、チームをリードしながらプロダクトを作る楽しさを実感している。
生活では、物価や医療など日本とは違う不便さもある一方、自由度が高く、自分で生活をデザインする楽しさも大きい。自然が豊かでアウトドアも充実しており、心地よく暮らせる環境だ。
教育の面では、現地校で自律力や問題解決力を育みつつ、土曜日の日本語補習校で日本語力や文化もキャッチアップできる。多国籍な環境で多様な価値観に触れる経験も、大きな財産になる。
全体を通して感じるのは、自由度が高い分、自己管理と自律が大切で、その分だけ得られる充実感や成長も大きいということ。
アメリカでの生活は、決してラクではない。しかし、自分で考え、選び、動く力を最大限に活かせる環境だと実感している。
それでは、また次回!
Easy Come, Easy Go!
自己紹介:アメリカ・ワシントン州にある Microsoft 本社のプロダクトマネージャー。日本のマイクロソフトから移籍。Windows OS のユーザーエクスペリエンスを創り出すソフトウェア開発チームに所属。「AI を Windows に融合させる」という野心的なミッションを持つチームでプランニングとソフトウェア開発をリードしている。AI を中心としたソフトウェア開発の最前線で、次世代の体験を世界に届けています。
