見出し画像

2025年、取材現場で聞いた生成AIをめぐるQ&A13選

2025年は多くの取材現場で、図らずも「生成AI」についての質問を投げかけた年になりました。 このトピックを幅広い表現者に質問した、もの好きは日本で私くらいではないでしょうか?

ピックアップしたところ、この1年でコメントを得ていたのは13名。第一線で活躍する彼らが、生成AIの普及が進む現状や対極にある「人間性」や「身体性」をどう考えているかを並列したら、何となく今のムードが見えてくる気が。以下にQ&A形式でまとめていきます。


Rちゃん(実業家/インフルエンサー)

“想いをAIに委ねたらダメ”

Q:最近は好きな人へのメッセージのテキストをChatGPTに提案してもらう人もいるらしいですね。

A:ガチで無理! そうやって何かを短縮して、想いを伝えることを機械にすべて頼り始めるのは本当にセンスがない。ChatGPTは参考にするならいいと思う。でも、それだけに頼るのではなく自分の意見を持ってほしい。


ウエストランド・井口浩之(芸人)

“面倒くさいからこそ面白い”

Q:ChatGPTなど生成AIについて脅威を感じていますか?

A:僕は使っていないのですが、まだネタは作れないんじゃないかなと思います。もっと精度が上がればわかりません。でも今はまだ人間の機微はわからない気がします。「AIが作った」という段階でつまらないじゃないですか。ネタ作りって面倒くさいんですよ。本当に嫌だけどやってるから面白い。


紗倉まな(小説家/えろ屋)

“血肉が入らない表現は使いたくない”

Q:ChatGPTなどの生成AIの台頭で物書きの未来について議論になっていますが、それについて思うことは?

A:私は現状だと表現には持ち込みたくないなと思ってます。自分の血肉が入っていない感じがすると言いますか、心血を注ぎたいので誰かに頼りたくないんです。「AIのサポートがあることでよりよい作品になる」という考え方もあると思うのですが、私は今はそこまでは使いたいとは思いません。


本郷柚巴(グラビアタレント)

“ダイエットメニューはChatGPTに聞く”

Q:食事も気を付けていた?

A:体作りの期間はChatGPTを愛用して「撮影までに痩せたいから、ヘルシーで飽きないレシピを教えてほしい」と聞いてました。事細かにメニューを教えてくれたし、作った料理も美味しかったです。それもあって撮影期間中は食欲が爆発。いろいろなものを毎日いっぱい食べられて幸せでした。


岩渕麗楽(スノーボーダー)

“人は人の努力に感動する”

Q:アナログなものに惹かれるということもある?

A:だから人間が頑張るしかない。それに機械に頼らないからこそ理解しやすいのかな。結局、人は人の努力に感動するんだと思うんです。だから私も挑戦し続けるのかもしれません。


CRCK/LCKS・小田朋美(音楽家)

“真似事に感じた違和感”

Q:今まさに私のようなライターの存在がChatGPTなどの生成AIに揺るがされていますが、シンガーや音楽家にとっても厳しい時代なのかもしれません。

A:最近、真似事に終始している表現を見ると「AIみたいだな」と思うようになって、逆に、人間に求めるハードルが高くなってきているような感じもしたり。もう人かAIかは判断できなくなるかもしれない。そうだとしたら、余計に楽しいことをやってないと意味がないってなるよね。


モノンクル・吉田沙良(音楽家)

“好きでやっていることがすべて”

Q:今まさに私のようなライターの存在がChatGPTなどの生成AIに揺るがされていますが、シンガーや音楽家にとっても厳しい時代なのかもしれません。

A:生活があって、感情があるなかで、その日しか出ない声がある。それをAIと比べる必要はないのかなと。何かを「好きでやっている」ということがすべてですから。楽しいから生きていると思えなかったら鬱になってしまうかも。


渋谷慶一郎(音楽家)

“正解よりも予想外を”

Q:この「アンドロイド・マリア」はAIを搭載されているとのことですが、こちらは?

A:顔はマリアで性格は僕に近づけるという気が狂った方向でスタートしました(笑)。もうAIは当たり前なことしか言わないし、正解がどんどん出てくる世界だから、こういう偏った存在っていうのはやっぱり必要なんじゃないかって思います。予想もつかないことを言い出した方が面白いから。


Akira Naka(ファッションデザイナー)

“フィジカルなカウンターは必ず出る”

Q:ファッション界もAIとアイデア交換する時代になる、というか既にもうなっているかもしれません。

A:そういう流れもあると思います。でも必ずフィジカルなカウンターは出てくると思いますし、洋服を通して何かの思いに到達するようなことができたらと考えています。


龍村景一(漫画家)

“写真と絵画になぞらえるAI”

Q:生成AIに抵抗がないのですね?

A:カメラが普及し始めた時に美術界で「絵画の領域を写真が奪う」というパラダイムシフトが起きました。でも絵画はなくならなかったし、逆に問い直されて印象派やキュビズムなどが登場する。それに似ていると思うんです。その歴史性と照らし合わせて考えられたら、生成AIを賛否という対立軸だけでない捉え方ができるんじゃないかなと


スエナガタカフミ(ジャズピアニスト)

“「全部知ったら最強」は幻想”

Q:知識を網羅しようとしても絶対量ではAIに勝てません。逆説的に考えれば、そんな不完全な知識やスキルで人類はクリエイトし続けてきたということになります。これは非常に興味深いことだと思うのですが。

A:全部知っていたら最強だ、ということはありません。同時にジャズの歴史を見れば、真の「王道」など存在しない訳で常に変化している。それを踏まえて自分はどうするか、というだけの話。だから「自分が好きなものは何か?」とか「自分とは何なのか?」を考えざるを得ないでしょうね。


Jazz2.0・濱田真秀(トランぺッター)

“音楽制作は民主化する”

Q:「Suno」など生成AIの台頭によって音楽についての価値観が激変すると予想されています。

A:音楽制作は民主化していくと思います。だからこそ、キュレーションできる人がすごい音楽を作る時代になる気がしますね。事実、制作が強い人はキュレーションに秀でている傾向。最近はTikTokでも「これはAIで作ってそうだな」と感じる音楽が増えました。数年後にはより多くなっていくでしょうね。


UVERworld・TAKUYA∞(音楽家)

“誰がどんな人生で鳴らすか”

Q:人生で最初に使った楽器を全員よく保管されていましたね。捨てたり売っていたりしていてもおかしくない年月が経っています。

A:14、5歳のときにおこづかいで買った楽器が東京ドームに響いて、それでお客さんの心に響かせることができた。今はAIでいい音楽が作れる時代ですが、計算されたメロディよりも大事なのは「誰がどんなバックボーンを持って演奏するか」なんだなと自分たちでも思える瞬間でした。


2026年もAIの動向を追いつつ、色々な人にコメントをもらえればと思っています!

※12月27日には下北沢No Room For Squaresで公開取材「ジャズキス」第6回(ゲスト:阿部大輔)がありますので、ぜひ来てください!


いいなと思ったら応援しよう!

小池直也 活動継続のための投げ銭をいただけると幸いです!